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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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また巡り逢える(3)

どうしてだろう。 なかなか話が前に進みません。

それは「書くのが楽しい」という証拠でもあるのですが、悲しいのは、それが
「読んで楽しいもの」になっているかどうかを保証できないところ…

実はもうひとつ。
「次の展開を決めかねている」という証拠でもあったりするので、そういう
意味でも悲しかったりします。 (苦笑)



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翌日。
鋼牙がゆっくりと目覚めると、日はすでにだいぶん高いところに昇っていた。
見慣れない天井をぼんやり見つめて、自分の今いる場所を考えてみる。

『鋼牙、お目覚めか?
 よく眠っていたぞ』

左手の中指から相棒の声が聞こえた。

「ザルバ…   零はどうした?」

昨晩は零の家に世話になったことを思い出しながら、鋼牙はザルバに尋ねた。
この家に、人の気配が感じられなかったからだ。

『零なら、出掛けたぞ。
 零からおまえに伝言がある…

 「俺は仕事に出掛けるから、好きなだけゆっくり休んでいけ。
  いや、だめだな。
  一刻も早く、帰ってやれ」

 …だとさ』

「そうか…」

ザルバに答えながら、鋼牙は昨日のことを思い出していた。





夕日はとっくに沈んで、遠くの山の峰に、残照がわずかに残るだけだった。
赤々と照らすその光も、あとほんの少しで消えてしまうだろう。

「さて、と… そろそろ帰りますか?」

寝転がっていた零は、反動をつけて上半身を起こし、胡坐をかくような
恰好になって言った。
そして、おもむろに鋼牙にこう尋ねた。

「ところでさ…
 ’約束の地’ から帰って来たと思ったら、すぐにまた、こんなとこまで
 来るなんてさ、よくカオルちゃんが許してくれたもんだな?」

少し呆れてそう言う零に、鋼牙は少し険しい顔になった。

「…」

何も言おうとしない鋼牙に代わって、ザルバが、悪戯でも告げ口するみたいに、
ニヤニヤしながら口を挟んだ。

『零、こいつは、まだカオルには会っていないんだ。
 元老院に報告したその足で、すぐにここに来たんでね』

ザルバの答えに、零は目を見開いた。

「はぁっ?
 それ、ほんとかよ?」

信じられない、と言わんばかりに零が鋼牙を振り仰いだ。

「…あぁ」

歯切れの悪い鋼牙の返事が返って来た。
零はガバッと起き上がり、鋼牙に掴みかからんばかりにして言った。

「何やってんだよ、おまえ…
 とにかく、すぐに帰れ!

 シルヴァ!
 北の管轄までの魔戒道はあるか?」

零は慌ただしく、シルヴァに尋ねた。

『ゼロ… ダメね。
 北への魔戒道はすでに閉じてしまったあとよ』

「えっ、うそ!
 どうすんだよ、今日中に帰れねぇじゃん」

茫然として零が叫んだ。
一方、鋼牙のほうは、
シルヴァの言葉を聞いても大して表情を変えなかった。
なぜなら、グレスの元からここに来ると決めた時点で、すでにある程度の
ことを諦めていたからだ。

だが、零のほうはそんなことは知りようもない。
てっきり、鋼牙は ’約束の地’ から一度屋敷に戻って、カオルやゴンザ達と
感動の対面を果たしたものだと思い込んでいた。
それから、改めて、サバックの優勝者である自分に会いに来たのだと…

鋼牙を信じて帰りを待っている彼女たちの辛さがわかるだけに、自分のせいで
カオル達との再会が遅れたことに、零は少なからずショックを受けた。

『ゼロ、鋼牙はとっくに諦めていたみたいよ。
 だから、あなたが気にすることはないんじゃないかしら?

 それよりも、ゼロ…
 東の管轄への魔戒道が、そろそろ閉じてしまいそうよ。
 急がないと、ここで野宿することになっちゃうわ』

クールに言うシルヴァに、零もなんとか冷静さを取り戻した。
今更、自分や、ましてや鋼牙を責めてもどうしようもないのだ。

「おっと、それは勘弁してほしいな。
 さすがに、今夜は自分のベッドでゆっくり休みたい…

 どうする、鋼牙、おまえも来るか?
 おまえン家のようには寛げないだろうが、少しはマシだろ?
 それとも、ここで野宿するか?」




そんなやりとりがあって、結局、鋼牙は零の家に泊めてもらったのだ。

’約束の地’ では、常に気を張っていたために、満足にゆっくりと身体を
休めることはできなかった。
零の家で、温かい風呂と寝床を提供され、身体を横にしたが最後、
鋼牙の意識は闇に吸い込まれるようにフツリと切れ、今に至った、と
いうわけだった。

「ザルバ…」

『わかってる』

鋼牙の言わんとすることを察し、ザルバは鋼牙の言葉を遮った。
目を閉じて何事かに集中し、そして何かを感じたようだ。

『…鋼牙、今なら魔戒道を使えるぞ』

「よし…」

言うなり、鋼牙は立ち上がると、その場にいない零に声をかけた。

「世話をかけた…」

一礼すると、すぐにコートの裾を翻し、零の家を後にした。




to be continued(4へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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