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きんのまなざし ぎんのささやき

言えなくて(5)

遅れました! 2日遅れでアップします。

なんだか当初考えていたのとニュアンスも展開も微妙に違ってきたので、修復を試みていたのですが、やっぱりダメみたい…

あはは、いいのかなぁ? …と思ったけれども、こういうものは勢いですよね!
というわけで、えいっ!(ぽちっとな~♪)


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寝室に一歩足を踏み入れると、部屋の明かりは点(つ)いていた。
ふんわりと温かい空気とともに、ほんのりと珈琲の香りが漂ってくる。
カオルの姿を探すため鋼牙がさっと室内を見渡すと、窓のそばの小さな丸テーブルに、ゴンザの言っていた珈琲の入ったポットとマグカップ。
その脇の大き目な一人掛けソファの中で、毛布にくるまり手足を丸めたカオルが眠っていた。

鋼牙は静かにカオルのそばに近寄ると、彼女を優しい目で見下ろした。
正直、眠っているカオルに意気消沈したことは確かだが、自分が帰るのを恐らくはぎりぎりまで待ち続けていただろうことを思うと愛おしさが募ってくる。
小さく丸まって眠るカオルの表情は無垢な少女のようでもあり、見ているだけでじんわりと癒されてもくる。
だが、それと同時に、今すぐ強く抱きしめてむさぼるように口づけたいという、相反する凶暴な衝動も沸き起こっていることも事実だった。
鋼牙の顔は切な気に歪む…

けれども、ぎゅっと目を閉じておのれの衝動に蓋をする。
魔戒騎士という因果な仕事をしていると、気持ちを押し殺すことが必要な場面には少なからず遭遇したし、そうする術(すべ)は知っている。
息をゆっくりと吸い、それ以上にゆっくりと息を吐く…
自分の呼吸にのみ意識を集中することで気持ちを静めた鋼牙は、毛布ごとカオルを抱き上げるとベッドに向かって歩き出した。

カオルの身体の柔らかい感触と温もり、そして微かに香る彼女の匂い。
カオルを五感で感じることで、またもや鋼牙の理性は揺らぎそうになる。
それはそうだろう。
カオルからスキンシップをねだられたいばっかりに、ここしばらくの間は、カオルに触れることすら避けていたのだ。
そういう状況であったから、魔戒騎士の中でも最高位と言われる牙狼の鎧を継承する男をもってしても、今の状況で平静さを保つことはかなり難しかった。
よほど、醜く狡猾で残忍なホラーを目前にしている方が冷静でいられるだろう。
それでも、なんとか気持ちを押し殺す。



ベッドに到達した鋼牙は、カオルを寝かせようとして布団をめくる。
だが、なかなかうまく布団をはねのけることができずに手間取ってしまい、その振動でカオルが目を覚ましてしまった。

「鋼…牙…」

カオルのかすれた声に鋼牙はドキリとする。

「帰ったんだね… おかえりなさい…」

まだ半分、夢の世界にいるような、とろんとした目でカオルが言った。

「起こしてしまったか?」

そう言いながら、カオルをベッドに降ろして顔を上げようとする鋼牙の首に、カオルの細い腕が絡みつく。

「ううん…」

まだ寝ぼけているのか、ゆるゆると首を横に振りながら、鋼牙の肩にくたりと頭を預ける。

「…カオル?」

そっと呼びかけるが、むにゃむにゃと言葉にならない返事しか返ってこない。

(力任せに掻き抱き締めてしまいたい…)

鋼牙の中の猛々しい欲求がまた顔を覗かせる。
が、ここで挫けてしまってはこれまでのことが水の泡になってしまう。
ここまで我慢したのだから、どうしてもカオルの口からおねだりされてみたかった。
そのためには、このままカオルに触れていては駄目だ。
鋼牙はカオルの後頭部を支えながら、なんとかベッドに降ろした。

(よし、カオルから離れた!)

この小さな達成感に鋼牙はガッツポーズをしたい気分だった。(いや、もちろん、実際にはしないのだが)



ところが…
鋼牙の目にあるものが飛び込んできて、思わずぎょっとしてしまう。
というのも、カオルがくるまっていた毛布がめくれてしまっていて、胸の辺りまで見えてしまっていた。
ああ、誤解のないように言うが、別に毛布の下のカオルが裸だった、などということではない。
カオルの身に着けているものが、これまで鋼牙が目にしたことのない姿だったのだ。
カオルはシャンパンゴールドのシルクサテンのナイティを着ていて、その上に同色のナイトガウンを身にまとった、なんとも艶めかしい姿だった。
恐らく、この格好で鋼牙にアピールしようと思っていたのだろう。

そのナイトガウンが肩からずり落ち、カオルの右肩がチラリと見えている。
この「チラリ」が曲者だ。
あからさまに見えているよりも何倍も男心をくすぐってくる。

鋼牙は思わず空を仰いで目をつむった。

(なんの試練なんだ…)

少しばかり怒りすら感じる。
すると、

「う… うん…」

とカオルの口から声がこぼれ、ごそごそと動く気配がした。鋼牙はハッとカオルを見る。
あろうことか、今度は片膝を立てていて、毛布から、カオルの右足が飛び出してしまった。
しかも、ナイティの素材が素材だけに、その裾がカオルの足をスルスルと滑り落ちていく。

「んぐっ…」

本人の意識のないうちに、カオルは鋼牙を追い詰めていた。

鋼牙は息を詰めて、カオルへと手を伸ばした。
指先は微かに震えているようだ。
カオルの肩にもう少しで届く… というところで、鋼牙はサッと毛布を掴み、素早くカオルの肩を覆うように掛けた。

(やれやれ… あとは足だな)

鋼牙は目の毒だと言わんばかりに顔を背けながら、カオルの足元も毛布で隠そうとした。
けれども、ちゃんと見ていなかったばかりにどうやら目測を誤ったらしく、毛布がカオルの足に引っかかってしまたのだ。
そのため、再び眠りに落ちていたはずのカオルの目がぼんやりと開いた。
焦点の定まらない目で鋼牙を見ると、

「こ…がぁ…」

とよく回らない口が彼の名を呼んだ。



to be continued(6[大人限定]へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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