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きんのまなざし ぎんのささやき

Shall we …(5)

さぁ、いよいよ、グレイス様の登場です。

グレス様と零くん、カオルちゃんの絡みは、本家の牙狼ではなかった
(ありましたっけ?)ので、そういうのを考えられるのも、妄想の楽しさ
ですね!

さて、’グレイス様’ に決定するまでは、 ’優しいおばあさま’ ということで
八千草薫をイメージしていたのですが、優しいだけのおばあさまから少しずつ
変わっていった気が。

どう変わったのかは、ご自分の目でど~ぞ!



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伯爵夫人の屋敷を訪ねてみると、レイが予想したとおり、夫人はカオルンの
ことをとても歓迎してくれました。

「あらあら、今日は可愛らしいお嬢さんと一緒なの?
 さては、レイの大事な人かしら?」

そう嬉しそうに尋ねる夫人に、レイは、

「違うんだよ、グレイス。
 カオルンの好きな相手は、僕なんかじゃないんだ」

とレイは、目いっぱい哀しそうな顔をして、大袈裟に嘆いてみせました。
すると、伯爵夫人もそのノリに合わせて

「まぁ、レイ。
 気を落とさないでちょうだい。
 あなたにも、きっと素敵な人が現れるから…」

と、美しい眉をしかめて、気の毒そうな顔をつくって言いました。

伯爵夫人は、カオルンの目から見ても、とても上品で優しそうに見えましたが、
かなり茶目っ気もあるようでした。
そのため、カオルンもすぐに緊張が解けました。

二人が案内されたのは夫人用のリビングでした。
緑の美しい庭に面していて、どの窓も大きく開放されているので、とても
気持ちがいいです。
部屋のしつらえは夫人の好みなのか、イオニア式のエンタシスなどが配して
あったり、古代ギリシアを思わせるようなモチーフが取り込まれていて、
不思議な荘厳さも感じられます。
それでいながら、同時に、地中海から吹く爽やかな風や青い空、眩しい
太陽なども思い起こされて、解放感のようなものも覚えます。

カオルンは、初めて訪れた部屋だというのに、部屋の雰囲気と夫人の人柄に
居心地の良さを感じました。

「なんかさ、ここって落ち着かない?」

カオルンが何を考えているのか解るみたいに、レイはカオルンに尋ねました。

「えぇ、ほんとに。
 すっごく寛げるっていうか、リラックスできるっていうか…」

「まぁまぁ、褒めていただいてありがとう。
 さぁさ、お茶でも飲んで、もっと寛いでちょうだい」

夫人は気さくに席を勧めました。

それぞれに親近感を覚えた3人は、おいしいお茶を飲みながら、カオルンと
レイの旅の話や、伯爵夫人とレイとの出会いなどをにこやかに話しました。

やがて、話題は、お城の舞踏会のことに移っていきました。
レイは、待ってましたとばかりに、

「実は、グレイス。
 今日、カオルンを連れてきたのには理由があるんだよ」

と切り出し、何でもいいからドレスを一着、カオルンに貸してもらえないだろうか、
と頼みました。

すると、伯爵夫人は、

「まぁ、ドレスを? もちろん、いいわよ。
 でも、こんなおばあちゃんのドレスなんて、若いお嬢さんが気に入る
 かしら?」

と、あっさり了承し、逆に心配までしてくれました。

「そんな、とんでもない!
 ほんとになんでもいいんです。
 ぜひ、お願いします!」

カオルンは喜びを押さえて、必死に頭を下げました。

「あらまぁ、そう?
 とにかく、一度見てもらった方がいいわね」

そう言ったかと思うと、夫人はすぐに使用人を呼んで何事かを命じました。
そして、カオルンににっこり笑って言いました。

「少し時間をいただいてもいいかしら。
 今いくつか用意させるから…」

「は、はい。
 わたしは全然大丈夫です!」

「よかったじゃないか、カオルン」

「うん」


こうして、カオルンはその日のうちに夫人のドレスを何着も見せてもらい、
夫人とレイにアドバイスをもらいながら、貸してもらうドレスを決めました。

結局、カオルンは、デザイン的にはわりとシンプルですが、優しいピンク色の
ドレスを選びました。

「舞踏会に着ていくドレスを決めるのって、とってもワクワクするわね?」

そう言いながら、伯爵夫人は誰よりも熱心に、ドレス選びに夢中になって
いました。

そして、ドレスはもちろん、靴もアクセサリーも、何から何まで貸してくれる
ことになりました。
それだけではありません。
舞踏会の当日には、夫人の家で髪のセットもメイクもしてあげる、と言って
くれたのです。

「そんなことまでしてもらっては…
 あたし、なんのお返しもできませんから」

カオルンは困った顔で、レイに助けを求めます。
レイも心配そうに夫人に顔を向けましたが、伯爵夫人はきっぱりと言いました。

「カオルン。
 遠慮なんてしないでちょうだい。
 こんなに興奮させてもらったのは、何十年ぶり…ということなのよ。

 このドレスを着て、メイクしてもらって、カオルンがどんどんきれいになっていく
 ところを、わたくしが見たいのですよ。

 わたくしを喜ばせると思って、ねっ、そうしてちょうだいな」

伯爵夫人がカオルの顔を覗き込むように、ちょこんと小首をかしげます。
カオルンは少し悩んでから、

「…わかりました。
 何から何まで甘えてしまって心苦しいんですが、夫人のご厚意をありがたく
 頂戴することにします。

 よろしくお願いします」

そう言うと、深く頭を下げました。

「グレイス。
 やっぱりあなたに頼んでよかった。

 僕もとっても嬉しいよ。
 ありがとう」

レイもにっこり笑って礼を言いました。




さぁ、これで、ドレスの心配はなくなりました。
あとは、ダンスのレッスンです。

ゴーザンは仕事の合間を見つけては、カオルンに一生懸命教えました。
カオルンも必死にステップを踏みます。
稽古中はもとより、食事中でも、お風呂の中でも、ベッドの中でも、カオルンは
頭の中でダンスのステップを呪文のように唱え、イメージトレーニングを
欠かしませんでした。

たまに王子が一緒に食事をしたりしても、カオルンの意識はどこか他のところに
飛んでいるような始末。
普段はあれこれと話すカオルンがずっと黙っているのですから、それはそれは
とても静かな食事風景です。
ナイフやフォークがたてる微かなカチカチという音だけが、やたらと大きく
聞こえます。

「…」

普段はうるさいくらいに思っていたカオルンの声も、一切聞こえないのでは、
さすがの王子も気になります。

「おい…
 何か心配事でもあるのか?」

王子は思い切って声をかけました。
それでも、カオルンは気づかず、ナイフをリズムに合わせて小さく振りまわし
ながら、難しい顔をしています。
ゴーザンは見かねて、カオルンのそばに行くと、身をかがめて耳元で言いました。

「カオルン…
  カオルン…

 王子がお声をかけておられますぞ」

ようやく、はっとしたカオルンが、王子に笑顔を向けました。

「あっ、ごめんなさい。
 考え事をしていたの。
 …で、何のお話?」

王子は小さく溜息をついてから、

「心配事でもあるのか、と聞いたのだ。
 この頃のおまえは、様子がおかしいからな」

「あっ」

カオルンは視線を彷徨わせてから、

「ううん、心配事なんて何もないわよ。
 ほんとにちょっと考え事をしていただけ」

と、ぎこちなく笑って見せました。

「…」

王子は、じっとカオルンを見ていましたが、

「では、その考え事とは何だ?」

と、少し意地悪く質問しました。

「うっ… それは… あれよあれ!
 えっと、今年の夏は暑いかなぁ、とかってこと!」

苦し紛れに適当なことを言ったカオルンでしたが、これ以上突っ込まれると
困るなぁ、と内心ヒヤヒヤしていました。
ですが、王子は、

「…そうか」

そう言ったきり、それ以上は追求しませんでした。

(助かった… かな?)

ほっとしながら、カオルンは王子を盗み見します。
王子は何事もなかったかのように、食事を続けていました。

王子に嘘をついている気分で、あまりいい気はしませんでしたが、カオルンも
黙って食事を続けました。



心ここにあらず、といったカオルンの様子に、

(明らかに何か隠し事をしている…)

王子はそう思っていました。
そして、それが何なのか、王子はものすごく気になっていました。
ただ、それを強く問い質そうとしないのは、プライドが邪魔をして、という
ことだけではありませんでした。

(もう少し、あと少しの我慢なんだ…)

王子はみずからに言い聞かせるように念じると、結局、食事が終わるまで
何も話さないままでいました。



to be continued(6へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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