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遅れてきたメリークリスマス(3)
ほんとは正月ボケもそろそろ解消されてなきゃいけない頃なのに、まだまだ続くよ、メリークリスマス!
書いても書いても妄想が止まらない…
この状況を喜んでいいのか?
…ちょっとだけ複雑な心境ですが、へへ~ん、いいんだもん! 楽しいんだもんっ!
書いても書いても妄想が止まらない…
この状況を喜んでいいのか?
…ちょっとだけ複雑な心境ですが、へへ~ん、いいんだもん! 楽しいんだもんっ!
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どこから現れたのか、そこには鋼牙の姿があった。
白いコートを脱いだ姿だったので、たった今ここに到着したというわけではなさそうだが、カオルにはそんな細かいことまでとても考えは及ばない。
なんせ愛する人が目の前にいるだけで、一気にテンションはマックスに達するのだから。
とはいえ、あることにはすぐに気が付いた。
「鋼牙、お仕事のほうはもう終わったの?」
疑問をそのまま口にしたが、すぐにハッと何かに思い当たった。
「ま、まさか、この近くにホラーがいるとか?」
ひとりで早合点して、怯えつつも辺りを注意深く見回すカオル。
『はっはっは。安心しろ、カオル。
今夜はホラーの気配など微塵も感じられないからな』
ザルバの高笑いがカオルの心配を吹き飛ばした。
「なぁんだ、そうなの?
あれっ、でもさっきザルバが…」
カオルが鋼牙と落ち合って早々、確かザルバが不穏な気配を察知したはず… と、頭が混乱しているカオルがそう呟くと、
『俺様はただ、野暮用が、と言ったはずだが?』
と涼しい顔で言う。
(そう言われると、確かに…)
カオルが記憶を掘り返してみると、ザルバはホラーのホの字も言っていない。
「ええ? そんな… だって…」
半分理解しつつも、いまだ自分の置かれた状況を整理しきれていないカオルに対して、鋼牙が申し訳なさそうに口を開いた。
「すまないな、カオル。驚かせてしまったか?」
ところが、ザルバのほうは悪びれた様子はまったくない。
『何を言ってるんだ、鋼牙。サプライズってやつだぜ、サ・プ・ラ・イ・ズ!
驚いてもらわないと意味がないじゃないか、なぁ、カオル?
それにあれだ。ここまでうまくいったのは、俺様のアイデアのお陰じゃないか?
カオルが俺たちと別れた後に街をふらふらしていたのでは、せっかくの苦労が台無しになるからな。
だから、ゴンザを迎えに寄越して、その隙に俺たちはこっちに先回りしようっていう…
いい思いつきだと思ったが、まさか、こんなにうまくいくとは思わなかったぜ』
と、自分たちの企みがうまくいったことにご満悦だ。
そんなザルバのご機嫌とは裏腹に、カオルが戸惑うばかりで少しも喜んでいそうにないことを察知して、鋼牙の表情はどことなく暗い。
『いやあ、大成功。大成功!
いつもカオルには寂しい思いをさせるからって、鋼牙のやつが言うもんだからさ。
俺様もゴンザと一緒に手伝ってがんばった甲斐が…』
「ザルバ!」
ザルバのどこまでも続きそうな話に、鋼牙が小さく名を呼んで黙らせた。
もういい、と鋼牙の険しい目がザルバを制する。
そして、カオルには優しいが真剣なまなざしを向けた。
「どうやらおまえを喜ばせようとしたが、驚かせただけのようだな。
自分のひとりよがりだったようだ。ほんとうにすまなかっ…」
頭を下げ、カオルに謝ろうとする鋼牙の言葉を遮って、カオルは言った。
「ううん、鋼牙。謝らないで! あたし、嬉しい…
確かにちょっと驚いたけど。
すごくすご~く嬉しいよ!」
そう言ってニッコリと笑うカオル。
「カオル…」
「ほら、ゴンザさんの作ってくれたご馳走! もたもたしてたら冷めちゃうよ!
ねぇ、温かいうちに食べよう? …あれ? ゴンザさんがいない…」
鋼牙の腕を引っ張ってテーブルにつこうとしたカオルが、その辺にいるはずのゴンザの姿を探す。
すると、鋼牙に黙れと言われて不機嫌そうにザルバだったが、ここぞとばかりにしゃしゃり出る。
『ゴンザなら、とっくに帰ったぜ。
せっかくのふたりきりの夜なんだ。せいぜい楽しむがいいっていう気遣いなんだろうよ』
俺様を黙らせることなどできないぜ、とばかりに鋼牙をちらっと見、ニヤリと笑みを浮かべてみせた。
華奢なグラスに注がれた冷たいシャンパン。
ゴールドの澄んだ液体の中を、プクプクと小さな泡が列を作って昇っていく。
それはまるでカオルの中に湧き上がる幸福感のように、途切れることなく、あとからあとから湧いている。
「メリークリスマス。1日遅いが…」
鋼牙がそう言うと、
「メリークリスマス、鋼牙。1日遅いけれども…」
とカオルも応える。
カチン
小さく軽くかわいらしい音をさせて、グラスとグラスがぶつかる。
しあわせそうに視線を合わせながら、グラスを傾けるふたり。
「うふっ、おいしいね?」
「ああ」
その少し前には、
『俺様はご馳走を食べられるわけでもないからな。さっさと休ませてもらうことにするぜ。
鋼牙、あとはうまくやれよ!』
と、ザルバは魔界に通じる木箱の中に収まった。
だから、ほんとに、今、室内には鋼牙とカオルのふたりっきりなのだ。
食事をしながら、ふと、鋼牙はカオルに言った。
「カオル…」
「なあに?」
「プレゼントの代わりというわけではないが、な…何かひとつ願いを叶えてやると言ったら、おまえは何を望む?」
そんなことを鋼牙が言うなんて、普段なら考えられない。
どうやら鋼牙も今夜は少し浮かれているようだ。
「あたしの望み? そうねぇ…」
カオルはしばらく思案顔だったが、何か思いついたのか、悪戯っ子のような笑みを浮かべた。
「ひとついいこと思いついちゃった!
ね、鋼牙。この願い、絶対叶えてよね?」
「なんだ? 難しいことはできないぞ?」
用心しつつ鋼牙は尋ねる。
「それはねぇ…」
そう言いながらカオルはナイフとフォークを手に取り、目の前の皿からターキーを一口分切り分ける。
そして、
「はい、あ~ん?」
と鋼牙に差し出した。
「んんっ?」
怪訝な顔の鋼牙に、カオルは、
「ほら、食べて! あ~ん?」
とターキーの刺さったフォークをさらに鋼牙のほうに突き出した。
むむむ、と少し顔を険しくさせた鋼牙だったが、ええい、成るように成れ、とばかりにパクリとターキーに食いついた。
もぐもぐもぐもぐ
「ね、おいしい?」
ナイフの代わりに、今度は顔を突き出すようにしてカオルが訊いた。
口の中のターキーを、ゴクンと飲み込んだ鋼牙は、フッと表情を緩めて
「ああ」
と答える。
「じゃ、今度は鋼牙ね?」
そう言うと、カオルは口をパカッと開けた。
どうやら、今度は自分の番だ、と言いたいらしい。
鋼牙は苦笑しながらも、自分の皿のターキーをナイフで切って、フォークを差し出す。
「ほら…」
そう言う鋼牙に、カオルは人差し指立てて、チッチッチとクレームをつける。
「あ~ん♡ って言わないと駄目だからね!」
言われた鋼牙は一瞬、目がテンになったが、しょうがないとばかりに、
「あーん」
と言いながら、ターキーを差し出した。
パクッ
もぐもぐもぐもぐ
ゴクン!
「嬉しい! おいしい! ありがとう!」
と満面の笑みを浮かべたカオルだったが、すぐに声を潜(ひそ)めて、
「でも、やっぱりちょっと照れるね…」
と頬を赤らめて言った。
そんなカオルに少し呆れつつも、少女のようにはしゃぐカオルに、鋼牙はこのうえないしあわせを感じていた。
きっと今夜は何を見ても楽しくて、何を聞いても嬉しくて、とてもとてもしあわせなのだろう。
to be continued(4へ)
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コメント
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…
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