きんのまなざし ぎんのささやき
牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです
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なんだかヒドイもん書いてるなぁ… あらためて読み返してみて、そう思いました。
翼視点になってみたり、邪美視点になってみたり、コロコロ変わり過ぎ…
みなさん右往左往してるでしょうね? すみませぬ。
でも、この ’気ままさ’ が辞められない、止まらない…
特別な事件も起こらない、アクションもないまま展開していく妄想に、みなさん、ついて来れてます?
なんとか、がんばってついて来てくださいよ~っ! (必死!)
翼視点になってみたり、邪美視点になってみたり、コロコロ変わり過ぎ…
みなさん右往左往してるでしょうね? すみませぬ。
でも、この ’気ままさ’ が辞められない、止まらない…
特別な事件も起こらない、アクションもないまま展開していく妄想に、みなさん、ついて来れてます?
なんとか、がんばってついて来てくださいよ~っ! (必死!)
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布団を敷き終えた翼は、邪美を振り返った。
椅子の背にぐったりと寄りかかっている邪美は、辛そうに目を閉じていた。
ゆっくりとした呼吸だったが、意識しているのか、深く大きく胸が上下していた。
「邪美、布団が敷けたぞ。 …歩けるか?」
翼が声をかけるとフッと目を開けたが、椅子から立ち上がる動作はひどく緩慢だった。
翼はすぐに邪美の元に近づいた。
「肩を貸そう…」
短くそう言うと、邪美の腰の辺りをサポートした。
(!)
翼は少し違和感を感じ、邪美を見た。
いつもなら身長差をあまり感じないのだが、なんとなく邪美が小さく見えたのだ。
それもそのはずで、普段はヒールのある靴を履いている邪美が今は裸足なのだから数cm低くなっているのは当然だった。
いつも「自分と同等」というふうに思っていた者が、こんな些細なことからも「守るべき存在」なのだと自覚されてしまい、翼の胸が騒ぐ。
そんなことを考えていた翼に邪美は言った。
「情けないだろ?
これっぽっちの距離もひとりで行けないなんてさ。
こんな姿、誰にも見せたかなかったよ」
「…」
自嘲気味な邪美に返す言葉が見つからない。
邪美の歩みに合わせてゆっくり歩き、ようやく布団のそばまで行くと、翼が布団をめくってやった。
「少し眠るといい。
俺は外すからなんの気兼ねもいらん」
やや事務的な口調で翼は言った。
「そうだね、その言葉に甘えることにするよ。
でも…」
布団に横になった邪美が、翼を意味ありげに見上げた。
「なんだ?」
「甘えついでにもうひとつ…
あたしが眠るまで、そばに居てくれないかい?」
「!」
邪美の言葉に翼はたじろいだ。
その反応に、邪美が笑いながら言う。
「フフッ… こういうのはなんだか恥ずかしいもんだねぇ。
全部、熱のせいってことにしとくれよ。
ほんの少しでいいからさ。 駄目かい?」
反応を窺うように布団の中から邪美が見つめる。
「…」
黙って何かを考えていた翼だったが、やがて、すっくと立ち上がった。
「?」
心配そうに見上げる邪美のほうは見ずに、翼は真正面を睨みつけるようにしていた。
「少し額を冷やしたほうがいいだろう。
湖の水を汲んでくる。
ちょっとだけ待っていろ!」
そう言うと、小屋の片隅にある炊事場から桶を見つけ出して、小屋を出ていった。
その様子をじっと見つめていた邪美は、布団の中で声を立てないようにしながらクスクス笑っていた。
(耳が真っ赤だよ、翼…)
チャプン…
湖の水で濡らした手拭いを邪美の額にそっと置く。
少し落ち着いたのか、邪美は静かに眠っていた。
安定した呼吸が、薄い布団を上下させていた。
邪美が眠ってしまったあとも、翼はなんとなくそばに居続けた。
時折、苦しげに呻く邪美に、大丈夫か、と声を掛けたり、すぐにぬるくなってしまう手拭いを替えたりするためだ、というのを理由にして。
小一時間ほど経過し、邪美がうっすらと目を開けてみると、枕元に翼の姿があった。
(ずっといてくれたんだ…)
そう思ったら、嬉しくなって胸の中があったかくなり、それがそのまま顔に出た。
翼の目には、少女のような無垢な笑顔に見えた。
そんな邪美を見ると、たまらない気分になる。
そのまま再び、邪美は眠りに就いたが、コクリュウダケのしぶとい毒素はなかなかラクにはしてくれないようで、時折思い出したように苦しそうな息遣いになった。
すぐに湖の水で濡らした手拭いで冷やしてやると、その辛さもしばらくすれば収まるようだった。
そんなことが何度か続き、ふいに邪美の口がパクパクと動いた。
何か喋りたそうだが、言葉にならない。
「どうした?
喉が渇いたか?」
翼は顔を近づけて訊いた。
無意識のうちにコクンとうなづく邪美に、翼は慌てて ’やかん’ を手にした。
’吸飲(すいの)み’ があればそれが一番よかったのだが、どこを探しても見つからなかった。
仕方がないので、小屋にあった小さめのやかんに湖の水を汲んでおいたのだ。
邪美の身体を少し起こしてやり、やかんの注ぎ口をそっと邪美の唇にあてがう。
ゆっくり傾けてみるが、どうもうまく飲み込めないようで、飲みきれない水が口の端からこぼれたり、ごほごほとむせたりした。
(参ったな…)
はぁはぁと辛そうな邪美を見ながら、翼は眉間に皺を刻んだ。
to be continued(6へ)
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布団を敷き終えた翼は、邪美を振り返った。
椅子の背にぐったりと寄りかかっている邪美は、辛そうに目を閉じていた。
ゆっくりとした呼吸だったが、意識しているのか、深く大きく胸が上下していた。
「邪美、布団が敷けたぞ。 …歩けるか?」
翼が声をかけるとフッと目を開けたが、椅子から立ち上がる動作はひどく緩慢だった。
翼はすぐに邪美の元に近づいた。
「肩を貸そう…」
短くそう言うと、邪美の腰の辺りをサポートした。
(!)
翼は少し違和感を感じ、邪美を見た。
いつもなら身長差をあまり感じないのだが、なんとなく邪美が小さく見えたのだ。
それもそのはずで、普段はヒールのある靴を履いている邪美が今は裸足なのだから数cm低くなっているのは当然だった。
いつも「自分と同等」というふうに思っていた者が、こんな些細なことからも「守るべき存在」なのだと自覚されてしまい、翼の胸が騒ぐ。
そんなことを考えていた翼に邪美は言った。
「情けないだろ?
これっぽっちの距離もひとりで行けないなんてさ。
こんな姿、誰にも見せたかなかったよ」
「…」
自嘲気味な邪美に返す言葉が見つからない。
邪美の歩みに合わせてゆっくり歩き、ようやく布団のそばまで行くと、翼が布団をめくってやった。
「少し眠るといい。
俺は外すからなんの気兼ねもいらん」
やや事務的な口調で翼は言った。
「そうだね、その言葉に甘えることにするよ。
でも…」
布団に横になった邪美が、翼を意味ありげに見上げた。
「なんだ?」
「甘えついでにもうひとつ…
あたしが眠るまで、そばに居てくれないかい?」
「!」
邪美の言葉に翼はたじろいだ。
その反応に、邪美が笑いながら言う。
「フフッ… こういうのはなんだか恥ずかしいもんだねぇ。
全部、熱のせいってことにしとくれよ。
ほんの少しでいいからさ。 駄目かい?」
反応を窺うように布団の中から邪美が見つめる。
「…」
黙って何かを考えていた翼だったが、やがて、すっくと立ち上がった。
「?」
心配そうに見上げる邪美のほうは見ずに、翼は真正面を睨みつけるようにしていた。
「少し額を冷やしたほうがいいだろう。
湖の水を汲んでくる。
ちょっとだけ待っていろ!」
そう言うと、小屋の片隅にある炊事場から桶を見つけ出して、小屋を出ていった。
その様子をじっと見つめていた邪美は、布団の中で声を立てないようにしながらクスクス笑っていた。
(耳が真っ赤だよ、翼…)
チャプン…
湖の水で濡らした手拭いを邪美の額にそっと置く。
少し落ち着いたのか、邪美は静かに眠っていた。
安定した呼吸が、薄い布団を上下させていた。
邪美が眠ってしまったあとも、翼はなんとなくそばに居続けた。
時折、苦しげに呻く邪美に、大丈夫か、と声を掛けたり、すぐにぬるくなってしまう手拭いを替えたりするためだ、というのを理由にして。
小一時間ほど経過し、邪美がうっすらと目を開けてみると、枕元に翼の姿があった。
(ずっといてくれたんだ…)
そう思ったら、嬉しくなって胸の中があったかくなり、それがそのまま顔に出た。
翼の目には、少女のような無垢な笑顔に見えた。
そんな邪美を見ると、たまらない気分になる。
そのまま再び、邪美は眠りに就いたが、コクリュウダケのしぶとい毒素はなかなかラクにはしてくれないようで、時折思い出したように苦しそうな息遣いになった。
すぐに湖の水で濡らした手拭いで冷やしてやると、その辛さもしばらくすれば収まるようだった。
そんなことが何度か続き、ふいに邪美の口がパクパクと動いた。
何か喋りたそうだが、言葉にならない。
「どうした?
喉が渇いたか?」
翼は顔を近づけて訊いた。
無意識のうちにコクンとうなづく邪美に、翼は慌てて ’やかん’ を手にした。
’吸飲(すいの)み’ があればそれが一番よかったのだが、どこを探しても見つからなかった。
仕方がないので、小屋にあった小さめのやかんに湖の水を汲んでおいたのだ。
邪美の身体を少し起こしてやり、やかんの注ぎ口をそっと邪美の唇にあてがう。
ゆっくり傾けてみるが、どうもうまく飲み込めないようで、飲みきれない水が口の端からこぼれたり、ごほごほとむせたりした。
(参ったな…)
はぁはぁと辛そうな邪美を見ながら、翼は眉間に皺を刻んだ。
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コメント
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…
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