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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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another story ’絵本’

10年前の2005年10月7日に、牙狼の第1話が放送されました。

あのお話で、以前からずっと疑問に思っていたことがあって…
そこから妄想してみたら、こんなお話が出来ました。

ただ、ま~ったくの出鱈目で、決着もつかないお話です。
それでもいいよ、という心の広い方は、続きをどうぞ!




::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

もし、ホラー アングレイとの闘いの最中(さなか)、結界などなくてカオルが画廊の外に出られたとしたら…
これはそんな「仮定」のお話。もうひとつの「絵本」。



画廊から飛び出したカオルは、通りを挟んだ向かいの建物の影に身を潜めた。
画廊では今頃すさまじい闘いの最中のはずだったが、外に出てみると拍子抜けするほどにその気配は微塵もない。
それは、ホラーの存在やそのホラーと闘う魔戒騎士の存在を外部の人間に知られぬよう、カオルが外に出たタイミングで鋼牙が結界を張ったためであったが、そんなことを彼女は知る由(よし)もなかった。

はあっ、はあっ、と弾む息を整え、カオルは胸にある額をぎゅっと抱いた。
大きな瞳はじっと画廊の入り口からそらさない。
カオルはこのまま逃げ帰ることもできたはずだった。
確かに、ついさっき目にした信じられない光景は「夢」か何かだと言い聞かせて、家に帰っていつもと変わらずに眠りにつくのが賢明なのだと思う。
だが、カオルにはそれができず、画廊を見つめていた。
怖いもの見たさなのか何なのか、とにかく生来の好奇心のようなものがムクムクと顔を覗かせて、この場をすぐに立ち去ることは考えもしなかった。

ひとまず闘いの場所から離れたことで落ち着き、一息ついたカオルは、画廊の中での出来事を思い返してみた。
画廊のオーナーが恐ろしい化け物と化し、羽交い絞めにされて生臭い息がかかったときのことを思い出すと、今でも身体の芯から震えが来る。
あの状況からよくも逃げ出せたものだと思うと、心底ホッとする。
恐らく、カオルが助かったのは、白いコートを着たあの男のお陰と言えよう。
恰好だけ見ると、この季節になぜコート?(しかも真っ白!)という胡散臭さを感じるのだが、顔立ちは整っていてなかなか(いや、結構!)美形だった。
けれども、カオルはあの男に素直に感謝の念が起きなかった。
戦闘中に化け物に突き飛ばされたカオルを、あの男は優しく受け止めてくれたわけでもなく、お前なんか邪魔だとばかりに突き飛ばされたのだから!

(確かにあの人は命の恩人かもしれないけど、あれは絶対、あの化け物と闘いたくってここに来たんだわ!
 あたしを助けたことなんて偶々よ。た・ま・た・ま!)

そのときのことを思うと沸々と怒りがこみあげる。
でも。
それでもやっぱり、彼の身を少し案じてもいた。
なんせ、彼はただの人間なのだ(と思う)。
そんな彼が持っている武器は剣1本で、それでもってあの化け物相手と互角に闘えるとは、どう考えても「ありえない」ことだったから。

(あの人、大丈夫かな?)

ドキドキしながら、入り口を見つめる。

(出てくるのが化け物のほうじゃなきゃいいけど…)

もし、そうじゃなかったら…
そのときは男のほうが負けたことになる。
だったら、急いで中に戻ろうとカオルは思っていた。そして、倒れている男を見つけてまだ息があるようなら

(救急車を呼ぶくらいはしてあげられる!)

そんなふうに考えていた。

画廊を睨み続けてどのくらいの時間が経っただろう。
ふいに、空気の質感がどことなく変わったような気がした。
具体的な説明など全くできないが、でも確かにさっきと何かが違うのだ。

ほんの少し迷ったカオルは、恐る恐る画廊へと足を進めてみることにした。

入り口から中の気配を探る。
だが、堅牢なドアが遮り、中の様子はよくわからない。
けれども、激しい戦闘が繰り広げられているような緊迫感は少しも感じられない。
闘いは終わった…
そんな気がカオルにはしていた。

重いドアに手をかけてそっと入ってみる。
ドアの軋む音が予想以上に大きく聞こえて、背筋が寒くなる。
ただ、やはり、中からは何の物音もしない。

カオルはごくりと唾を飲み込み、奥へと進んだ。
化け物とあの男が闘っていた部屋にゆっくり近づくと、ガラス越しに中を窺(うかが)う。
見える範囲では人の姿は見えない。
明りだけが煌々と灯り、しんと静まりかえっているだけだ。

(どうしよう…)

もし、あの化け物と遭遇したら、今度こそ生きてここから出られない。
そう思うと足が震える。
でも、これだけ神経を研ぎ澄ませて窺っても、カオルの目にも耳にも中に何かがいる気配は全く感じられなかった。
ぎゅっと目を閉じたカオルが、パッと目を開けたとき、迷いは消し飛んでいた。
無意識に大きく息を吸って止めると、ドアを開けて中に入った。

(あれ?)

カオルはキョロキョロと辺りを探りながら進んだ。

広いホールの床は、重機で叩きつけでもしたかのように大きく損傷していた。
間違いなくここであの化け物とあの男が闘っていた証拠である。
だが、それ以外、何もなかった。
化け物の姿も男の姿も、だ。

(え? なにこれ? わけわかんない!)

狐にでもつままれたような気持ちで、カオルは立ち尽くした。




翌日、自分の部屋でカオルは目覚めた。
昨夜はどうやって帰ってきたのか記憶が定かではなかったが、とにかくちゃんと家まで戻ってきたようだ。

(あ、個展!)

寝ぼけ眼(まなこ)をパッと見開き、慌てて起き上がって身支度を始める。
家を出掛けにぐるっと室内を見渡したとき、テーブルの上の額に入った絵に目が留まった。
ちょっとだけ考えたカオルだったが、やっぱりその絵も持っていくことにして手に取ると、急いで家から出ていった。




画廊に行ったら、案の定、ちょっとした騒ぎになっていた。
画廊に勤めるスタッフが朝出勤してみたら、室内が破壊されていたのだから、さぞや驚いたことだろう。
慌ててオーナーに連絡を取ろうとしたが、何度やってみても連絡はつかなかった。
警察沙汰にするにしても、やはりオーナーには一言連絡したいということで、スタッフは

「もう少し粘ってみる」

と言っていた。

「それじゃ、個展どころじゃないですね」

消沈した顔つきのカオルに、

「ごめんね。何かわかったら連絡するから!」

と、一瞬すまなそうな顔を見せたスタッフだったが、すぐに事態の収拾のため、忙しそうにあちこちに連絡を入れ始めた。

このまま画廊にいても何ができるわけでもないので、カオルは外に出た。
そして、カバンの中から手帳を取り出すとページをパラパラとめくった。
昨夜、「絵を届けてくれ」と書かれた住所が書かれたページをカオルは探していた。

(ここに行けば、何かわかるんじゃない?)

そうした期待がカオルに力をくれた。
カオルは自転車にまたがると、エイッとペダルを力強く漕いだ。




それから数時間後。
カオルは途方に暮れていた。

「あいつ、何者?
 どうしてこんな出鱈目な住所を書いたりしたの?」

初めての個展もダメになった。
初めて絵が売れたと思ったのに、絵の購入者が教えたのはまったく存在しない住所だった。
唇を尖らせたカオルが、泣きたくなるような気持ちに懸命に耐え、トボトボと力なく自転車を押して歩くのだった。


fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


すいません! オチはないの!
そして、続きもないデス!
いろいろほんとにすいません!

さて。
以前から思ってたんですが、鋼牙が「ここに届けてくれ」とカオルの手帳に書いた住所は、本物だったんでしょうか?
もちろん、絵が気に入ったのは本当のことだったんでしょうが、ひとまず、カオルがこの場から立ち退いてくれればよかったわけで、あそこに書いた内容は出鱈目だったんじゃないかな? とず~っと思ってました。
どんな奴かもわからない相手(カオルね)に、魔戒騎士の居場所を教えちゃうわけにはいかんだろうな、と。

だったら、鋼牙があの絵を持っていくんじゃなく、カオルがウロウロ探し回って「出鱈目じゃない!」って怒るケースがあってもいいかなと思って。

ただねぇ~
大きな問題があってですね…

こうしちゃうとカオルが ’血に染まりし者’ にならないんですよ。
決定的に「駄目」なパターンですよね? すいませ~~~ん!

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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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