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きんのまなざし ぎんのささやき

不意打ち

不意打ち… くらいましたっ!
どんな不意打ちか、って?
それは、あとがきで…
…というわけで、まずは妄想をお楽しみください。




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カオルは部屋に入ると、手が覚えている場所にある、ドア横の電気のスイッチをパチンと入れた。
暗闇が一瞬のうちに照らされ、描きかけのキャンバスやら、散財する絵の具や大小さまざまな筆が姿を現した。
冴島邸の北側にある、カオルが絵の制作に使用しているその部屋はすっかり冷え切っていて、自然に身体がぶるっと震えた。
ヒーターのスイッチを入れるが、すぐに部屋全体が暖かくなるわけではないので、しばらくはヒーターのそばから離れられない。
手をこすり合わせて指先を暖めながら、カオルは小さなため息をついた。




12月になると町全体が華やかに活気づく半面、わけもなく落ち着かず焦燥感に駆られるものだが、それが影響するのか1年のうちでもこの時期にはホラーの出現率がグンと増えてくる。
そのため、魔戒騎士や魔戒法師は大忙しで、連日連夜あちらこちらを駆け回っている状況だ。
もちろん、黄金騎士、牙狼の鎧を継承する鋼牙もその枠から漏れず、今夜も夕食を終えた早々出掛けていた。




白いコートを身に着けた鋼牙は玄関まで来ると、半分だけ振り返り、横顔だけ見せて

「行ってくる」

と言った。

「行ってらっしゃい…」

カオルは努めて明るい声でそう言い、笑顔を見せた。

その後方では、ゴンザが寸分の隙も見せない姿勢で頭を下げている。
無言ではあったが、屋敷のことはお任せください、ということが鋼牙にはしっかりと伝わっていた。

うむ、と小さくうなずいた鋼牙は、すぐにドアの向こう側へと姿を消した。

わずかではあったが鋼牙の顔には疲労の影が見え、それがカオルを不安にさせていた。
その逆に、鋼牙のほうも彼女が見せた笑顔に寂しさが混じっていることに胸を痛めていた。
けれども、鋼牙にはやらなければならないことがあったし、カオルもそんな彼を支えるためにやらなければならないことがあった。
沈痛なまでの不安も孤独も全部飲み込んで、カオルは彼のそばにいたかったのだから。

「さてと…」

カオルは気分を変えようと気合を入れ、くるりとゴンザのほうを振り返った。

「今夜は部屋にこもって少し描くことにするわ」

寝られそうにないから… とそう言いかけて、カオルは言葉を飲み込んだ。

「なんだか創作意欲が湧いてるの!」

すると、ゴンザの顔が心配そうに曇った。

「カオル様、今夜は少し冷え込んでおります。
 お風邪など召さないようにほどほどにされたほうがよろしいですよ?」

「わかってます、ゴンザさん。
 ちゃんとお部屋はあったかくするから…」

そう言うカオルに、仕方ない、というように笑ってからゴンザが言った。

「あとで温かいココアでもお持ちしますね?」

「うわぁ、ありがとう!」

カオルは満面の笑みを見せ、ゴンザもそれに応えてフフフと笑った。





キャンバスに向かっているときのカオルの顔は真剣そのもの。
大胆かつ繊細に筆を振るい色を乗せてから、少し下がってその出来を確認する。

(うん、こんなもんかしら…)

絵の具が乾いた後の色を想像しながら、右に左に立つ位置を変えては絵を眺める。
そこに、ドアを叩くノックの音。

  トントントン

「どうぞー」

間延びした声でそう答え、カオルは筆を置いた。

  ガチャ

ドアを開けて部屋に入ってくる人の気配を感じながら、カオルは振り向いた。

「ゴンザさん、グッドタイミ~ング♡
 今ちょうど、一息入れたいなって思っ…て…た…」

と言ったところでカオルの動きが止まる。
1・2・3・4・5…
ゆうに5秒は固まった。

その間も、部屋に入ってきた人は歩みを止めることなく部屋に入ってきて、比較的、物が置いていないサイドテーブルの上に、カチャカチャと音をさせてココアの入ったマグカップを置いた。

「鋼…牙…」

呆けたようにその人物の名を呼んだカオルは、いまだ立ち尽くしていた。

「カオル、約束のココアだ。
 冷めないうちに飲むといい…」

「ココアって… え? ん? なんで?」

少し落ち着いて、カオルは一生懸命考えようとした。
鋼牙は指令が入って、つい何十分か前に出ていったはずで、いくら鋼牙が強いからと言ってこんなに早くホラーを倒して帰ってこれるわけはなくって…
あれ? ひょっとして、これは鋼牙ではない?
みるみる不審の色が浮かぶカオルの表情に、鋼牙は小さくため息をついてから言った。

「正真正銘、俺だ。
 誰かのいたずらでもなく、ホラーの仕業でもない」

「え、じゃ、なんで?
 出掛けたはずでしょ?」

まだわけのわからないカオルに、鋼牙はグイっと近づいた。

「驚いたか?」

カオルを覗き込むように見る鋼牙に、カオルは少したじろぎながらも認めた。

「う、うん。びっくりした…」

その彼女の反応に、鋼牙は満足そうな顔をしながら

「サプライズ…」

と言った。

「???」

理解が追い付かず、困惑しているカオル。

「本当は、今夜、指令など来ていない。
 けれども、出掛ける振りをして、こっそり戻ってきて驚かせようと思った」

「どうして?」

「毎年のことだが、来週はどうしたっておまえのそばにはいてやれそうにないから。
 指令のない、せめて今夜くらいは…」

そう言うと、鋼牙は胸の内ポケットからリボンのかかった小さな箱を取り出す。

「少し早いが… メリークリスマス」

息を呑んだカオル。

「なんだ? いらないのか?」

やりなれないことをしているという自覚に照れを感じていた鋼牙が、それを隠すようにわざとぶっきらぼうに言う。
すると…
カオルはクシャっと表情を崩し、鋼牙に飛びついた。

「ありがとう、鋼牙…」

そんな彼女をしっかり受け止めながら、鋼牙もしあわせそうな表情を浮かべる。




クリスマス1週間前の冴島邸の夜。
外は真っ白な雪が静かに静かに降り積もっていた。



fin
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不意打ち=サプライズ は大成功!
クリスマスに家族でメリークリスマス、なんて、魔戒騎士の家庭では望めないので、1週間早いですが、こんな妄想をしてみました。

っていうか!
hana72様からの情報で、12月12日放送の火曜サプ○イズのアポなしロケで、なんとKくんが登場したっていう…(そりゃ、驚きだっ!)
ゲストと一緒に歩いていたウェンツくんが、偶然、稽古場に向かうKくんを発見!
スタジオでも「えっ? 牙狼の人?」ってざわついてました。
(ウェンツく~ん、よくぞ声を掛けてくれましたっ!)

それに驚いて、驚きついでにこんなお話へと発展させるという…
いやあ、妄想のきっかけはどこに転がってるかわかりませんねぇ~

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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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