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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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Shall we …(4)

もう4話目か…
でも、ちっとも先に進んでいないような気がします。

ところで…
これのひとつ前の「籠る姫」がどんな話だったか思い出すために、斜め読み
したのですが、なんかヘタクソで真面目に読めなかったです。
真面目に読まなかったので、記憶がテキト~なまま。

いいのかなぁ、こんなで… と思いながらも、あまり深く考えずにポチッと
公開しちゃいます。


拍手[25回]


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

こうして、ダンスはゴーザンに教えてもらい、ドレスはレイのお陰でアテが
できました。

つい1時間前までは思いもよらなかったことですが、「舞踏会に出る」という
夢のような話が、現実になりつつあります。

(本当に信じられない…)

カオルンは興奮していました。

美しく着飾った紳士、淑女が集い、華やかでキラキラとした世界が広がる
舞踏会。
一度は垣間見たいと思っていた場所に、自分もドレスアップして出られるかも
しれないのですから。

カオルンが心を寄せるあの王子は、ダンスなど踊れるそうもありませんが、
そんなことはこの際関係ありません。
普段は剣を振りまわして硬派な王子が、きっちりと正装してそこにいるだけで、
きっと、舞踏会の中心的な位置に収まり、みなの注目を集めることでしょう。

(まぁね、あたしは隅っこのほうで雰囲気が楽しめたら、それでOK!
 みたいな感じかな?)

そんなふうに考えて、カオルンは少し諦めにも似た笑いを漏らしました。


そのとき、ふと、少し前にあった事件のことが急に思い出されました。
それは、カオルンの命をも危ぶまれるような事件でした。
そんなカオルンを救ってくれたのは、自分に対して無関心だと思っていた
王子で、実はかなり心配していたということを知りました。
それだけではありません。
何が何だかわからないうちに、王子とカオルンは ’熱い夜’ を…

(きゃっ)

カオルンは顔を真っ赤にさせて、手で顔を覆いました。

でも、あれから何週間か経つのに、王子はキスどころか、「愛してる」の一言さえ
くれません。
カオルンは、それを寂しく思いましたが、みなしごという自分の生い立ちを考えると、
王子が本気で自分を好きになったわけではないのかもしれないとも思いました。
いえ、思い込もうとしています。

(それでも…)

王子がカオルンに見せる優しい目、穏やかな声に、一縷(いちる)の希望を
持っていることも確かです。

(身の程知らずかもしれないけど、今は少しでも近くにいたい…)

どんどんシリアスに落ち込みそうでしたが、カオルンは

「だめだめ…
 楽しいことを考えよう!」

と、小さな声で呟くと、顔をあげて青い空を見上げました。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

さて、翌日。
昼食後、王子はレイと剣の稽古でもしようと考え、レイの姿を探して城内を
歩き回りました。

レイはこの国に来て日が浅いものの、あっという間にみなから受け入れられ
ました。
際立って美しい顔をしているのに、気取ったところがなく、どんな相手でも
態度を変えることなく、どこまでも紳士的でした。
しかも、王子にも匹敵するほどの剣の腕前なのです。
剣を持つと笑顔は消え、荒々しいまでに力でグイグイ攻撃をし、その男臭さも
魅力です。

そんなレイですから、王子が、

「レイを見なかったか?」

と問えば、

「あぁ、レイ様でしたら…」

と、すぐに誰かがそれに答えます。
そのくらい、レイは目立つ存在でした。

王子が会う者、会う者にレイのことを聞いていくうちに、庭までやってきました。
バラ園の近くまで来ると、レイが庭師のおじいさんと何やら楽しげに話して
いるのが見えました。

『まったく…
 あの男は、男女問わず、人の懐に入るのが上手いな』

バルザが呆れ気味に言いました。

「まったくだ」

王子もそれに同意します。


近づいてくる王子にレイが気付き、庭師に手をあげて別れを告げると、
ゆっくりと王子の元に近づいてきます。

「やぁ、バラがあんまりきれいに咲いてるからさ。
 何か特別なことでもしてるの? ってノーマンに聞いてたんだよ」

王子が生まれる前からこの城で働いていたはずなのに、王子は、このとき
初めて、庭師の男の名前を知りました。
つい先ごろ来たばかりのレイのほうが、王子よりも余程この城の使用人たちに
詳しいようです。

「おまえは本当にすごい奴だよ」

王子は感じたことを素直に口にしました。

王子は普段、そんなことはしません。
王子の言った一言で、思いもしない結果を招くこともあることを十分承知して
いるからです。
そんな王子も、レイの前では気遣いを忘れてしまいます。

「ん? なんのこと?」

王子の言ったことにレイが問い返します。
誰の懐にでもスッと入っていけることを、レイ自身はごく当たり前のことの
ように思っているようでした。

(まったく、大した男だ…)

そんなふうに思いながら、王子はレイに話しかけます。

「いや、なんでもない。

 ところで、レイ。
 今から時間が空けられるか?
 剣の相手をしてほしいんだが…」

「それは俺も願ってもないところ… と言いたいが。
 残念!
 今日はこれから用事があって…」

王子の申し出を断るような者は、この国でそう多くはいません。
ですが、この男に断られてもそう悪い気がしないのも、レイの魅力のなせる
業(わざ)でしょう。

…と、そのとき、遠くからカオルンの声が聞こえてきました。

「レ~イ!
 どこにいるのぉ?」

声のするほうにふたりが顔を向け、その後、目を合わせると、

「ねっ、そういうこと。
 実は、カオルンのほうに先約があってね」

そうこうするうちに、カオルンはもう目の前までやってきていました。

「あらっ、ふたりで何か大事な話?」

ふたりの前で立ち止まったカオルンは、相互にふたりの顔を見ながら
尋ねました。

「いや、大したことではない。
 レイと約束があるのだろう?」

レイが王子を盗み見ると、とても優しい目をカオルンに向けています。

(絶対、好きなんだと思うんだけどなぁ)

「えぇ、ちょっと出かける約束をしていて…」

「そうか」

あまり詳しく話そうとはしないカオルに対して、王子も深くは聞き出そうと
しませんでした。

(あれっ?
 カオルンが別の男と出掛けるというのに、気にならないのかな?
 やっぱり、恋愛感情は ’なし’ なんだろうか?)

不思議に思ったレイは、王子に舞踏会の話を振りました。

「なぁ、王子。
 今度、舞踏会があるんだろう?
 それって、王子の花嫁選びだ、ってウワサもあるんだけど、実際のところは
 どうなの?」

’花嫁選び’ というのはウワサにしか過ぎませんでしたが、王子の反応を
見るには、なかなかよい話題でした。
王子の表情はほとんど変わりませんでしたが、微妙に瞳が揺らいだのを、
レイは見逃しませんでした。

「舞踏会は確かにある。
 だが、花嫁選びなどという話は聞いていない。

 まぁ、集まった者の中には、いろいろな思惑があるだろうがな」

含みを持たせたように王子は言いました。

「ところで、おまえ達は出るのだろう? 舞踏会に」

何気ない感じを装い、今度は王子が聞いてきました。

「あぁ、俺はどっちでもいいんだけどね。

 舞踏会なんかでレディ達のご機嫌を取るよりは、月でも眺めながら城内を
 巡回していたほうが、よっぽどいいんだけど…

 それは、王子も同じだろ?
 だが、まぁ、王子ともなれば、好き嫌いで決めるわけにもいかない、
 というとこかな?」

「そうだな」

レイの答えを聞いた後、王子は、今度はカオルンを見ました。

「えっ、あたし?
 あたしは、そもそもダンスなんて踊れないし…」

カオルンは答えを避けるようにひどく曖昧に言うと、中途半端な笑みを
浮かべました。
その答えを聞いて、レイは、

(あれ?
 ダンスは確かゴーザンに教わるんじゃなかったっけ?)

と思いましたが、カオルンがレイに意味ありげな視線を送るのに気付いて、
黙っていました。
そんなふたりの視線のやりとりに気付きつつも、王子は何食わぬ顔で
噺を続けます。

「そうか。
 おまえ達がもし参加するなら、退屈な舞踏会も少しは面白くなりそうだと
 思ったんだが…」

「えっ、なに?
 王子は、俺達に舞踏会に出てほしいって思ってる?
 だったら、俺も前向きに考えてやってもいいぜ!
 なっ、カオルン!」

「えっ… えぇ、まぁ…」

急に話を振られたカオルンは、またまた曖昧に返事をしました。

「いや、無理に、とは言わない。
 そうは言わないが…」

’来てほしい’ という言葉を、王子の口から聞きたいな、とカオルンは
思いました。
ですが、

「ところでおまえ達、出掛けるんじゃないのか?」

王子から聞けたのは、全く別の言葉でした。
でも、それは忘れかけていた大事な用事のことでした。
カオルンとレイは伯爵夫人に会いに行くつもりだったので、王子とのんびり
話をしているばいいではありませんでした。
伯爵夫人を待たせるのも失礼だということで、王子への挨拶もそこそこに、
カオルンとレイは、その場を後にしました。


王子と別れてから、レイはカオルンに聞いてみました。

「ねぇ、どうして、舞踏会に出る、ってはっきり言わなかったの?」

「だって…
 伯爵夫人にドレスを貸してもらえるか、まだ判んないじゃない?
 それに…」

「それに?」

(それに、もし舞踏会に出れたらさ… 王子が、驚いてくれるかな、って…)

そんな風に思っていましたが、

「ううん、なんでもない!」

と、カオルンは答えませんでした。
でも、カオルンの顔が赤くなったので、何を考えているのか、レイにも
なんとなく判りました。

(こっちは、絶対 「好き」 だよな?)

レイは自然と笑みがこぼれました。

「よし!
 素敵なドレスを貸してもらおうぜ!」

レイはカオルンを励ますように、明るく飾らない笑顔を向けました。

「うん!」

瞳をキラキラさせてうなずくカオルンは、レイには、とってもとっても
チャーミングに見えました。


to be continued(5へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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