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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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in the blowing wind…

先週はアップできなくて、今週こそは! と思っていたのに、1日遅れとなってしまいました。
すいません!
12月って、どうしてこうも慌ただしいんでしょうね?

2017年も終わりが近づいてきて気ばかり焦りますが、しばしの間、selfishのゆる~い妄想の世界にお付き合いいただき、ちょっとでも楽しんでいただけるといいなぁ~♡

拍手[23回]



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

花の香りを含んだ風が吹くと思い出す。

ぽかぽかとした陽気。
クローバーのじゅうたん。
ぶんぶんと軽い羽音をさせて忙しく飛び交うみつばち達。
そこに吹く一陣の風。
咄嗟に目を伏せて再び顔を上げると、そこには乱された髪を白く細い指で耳にかけ、こちらを見てにっこりと笑う母さんの笑顔。

「大好きだよ」

そう言って僕に抱きついてくる母さんに、くすぐったさと嬉しさとで笑顔になった幸せな日々。




潮風の匂いを嗅ぐと浮かぶのは…

夕暮れ迫る中、バイクにまたがり、ホラー退治の地へと向かって湾岸沿いの道を走る師匠の背中。
ぶかぶかのヘルメットを被らされ、振り落とされまいとしがみつくと、頬を切るように冷たい風とは相反して伝わってくるのは師匠の背の温もりだった。

「怖いかっ?」

声を張り上げ、後ろに乗せた僕を気遣う師匠に、

「大丈夫ですっ!」

と、バイクのエンジン音に負けないように声を張り上げる。
師匠がヘルメットの下でニッと笑ったことなど、僕は知りもしないが、

「しっかりつかまってろよっ」

と言う、どこか楽し気な師匠の声がバイクの振動とともに伝わってきた。
これから始まる闘いの刻(とき)を前に、緊張と高揚感で小さな僕の身体も震えたのを覚えている。




嵐の夜。
窓を叩きつけるような雨。
人の心を不安に駆り立てるような風の音。

父さんが仕事でいない屋敷にいるのは、母さんと執事、それに僕。
夜、父さんがいないことには慣れてはいたが、こんな嵐の日ともなると少し話が違う。

「お母さんがいるから大丈夫だよ。
 安心して寝なさい…」

そう言われても、なんとなく落ち着かない。
第一、母さん自身がどこか不安げなことを、幼心に感じ取っていたから…

けれども、そんな不安も父の帰還で一変してしまう。
父さんが無事に帰ってきてくれたことで屋敷中がほっとしたようにも感じられた。

「まだ起きていたのか?」

「うん…」

子供部屋に顔を出した父さんが、布団の中の僕の頭に手を置く。

「もう寝ろ」

言葉少ない父さんは、そう言うと僕の頭をがしがしと撫でた。
父さんの手の重みと温もりを感じて、安心感からかあっという間に睡魔が襲ってくる。

「父さん… おや…す…み…」

「ああ、おやすみ…」

父さんの硬く、傷だらけの指が柔らかな頬をそっと撫でる頃には、僕はもう夢の中だった。




いたずらな風が赤や黄色に色づいた葉を攫(さら)っていく。

くるくると舞う落ち葉に合わせるかのように、黒いミニスカートの裾を揺らしながら少女が手を広げて回っている。
かつて、自分のことをホラー狩りの道具だと平然と言い放ち、なんの感情も持たなかった少女が、今、目の前でニコニコと微笑みながら風と戯(たわむ)れている。

この少女の笑顔をいつまでも守ってやりたい。

いつの間にか家族のような情愛が湧き、大きな存在となっていた少女をある種の感慨に浸りながら眺めていると、その僕の視線を感じ取った少女が、動きを止めて駆け寄ってきた。

「今の見たか?
 すごくきれいだったと思わないか?」

瞳をきらきらさせて覗き込んでくる少女が眩しくて、思わず目を細める。

「ああ、そうだな」

そう答えてやると、少女は共感が得られて満足そうな顔をする。
このままもう少し、普通の女の子の時間を過ごさせてやりたかったが、そうもいかない。
今日は指令書が届いていた。

「さあ、そろそろ出かける時間だよ?」

そう言うと、少女の顔が引き締まる。

「ああ、わかっている。行こう!」

互いにうなづき合うふたりの間は、深い信頼感で結ばれていた。




「では、行ってくるよ」

いつもと変わらないにこやかな笑顔に、わずかな緊張感をまとわせて、魔戒騎士は屋敷を出た。

「行ってらっしゃいませ」

初老の執事は深々と頭を下げ、若き主(あるじ)の無事な帰還を願いつつ見送った。
頭を上げた執事は小さくなっていく騎士の背中を見守る。
悠然と歩くその姿に、自然と彼の父や祖父の姿を重ならせていた。
黄金騎士、牙狼の称号を受け継いだ歴代の魔戒騎士に負けず劣らずの風格を、彼はすでに若くしてその背に纏(まと)っているようだ。

  威風堂々…

執事の目に熱いものが込みあがる。

(いけませんな。最近とみに涙脆(もろ)くなったような…
 年ですかな?)

フッと笑った執事は、いそいそと屋敷の中へと戻ると、主がいつ帰ってきてもいいようにと屋敷を整えることに力を注ぐのだった。



fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


「風」にちなんで、’とある魔戒騎士’と彼の大事な人々との思い出などを綴ってみました。
過去と現在、そして、未来へと進む彼を、いろいろな風が取り巻いていました!

意識して誰の名前も出さなかったのですが、みなさんにはそれぞれが誰のことだか、もうお判りでしょうね?
ただ…
セリフのところではついつい名前を呼び掛けてしまいたくなるんですよぉぉぉ。

「大好きだよ、XXX(ぴよぴよぴよ)」

とか、

「XXX(ぴよぴよぴよ)、今の見たか?
 すごくきれいだったと思わないか?」

とか。
まさか、こんな伏字で書くわけにもいかないので、そこはガマン、ガマン…



いつか風に乗って、会いたいあの人たちが帰ってきてくれるといいんですけどね。
いつか、きっと…
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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