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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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待つとし聞かば

レオくんがカオルちゃんにお別れを言いに来ました。

カオルちゃんはレオくんのお姉ちゃんみたいだね。
カオルちゃんはレオくんのお母さんみたいだね。

レオくんを信じるのは鋼牙だけじゃないんだ。
きっと、カオルちゃんだってレオくんのことを信じてる…

そんなカオルとレオの妄想にトライしてみました。
妄想を許せる寛大なお方は、どうぞご覧くださいませ。


拍手[26回]


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

公園で、絵本のラストとなるイメージが浮かび興奮するカオルに、レオが
声を掛けてきた。

「僕はしばらくみんなと会えなくなります。」

レオはそう告げて、カオルに背を向け歩き出した。

なぜ?
何をしに?

詳しいことは聞かなかった。
カオルの視線を避けるようなレオの態度が、カオルにそうさせた。

(言いたくないなら言わなくてもいいよ。
 でもね…)

決意を秘めて、振り向くことのないレオの背を見つめながら、カオルは
思った。

(レオくん…
 必ず帰ってきてね。
 待ってるから…)

レオが立ち去ったのを見届けてから、カオルはタイルの敷かれた足元に
視線を落とした。
親しくなった人との別れというのがカオルの気分を沈ませる。
だが、気持ちを上に向けさせるつもりで、カオルは意識して顔を上げ、
目を閉じて日の光を浴びながら深呼吸をした。

少し気持ちが落ち着いたところで静かに目をあけてみる。
そのとき、カオルは思い出した。
霊獣の通る ’ケモノ道’ に向かう道すがら、レオといろいろな話をしたと
いうことを。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

「カオルさんは心配じゃないんですか? 鋼牙さんのこと」

「心配だよ…
 でも、あたしが心配してもしょうがないし…
 それを鋼牙に言うつもりもないの」

「…鋼牙さんは素晴らしい人です」

「素晴らしすぎて、可愛げがないって思わない?」

「魔戒騎士に可愛げは必要ありません」


(そうそう、レオくんって真面目だなぁって思ったっけ…)

ひとりでクスクス思い出し笑いをする。

(それから、何を話したっけ?)


「レオくん、家族はいるの?」

「…いえ」

「そっか… じゃあ、あたしと同じだね。
 あたしも、小さいときに両親とも亡くなってるの。
 だから、家族って呼べる人は、ずっといなかったんだ…」

「…」

「でもね、鋼牙やゴンザさんと出会って、本当によくしてもらったの。
 あたしが絵の勉強で行ったイタリアから帰ったときも、『おかえり』って
 迎えてくれた…

 待っていてくれた人に 『ただいま』 って言うの、すっごく幸せな
 気分になるんだよ。
 そんな経験、もうずっとしてなかったから、すっかり忘れちゃってた…

 こんな感覚、レオくんにも判るかな?」

レオはにっこり笑ってうなずいた。
そんなレオに、カオルも微笑みを返す。

「魔戒法師も、普通の人間も、そういうのって一緒なんだね。

 レオくん… 人が帰る場所って、’家’ じゃないんだね。
 待っていてくれる人がいるところなんだよ、きっと…

 あっ、そうだ!
 レオくんに家族がいないんだったら、あたしや鋼牙がレオくんの
 ’帰る場所’ になってもいいかな?」

大きな瞳をキラキラさせて、カオルがレオを覗き込むように見つめた。

「えっ?」

それまで、カオルの話の聞き役だったレオは、いきなりの申し出に、
驚きを口にすることしかできなかった。

「ダメかな?」

一転してシュンとしながら言うカオルに、

「そんなことないです。
 嬉しいです」

レオはにっこり笑いながら答えた。

「よかった…

 あのね、レオくん、『ただいま』 って言うのと同じくらい、『おかえり』 って
 言うのは素敵なもんなんだよ。

 うふふ…
 もし、レオくんがお仕事とかで出掛けて帰ってくるようなことがあったら、
 あたし、鋼牙と一緒に 『おかえり』 って言うからね?
 い~い?」

レオは仕方ないなと言った感じで、それでも、

「はい」

と素直にうなずいたのだった。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

恐らく、あのときの会話をレオも覚えていたから、カオルに別れの挨拶を
していったのだ、とカオルは思った。

鋼牙にも内緒だというのは余程のことだと思ったが、

「待ってるから」

とカオルが告げたときに

「わかりました」

と力強く返事をして真っ直ぐに見つめてくれたレオの眼を、カオルは
信じたいと思った。

(そうだ!
 鋼牙にこのことを話さなきゃ…)

カオルはその足ですぐに冴島邸を訪れようと考えた。

(そして、レオくんを待っていてあげてって、鋼牙に言わないと…)


その頃…
多くの魔戒騎士たちに ’破滅の刻印’ を刻み付けた赤い仮面の男が、
鋼牙と零に素顔を見られてしまったことを、カオルは知る由(よし)も
なかった。



fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


第10話「秘密」と第16話「仮面」の2つのお話を絡めて妄想してみました。

第16話「仮面」で、どうして、レオはカオルにお別れを言いに来たんだろう?
って不思議に思ったのが妄想の始まりです。

レオとカオルが親しそうなシーンってあんまり記憶になかったのになぜ?
きっと、どこかで「カオルさんにはちゃんとお別れを言っておかないと...」と
レオくんが思うようなことがあったに違いない!
そんなふうに考えて妄想してみました。

タイトルの「待つとし聞かば」は百人一首から取りました。

立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる
  まつとし聞かば いま帰り来む
                      中納言行平

ものすごく簡単に言うと…
あなたが「待つ」と言ってくれるなら、今すぐ私は帰りましょう っていう
歌です。

あぁ、それともうひとつ。
赤い仮面の男の素顔がレオ(とソックリ)だったのに、第18話「群獣」で
グレスに対して、「赤い仮面の男がレオだと決まったわけではありません」
と鋼牙が言ってます。
普通、あの状況では、「赤い仮面の男=レオ」 となるはずですが、
鋼牙はなぜそんなふうに言うんだ? というところも謎でした。

カオルちゃんから、レオとの別れのことを聞き、「レオくんを信じてあげて」
とか、「レオくんが帰ってくるのを、一緒に待とう? ねっ、鋼牙?」などと
言われていたとしたら?
な~んてふうにも妄想してみるのですが、どうでしょうか?
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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