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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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いいおんな

前回の第17話「赤筆」の隙間妄想に引き続き、今回は第21話「牙城」の隙間などなどを妄想してみました。
途中、妄想でも何でもない、ただ公式様のセリフを書き起こしただけのシーンもありますが…
どうぞ、お楽しみください。

<補足>牙城
’破滅の刻印’ の発動に失敗したシグトにより、イデア建造のための糧としてギャノンの骸に取り込まれた鋼牙。
その鋼牙を救うべく零とレオ、そして烈花が挑むが、誰も鋼牙に近づくことはできなかった。
そんな中、鋼牙を救うため烈花が呼び寄せたのは…  というお話。


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

魔戒竜の稚魚に案内されたカオルを迎えたのは… 烈花だった。

(あっ)

足を止め、驚くカオル。

「あなた…」

言葉もなく見つめ合う二人。
だが、すぐに烈花が口を開いた。

「カオル… おまえの力が必要だ…」

ただならぬ烈花の面持ちに、カオルは一瞬不可解そうにわずかに首を傾げたが、何かに思い当たったのはっとして表情を険しくする。
胸を強く掴まれるような苦しさを感じ、思わず自分の手で胸をぎゅっと押さえる。

「鋼牙に… 何かあったのね?」

冷静さを保とうとするものの、その声は震えていた。
カオルの問いかけに、烈花は重々しくうなずく。

「鋼牙がつかまった。
 鋼牙に ’破滅の刻印’ を刻み付けた赤い仮面の男が、ギャノンという太古のホラーの骸(むくろ)の中に鋼牙を閉じ込めた…」

カオルは烈花の話を息を詰めて聞いている。

「鋼牙を取り戻そうとしたが、零や俺では駄目なんだ。
 ギャノンに心を支配されている鋼牙は、誰の声も、誰の手も拒んでいる…」

そう言いながら、烈花の視線は苦し気に伏せられていく。

「だが…」

そう言った烈花はきっと顔を上げ、強い眼差しでカオルを見た。

「おまえなら、おまえの声ならあいつに届くかもしれないっ!
 だから、おま…「わかったっ」」

烈花の言葉をカオルは静かに、だがきっぱりと遮った。

「連れて行って… 鋼牙のところに」

カオルの目には強い意志が宿っていた。

魔戒騎士や魔戒法師が手も足も出せなかったのだ。
だから、カオルはもっと怯えたり躊躇するものだと、烈花は思っていた。
それらのに、この目の前の女はどうだろう。
白いひらひらした服を着て、華奢な肢体で、何の武器も持たない身なのに…

烈花は、ふうっと息を吐いた。
そして、希望に顔を輝かせた。

「ああ。
 行くぞ?」

「うん」

烈花はカオルを先導して走り出した。
カオルもその後に続く。

(鋼牙… 鋼牙… 待ってて、今行くから…)





零たちと落ち合ったカオルは、

「行くぞ。
 鋼牙を助けに行くぜ!」

という零の言葉にホッとしていた。
だが、そこに響いたのは、ゴンザの叫ぶような静止の声。

「なりませんっ!」

カオルの前に走り出たゴンザは悲痛な表情でカオルに訴えかける。

「カオル様は、みなさまとは違うのです。
 カオル様が危険な目に遭うことなど、鋼牙様が許すはずがございませんっ!」

「ゴンザさん…」

「わたしの命で鋼牙様が助かるのなら、この命、いつでも投げ出す覚悟でございます。
 しかし、カオル様は鋼牙様にとって、かけがえのない存在なのです…」

ゴンザの言葉にカオルは表情を和らげる。

「それは… ゴンザさんも同じだよ?」

「カオル様…」

だが、そのカオルからすぐに笑みが消え、やや苦し気に目が伏せられる。

「あたしだって、鋼牙を助けるだけの力があるなんて思ってない」

「それなら、なぜ…」

問われたカオルが顔を上げた。

「あたしはただ… 鋼牙に会いたいの。会いに行きたいの。
 だって、あたしがもし鋼牙なら、きっとそう思うから…」





鋼牙が ’約束の地’ に旅立った後…
邪美と烈花は酒を酌み交わしていた。

「おまえが鋼牙と知り合いだったとはね…」

「…以前、助けてもらったことがあります」

中空を見上げてどこか懐かしそうな顔をする烈花に、邪美はふっと笑った。
そして…

「いい男だろ?」

ちらりと横目に見ながらグラスを口に運ぶ。
烈花も少しだけ視線を向けたが、真っすぐに正面を向くと、

「そうですね…」

とだけ言い、同じくグラスに口をつけた。
それを聞いた邪美は、大袈裟なくらいに、はあーっと溜め息をつくので、烈花は少し目を見開き、えっという表情で邪美を見る。

「確かにいい男なんだけどねぇー
 でも、やつにはいるからねぇ、どうにも太刀打ちできない相手が…」

そう言うと、邪美はおどけたような仕草で首を横に振った。

「確かに…」

ふふっと笑いながら烈花も同意して、手の中のグラスの表面についた水滴を意味もなく指でぬぐった。

「あの子は魔戒法師でもなんでもないけどさ… 強いだろ?」

そう言った邪美は、今度は露骨に烈花に視線を向けて反応を窺っている。
それをわかっていて、烈花はさらりと答えた。

「…ですね」

そんな彼女のどこか吹っ切れている様子に、邪美はくくくっと面白そうに笑った。
そして…

「烈花、あんた、魔戒法師としての腕も磨いたけど、女も磨いたんじゃないかい?」

と上目遣いに言った。
それを聞いた烈花は、ふっと自嘲気味に笑って、

「そんなもの、磨く必要などありません。
 俺は魔戒法師として強くなれればそれで…」

と言い、グラスに残っていた淡い琥珀色の液体を喉に流し込んだ。

「そうかい?
 それはもったいないねぇ」

そう言いながら、邪美もグラスの底を天に向けた。

  コトッ…

邪美のグラスがカウンターに小さな音を立てて置かれると、それを合図に烈花が立った。

「邪美姐、それじゃあ、俺はこの辺で…」

「そうかい?
 次にまた会うときを楽しみにしてるよ…」

邪美の言葉に、烈花は目線だけでうなずいて見せ、背を向けて出て行こうとした。
烈花がドアをくぐろうをしたとき、

「烈花!」

と邪美の声が彼女の足を止めさせた。

「やっぱり、あんた、女も磨きなよ?」

そう言って、邪美はひらひらと手を振った。
顔を半分だけ邪美に向けた烈花がふっと笑みを浮かべるが、そのまま何も言わず、すうっとドアの向こうに消えていった。

烈花の消えたドアをしばらく見つめていた邪美は、やがて視線を手元に戻すと、手の中のグラスに残る氷をカランと転がした。

(烈花… 男は鋼牙だけじゃないよ。
 あんたにはあんたの、相応しいやつがきっと見つかるさ…)



そして…

「マスター… もう1杯、おなじやつもらえるかい?」

邪美は嫣然と笑って、今夜、何杯目かになるおかわりを催促するのだった。


fin
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いやあ、牙狼って止まらなくなりますね。
「赤筆」をかる~い気持ちで見返したら、もっと見たくなって、「群獣」(なぜか「楽園」は飛ばして)「列車」「牙城」と見てしまいました。

「あたしはただ… 鋼牙に会いたいの。会いに行きたいの…」のシーン。
後ろの烈花のふっと視線を逸らすところが切なくていいんですよね。

ああ…
この後の「盟友」「金色」「時代」も見たいけどなぁ~
明日に備えて、寝ないとなぁ~

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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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