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きんのまなざし ぎんのささやき

また巡り逢える(6)

バネッサとカオルは何語で会話しているんでしょうねぇ?
自分で書いておきながら、突っ込みたくなる妄想ってどうなの? (苦笑)

読み返してみると、あっちにフラフラ、こっちにフラフラと、ひどくチグハグな
感じなのですが、そこんところは ’イイ感じ’ に脳内補完をお願いします。
(いつものことですが、甘えてすみませぬ…)

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

バーでのバネッサとの会話によって、カオルは気持ちに一区切りがついた。

そして、絵に対しても意欲が沸いてきた。
そうとなれば、行動あるのみ!
見るものすべてが新鮮に見える異国の地で、カオルはいろいろなことを
吸収しようと、残りの日程を精力的に動くことにした。

NYは美術館がとても多く、メトロポリタン、グッゲンハイム、MoMA、
ブルックリン、…と、有名な美術館がずらりと並ぶ。
それぞれの美術館には、カオルの好きなシャガールの絵もたくさん収蔵されて
いる。
そのどれもが得難い感動を与えてくれ、カオルは時間が経つのも忘れた。

夜、疲れた身体でホテルに帰ると、そのままベッドにダイブするのが日課の
ようになった。
一日中歩きっぱなしの足は、冗談ではなく、棒のようにカチカチだ。
そのまま眠ってしまいたくなる誘惑と戦いながら、ごろりと仰向けになる。
すると、窓の外にわずかだが夜空が見える。

いつの頃からか、カオルは夜空を見上げて祈るようになっていた。
月に、星に、毎日、毎日、無心で願った。

(鋼牙が無事に帰ってきますように…)




日本に帰ると、カオルはゴンザを訪ねた。
渡米前のカオルの傷心ぶりを心配していたゴンザは、NYから無事に帰ってきた
カオルが、とても明るい表情をしているのを見て、心の底から安心した。

「それじゃ、ゴンザさん。
 また、ちょくちょく顔を出すようにするから…」

「はい。
 いつでもお待ちしておりますよ、カオル様」

「鋼牙が、もし、帰ってきたら…」

「はいはい、わかっております。
 すぐにご連絡いたしますから、ご安心ください」

「…うん、お願いします」

それまで、元気だったカオルの顔が、そのとき一瞬だけ寂しげに変わった。
その変化に気付いたゴンザは、励ますように声をかけた。

「大丈夫でございますよ、カオル様。
 鋼牙様は、じきにお帰りになられます」

それはゴンザの願いでもあった。

「…そうだね。

 駄目だなぁ、あたし。
 笑って待とうって決めたのに、すぐに気弱になっちゃって…

 うん、もう大丈夫!

 それじゃ、ゴンザさん、またね!」

カオルはなんとか笑ってみせると手を振って、ゴンザのもとを後にした。

(鋼牙様、早くお帰りください。
 カオル様がお可哀想でございますよ…)

帰っていくカオルの小さな背中を、ゴンザはいつまでもいつまでも
見送った。




ゴンザを訪ねた後、カオルは真っ直ぐに自宅に帰ろうと思った。
まだ、なんとなく時差ボケが抜けずに身体がとてもだるかったからだ。

無機質なアスファルトやコンクリートの街並みを歩いていると、息苦しさの
ようなものを感じたので、それを避けようと、緑の多い公園に立ち寄った。
森の中、とはいかないまでも樹木があり、芝生や花壇などがあるだけなのに、
空気がガラリと変わった気がした。

平日の中途半端な時間のためか、公園に人影はほとんどない。
カオルは、ぶらぶらと足の向くままに歩いた。

(絵本の題材を求めて、よく、この公園にも来たな…)

あの頃のことが、つい昨日のことのようにも思え、また同時に、遠い昔の
ようにも思えた。
それは、なんだか不思議な感覚だった。

足の向くまま歩いていくと、自然にいつものコースをたどることになり、
中央に水場のある広場にたどり着いた。

広場を見下ろす階段の最上段に腰を下ろすと、カオルは、バッグの中から
一冊の絵本を取り出した。
いつどこで鋼牙に再会してもいいように、お守りのように持ち歩くように
なった絵本…
それは、カオルが出版した ’白い霊獣と秘密の森’ とは別の白い絵本だった。
表紙には、ただ白い羽が描かれただけの、タイトルも何もない、世界に
たったひとつの絵本だった。

表紙を眺めて、愛しそうに指でなぞる。
そして、1枚、また1枚とゆっくりページをめくっていく。

絵本の中で、少女は一枚の羽を手に入れる。
その羽を持って荒野を旅する少女。
旅の目的は何なのだろう?
羽に導かれるのか?
あるいは、羽を誰かに届けるためなのか?

やがて、少女は黄金の鎧の騎士と出会う。
ボロボロに傷つきながらも、いつも何かと闘っている騎士に。
少女が騎士にできることは何か?
少女が騎士に与えられることは何なのか?

やがて、少女は気付く。
この羽は、誰のものでもなく、自分のものだったのたということを。
騎士とともにこの大空を駆けるための羽。
この羽があれば、少女はいつまでも、騎士のそばにいることができる…




「絵本が完成したら、鋼牙に一番最初に見てもらうから」

その約束は、いったいいつになったら果たされるのだろうか。
カオルは、最後のページをパタンと閉じると、思わず溜め息が出た。

(鋼牙… あなたは、今、何をしているの?

 …逢いたいよ、鋼牙)





その時間、零の家の近くに魔戒道は出現していた。

鋼牙は魔戒道の入り口を開き、その中へと飛び込んだ。
いつものように、大きな歩幅でずんずん歩いていく。
いや… はやる気持ちはその足の運びに十分表れていた。
無言で進む鋼牙に、ザルバは声を掛ける。

『鋼牙。
 ゴンザもカオルも元気にしているだろうか?』

明らかに、鋼牙の反応を楽しむような口調だ。
だが、気付かぬ振りをして鋼牙はその問いに穏やかに答える。

「…あぁ」

『早く逢いたい、よな?』

「…そうだな」

鋼牙の返事は短い。
だが、ザルバにはこれで十分だ。

ザルバのちょっかいに対して、以前の鋼牙なら、照れて黙り込んでいた。
やがて、無愛想に返事だけはするようにはなった。
それが、今では、何でもないことのように静かに答えるようになっていた。

(鋼牙のやつ、嬉しそうだぜ)

ザルバはそう思いながら、相棒が歩を進める一定のリズムに無言のまま
揺られていた。



しばらくして、ザルバが唐突に口を開いた。

『鋼牙、出口だ。
 公園に出る!』

「わかった」

魔戒道の出口が少しずつ、少しずつ近づいてきた。
薄暗い魔戒道から、一瞬にして午後の光の中に放り出され、鋼牙は少し目が
くらんだ。
広場の中央、3つのオブジェがある水場の脇に鋼牙は立っていた。

少しずつ色も形もはっきりしてきた視界を確かめるように、辺りをゆっくりと
見渡す。
鋼牙がいるのは、すり鉢状にくぼんだ底にあたる場所なので、おのずと
視線は上を向く。

「!」

鋼牙は、そこにひとりの女性の姿を見た。
コツコツとヒールの音をさせながら、目の前の階段を上っていく。

鋼牙は声をかけるのも忘れて見つめた。

階段を一段上がるたび、きれいに巻かれた髪が肩先で軽やかに跳ねている。

(少し痩せたか…)

鋼牙の眼差しに切なさが宿る。

階段を上るにつれて、女性の歩みはゆっくりになった。
それは、何かに耐えるような、憂いを帯びた背中に見えた。


鋼牙が見つめていることなど知りもせず、遠ざかろうとする女性。

すると、鋼牙のコートの中から、 ’カオル’ が飛び出してきた。
その魔戒竜の稚魚が、くるりと空中に円を描くと、鱗粉のような光が
1箇所に集まり、小さな光の玉を形作った。
’カオル’ はそれを器用に尾びれで弾き飛ばす。

小さな光の玉は、ふわりふわりと女性のほうへと飛んで行く。
階段を上り切ったところで光の玉が彼女に追いつくと、ふっと何かに
気付いたような彼女が、こちらを振り返った。

「!」





カオルは今、鋼牙の腕の中にいる。
優しく強い腕に抱かれて、懐かしい鋼牙の匂いに包まれて。

カオルの背中に見えないだろうか?
白くて柔らかい、生まれたばかりの白い羽が…



fin
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なんとかギリギリ間に合ったかな?
明日から家を空けるので、どうしても今日中に終わらせたかったのです。
(って、日付がもう変わってた…)

今回も、selfish の予期しないことがいろいろありましたぁ~

カオルちゃんがNYに行くなんて!

これが一番大きな ’想定外’ ですが、小さいところでいくと、
’白い絵本’ についてです。
’白い絵本’ の内容には、これまであまり気に留めていなかったのですが、
今回せっかくなので、1枚1枚見ていったら、これがなかなか!
素敵な内容だということを初めて知りました。

あれって、カオルからのプロポーズともとれませんか?
羽を手に入れたカオルは、鋼牙と一緒に飛べるよ! いつまでも一緒だよ!
ってことをアピールしているような気が…
(かなり願望を多く含んでますが)

鋼牙さんがあの絵本を読んだらどう思うんでしょうね?
機会があれば、その辺も妄想したいかも…
(需要の有無は… この際、蹴飛ばしときましょうか?)

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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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