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誰も知らない(4)
邪美姐さん、ちゃんと色っぽく書けてますかね?
一生懸命、翼をクラクラさせようと頭を捻ってはいるのですが…
ぜひとも、みなさんで脳内補完のほうお願いしますね!
しかし…
翼は、いったい何回、邪美をお姫様抱っこするんだぁ~
一生懸命、翼をクラクラさせようと頭を捻ってはいるのですが…
ぜひとも、みなさんで脳内補完のほうお願いしますね!
しかし…
翼は、いったい何回、邪美をお姫様抱っこするんだぁ~
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小屋に入ると、翼は、手近な椅子に邪美を座らせた。
そして、我雷法師の用意した荷物を一式、邪美の足元に置いた。
中から、清潔なタオルを探し出して、邪美に差し出した。
ひとつひとつの動作は実に丁寧だったが、翼の表情は固く、不思議な緊張感のようなものが漂っていた。
「身体を拭いて、乾いた服を着るといい。
…さすがに、それは… その… 自分でできるだろう?
着替えはこの中にあるから適当に見つけてくれ」
そう言った翼は、
「俺は外で待ってるから。
そうだな、10分経ったら… いや15分は戻らないから、ゆっくり着替えるといい」
翼は邪美のほうを一度も見ずにそう言うと、小屋から出て行こうとした。
「待ちなよ」
邪美は翼の背中に声を掛けた。
「あんただってびしょ濡れじゃないか…」
その言葉に振り返りもせずに翼は答える。
「俺のことなら気にするな。外で着替えてくるから問題ない。
おまえは自分のことだけ考えてればいい」
「でも…」
さらに引き止めようとする邪美に構わずに、翼は小屋から出ようとした。
翼の素っ気ない態度が、邪美には気にかかる。
(コクリュウダケの毒気にやられて何もできないあたしに、嫌気がさしているんだろうか?
それとも、見るには忍びないとのでも思っているのだろうか?)
そう思いながら、引き止めるために翼の腕を掴もうとして椅子から立ち上がった邪美は、バランスを崩して倒れそうになる。
ガタタタ…
気配を察して即座に振り返った翼は、すぐさま邪美を抱き止めた。
はっとして顔を見合わせたふたり。
緊迫している状況だというのに、目の前の翼の前髪から落ちた雫が鼻の先からポタリと落ちたのが見えて、なんとも間が抜けて見えて可笑しかった。
クスッ
吹き出す邪美。
途端に、少しムッとする翼。
笑われたことに少し機嫌を損ねたようだった。
「ありがとう。すまないね…
でも、ほら、あんただってそれじゃ風邪を引いちまうよ。
ちゃんと拭いた方がいい」
邪美はそう言うと、さっき翼から手渡されたタオルを差し出した。
憮然としながらも邪美からタオルを受け取った翼は、再び邪美を椅子に座らせてから小屋を出た。
小屋を出ると、湖を渡る風が翼の身体を冷やし、思わず、ブルッと身震いした。
湖の岸に靴やコートを脱ぎっぱなしにしていたのを取りに、翼は歩き出した。
正直、翼は戸惑っていた。
コクリュウダケの毒気にやられた邪美は、その後の素早い的確な処置で大事には至らなかったものの、いまだわずかに体内に残っている毒のために微熱があり辛そうだった。
その様子が、普段の邪美とはまるで違うのだ。
普段の邪美は、魔戒法師として素晴らしい存在だった。
さすが、阿門法師の秘蔵っ子である。
魔導具の錬金はもちろん、法術、ひいては体術までも人並み以上である。
一時は「一度死んだ人間だ」と忌み嫌ったこともあったが、今では翼が最も信頼する魔界法師と言っても過言ではなかった。
ホラーとの闘いの場でのパートナーとしても、里の子どもたちの指導者としても邪美ほどの者はなかなかいない。
それに、翼の妹、鈴は邪美を姉のように慕っている。
邪美に対する鈴は、外では他の法師と同様に敬意をもっと接しているが、家に帰れば、兄には話せない至極プライベートなこともどうやら打ち明けているらしい。
普段はとても気さくで、だけど修行や闘いの場では凛々しい邪美は、しなやかで強いという印象なのだ。
だが、今の邪美は違う。
自分で歩くことさえ、ままならないくらいに弱っていた。
いつもなら真っ直ぐに翼に向けられる視線が、熱のせいか潤んで物憂げに翼を見るのだ。
指一本を動かすのも億劫で、動作のひとつひとつが実に弱々しく儚げだ。
普段の凛とした邪美も美しいと思ったが、今の邪美を見ていると、自然と守ってやりたい衝動に駆られる。
そんな邪美を目の前にして、平静でいられない自分が情けなく思える。
(少し頭を冷やそう…)
そう思った翼は、そのまま再び玻璃の湖へと飛び込んだ。
15分後。
邪美に約束をした時間が過ぎるのを待って、翼は小屋に戻った。
身体を拭いて、着替えも済ませていた。
小屋の戸を開ける前に、
「邪美、もういいか? 入るぞ?」
と声を掛けた。
「いいよ」
邪美がそう答えたのを聞いてから、戸を開けて中に入る。
「!」
驚いた翼の足が止まった。
邪美は着替えを終えて、濡れた髪を拭いているところだった。
が、その出で立ちに翼は驚いたのだった。
邪美が着ていたのは、いつも来ているような黒い服ではなかった。
我雷法師のそばに仕えている萬寿や黄花が来ているような白いシャツで、裾は膝くらいまであるゆったりとしたものだった。
里の女が赤や緑の帯を着けて部屋着や野良着として着ているのを翼もよく見ていて知ってはいるが、目の前の邪美はその帯は着けずに、頭からすっぽり被っただけのとてもラフな格好だった。
そんな邪美を初めて見て、あまりにいつもとは印象が違うことに驚いてしまった。
「どうかしたかい?」
翼の様子がおかしいことに気づき、邪美は声を掛けたが、すぐに気が付いたのか、
「あぁ、これかい?
一番ラクそうなのを選んだんだよ。
あたしには、似合わないかい?」
弱々しく笑う邪美に、翼は言った。
「いや、そうじゃない。
なんというか… そういうのも悪くないなと思って…」
視線を泳がしていた翼が、チラリと邪美を見る。
「ふ~ん、悪くない、か…」
翼の言葉を繰り返し、試すようにこちらを見る邪美に翼は慌てた。
「いや、よく… 似合って… る…」
最後は小さくて聞き取れないくらいだったが、それで十分、邪美はほっとした。
さっきからなんとなくおかしかった翼の容姿が、実は照れているからだということがはっきりと判ったからだ。
「翼、少し横になりたいんだが…」
「そうだな、今、寝床を用意してやる。 待っていろ…」
そう言うと、翼がいそいそと動き出した。
勝手がわからず、布団を敷くのに無駄な動きも多かったが、邪美のために懸命に働く翼の背中を見ながら邪美は嬉しくなった。
こんなにかわいい翼は、他の誰も知らないのではないだろうか?
そんな翼を、今日は邪美が独り占めできるのだ。
(今日は少し、甘えてみよう… か?)
to be continued(5へ)
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コメント
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…
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