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誰も知らない(7)
やすえさんのふんわりと優しい人柄に触れるたびに、かわいい邪美を見てみたいなぁ~ なんて思っていたのですが、どうですかね? 大丈夫でしょうか?
そのためには翼にしっかりしてもらいたいのですが…
翼ぁ、頑張ってくれぇ~
そのためには翼にしっかりしてもらいたいのですが…
翼ぁ、頑張ってくれぇ~
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邪美が次に眠りから覚めたとき、周りはすっかり暗くなっていた。
「…」
闇の中で目をこらし、気配を探ってみた。
そばにいてほしいと翼に頼んだときには、目覚めたときもそばにいてくれて嬉しかった…というのは、さっきのことだった。
なのに今は、ひとりにしてくれと翼に願ったために、それを忠実に守っているのか近くに人の気配は微塵もなかった。
横になったままどうしたものかと考えていると、なんとなくいい匂いが漂ってきた。
(そう言えば、朝、食べたきりだったねぇ…)
空腹を覚えた邪美は、ゴソゴソと布団から這いずり出て、暗闇の中を手探りで小屋の戸口まで行った。
戸を開けた途端、新鮮な空気に包まれた。
邪美の目の前には、しんと静まり返った湖が…
そして、その上空には、星を散りばめたような濃紺の空が広がっていて、その空を縦断するように天の川が見える。
天の川にすっかり主役の座を奪われた月は、夜空の隅っこに遠慮がちに浮かんでいる。
星も月もキラキラと水面を照らしていて、遠くに見える山々が作る黒い影が無ければ、空と湖の境はわからなかっただろう。
とにかくそれは、まるで絵画のように美しい光景だった。
ふと見ると、ぞの湖の岸辺に赤々と燃える火があった。
石がいくつか組まれてかまどのようにしつらえてあり、鍋のようなものがかかっている。
だが、火のそばには誰もいない。
(翼はどこだ?)
そう思って、暗闇に目をこらしてみる。
すると、湖の中を何かがツツーッと移動していくのが見えた。
湖に映った天の川がハサミで切り取られるように黒く分断されていく…
邪美はゆっくりと湖の岸辺に向かって歩き出した。
火のそばまで来ると、そこにかかっている鍋をチラリとみた。
たくさんの具が入った味噌汁が出来上がっており、誰かに食べてもらえるのを待っていた。
どうやら翼がこしらえたもののようだが、翼もまだ手をつけていないようだった。
邪美はそこで足を止めずに、湖の際(きわ)まで歩いていくことにした。
水際に来てみると、小さな波が寄せては返し、白い砂を濡らしていた。
その波で濡れない場所には、翼が脱いだと思われる服がきれいに畳まれて置かれていた。
その一番上には、邪美が渡したタオルもあった。
裸足の邪美はそのまま、湖の中に足を入れてみた。
「!」
思ったほど冷たくはなかったが、それでも全身をつけるには少し勇気のいる水温だった。
どうしたものかと思案していると、邪美の存在に気付いたのか翼のほうから近づいてきた。
途中まで戻ってきたところで声をかける。
「邪美ぃ! 起きたのかぁ?」
水音以外に何も聞こえない静かだった湖の上を、翼の声が響き渡る。
「あぁ!」
声がよく届くようにと口元に手を添えて、邪美が返事をした。
「今、そっちに行く!」
そう返事をしながら、翼は邪美の待つ岸辺へと近づいた。
ジャバ… ジャバ…
やがて邪美の目の前まで来た翼は、
「腹が空いただろう? 何か食うか?
味噌汁を作っておいたんだが…」
と水をしたたらせながら訊いた。
「あぁ、とてもうまそうだったよ。
…でも、その前にちゃんと身体を拭いた方がいい」
そう言って、置いてあったタオルを翼の頭にふわりとかけた。
翼はそれでゴシゴシと頭を拭き、上から順番に身体を拭いていった。
その様子を見ていた邪美が、何気なく尋ねた。
「なんだってこんな真夜中に湖に入ったんだい?
けっこう冷たいじゃないか。 風邪をひいちまうよ」
すると、翼の手が一瞬止まった。
「…そうか?
入ってしまえば、そんなに冷たくはないぞ」
そう返事をして、再び身体を拭く手を動かし始めた。
その様子が「フツウ」と言えばフツウだったが、「何か引っかかる」と言えば引っかかった。
「…」
無言で身体を拭き続ける翼に掛ける言葉が見つからなくて、邪美もなんとなく黙っていたが、ふいに、謝るなら今しかないと思った。
「翼、さっきはごめんよ。
’ひとりになりたい’ だなんて言ったもんだから、あんたを小屋から締め出しちまうことになっちまったね」
「そんなことは気にするな。
俺としてもそのほうがよかっ…」
そう言いかけて、翼は黙り込んだ。
何か言ってくれるのをしばらく待ってみたが、どうやら話す気がないらしい。
仕方がないから、邪美のほうから訊いてみた。
「そのほうが都合がよかったってのかい?
…どうしてだい?」
邪美は翼を覗き込むように、首をかしげた。
いつもだったら翼に対する意地悪のつもりで尋ね、翼を黙らせることで満足していただろうが、今日に限っては、翼の口から何かを訊きだしたくて、邪美の口調はつい懇願するような感じになっていた。
「いや、別に… 深い意味はない。
俺がいないほうが、おまえはゆっくり休めると思ったから… それだけだ」
そう答えた翼が鼻の先をちょんと触った。
翼は自分では気づいていないようだが、この仕草をするときは十中八九、嘘をついているときなのだ。
以前、鈴にそう教えてもらったことがあった。
「へぇ~ それは気を遣わせちまったね。
お蔭でぐっすりと休めたよ」
邪美は素直にそう言った。
だが、すぐに、
「…でも、それだけじゃないんだろう?」
と追いすがるように訊いていた。
to be continued(8へ)
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コメント
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…
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