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きんのまなざし ぎんのささやき

呪縛を解き放て(3)

想定どおりの展開と、想定にない展開…

いやぁ、ふむ、なるほど。
(あ、ひとりで勝手に納得していますが、どうかお気になさらず…)

書くのが遅くて、話がなかなか前に進みませんが、今宵の夜話をどうぞ。




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せっかく王子のそばまで来ているかもしれないというのに、ここで帰されて
しまったのでは、ゴーザンにねだってついてきた意味がありません。
カオルンは必死にレイにお願いをします。

「レイくんひとりでは危険だよ!

 あたし、レイくんのお荷物にならないようにするし、ひょっとしたら
 役に立てることだってあるかもしれないじゃない?
 以前だって、あたしの作ったお菓子で化け物を退治しちゃったしさ。

 それにほら、この国に来るのだって、ずっと3人で協力していろんなこと
 乗り越えてきたでしょ?

 ねっ、だから、今回も一緒に行っていいよね?」

それでも渋い顔のレイを見て、今度は、ゴーザンに助けを求めるように
視線を送りました。
じっと考えていたゴーザンは、それを機に口を開きます。

「確かに、レイ様の言うことももっともです。
 カオルンをここで帰したい気持ちも判らんではありません。

 ですが、カオルンの言うことにも一理ありますな。
 ここで、レイ様ひとりを残すわけにもいきますまい…

 第一、そのウイドーの館の噂も、ただの噂ということもあり得ます…」

ゴーザンの言葉にレイが反論しようと口を開きかけたところで、ゴーザンは
それを手で制し、先を続けました。

「いや、もちろん、なんでも物事を楽観的に見ることは、賢いやり方でない
 ことも解ります。

 ですが、ここはとりあえず、このまま3人で先を進み、もう少し具体的に
 危険を感じてから、引き返してみてはどうですかな?」

ゴーザンは、レイとカオルンの顔を交互に見ました。
レイは、腕を組んで考えました。
そして、小さく息を吐いてから観念したように言いました。

「わかった、ゴーザンの言うとおりにしよう。
 何かあれば、すぐに引き返す!
 それでいいね、カオルン?」

「うん、わかった」

カオルンは大真面目な顔で返事をし、ゴーザンも大きくうなずきました。





さて…
少年の言うように道を辿っていくと、ウイドーの屋敷と思われる建物は
すぐに見つかりました。
湖の向こうに建って、穏やかな湖面に映している姿はとてもきれいに
見えましたが、館に近づくにつれ、少しずつその様相を異にしていきました。

第一に、館に向かう道がひどいものでした。
何年も人が往来していないのか、草は蔓延(はびこ)り、倒木が道を
塞いでいる場所などもあったりしました。

それでもなんとか館の前までたどり着いたのですが、玄関の周囲にも雑草が
生い茂り、建物自体もどこかくすんだ印象に見えました。
本当にこんなところに人など住んでいるのか、誰もがそう思い、自然と
顔が険しくなりました。

ちょっとだけ間を置いて、ゴーザンが、コホンと咳払いをしました。

「なんだか怪しげな雰囲気ではありますが、まずは、人が住んでいるか
 どうかを確かめましょう」

レイとカオルンはゴーザンの言葉に黙ってうなずきました。
ゴーザンは玄関のドアに近づき、獅子の形をしたドアノッカーに手をかけ、
カツカツカツと鳴らしました。

「…」

しばらく待っても何の反応もないので、ゴーザンは大きな声で呼びかけ
ました。

「どなたかおられますかな?」

すると、開きはしないように思われたドアが、ギギギーッと嫌な音を立てて
開きました。
分厚いドアの影から姿を少しだけ見せたのは、メガネをかけた中年の女中
でした。
屋敷の雰囲気に似合わず、髪もキチンとまとめ、身に着けているエプロンも
アイロンが効いていて、こぎれいな身なりをしていました。

「おぉ、人がおられたか。よかった。
 少しお聞きしたいことがあるのですが…」

「はい…
 どういった御用でしょうか?」

その女中の表情は暗く、常に伏し目がちであることが、ゴーザンは少し気に
なりましたが、何食わぬ顔で話を続けます。

「実は、我々、人を探しておりましてな。
 昨日のことなのですが、このお屋敷を訪ねてきた人はおりませんか?」

「昨日ですか…」

女中は視線を少し彷徨わせましたが、

「いえ、どなたもいらっしゃっていないと思います」

ときっぱり言いました。

「そうですか…
 あの、もしよろしければ、この家の他の方にも聞いてはいただけないで
 しょうか?」

「この家には、使用人は私ひとりです」

「では、このお屋敷のご主人様にも聞いていただけませんか」

「主人も知らないと思いますが…
 滅多に外には出られない方なので」

「そうですか。
 でも、窓から何かご覧になったかもしれません。
 とにかく一度聞いてみてはいただけませんか?」

せっかくここまで来たのです。
わずかな手がかりでも掴みたい一心で、ゴーザンは粘ってみました。

「…少々おまちください」

そう言って、女中は屋敷の奥に下がっていきました。




外で待っている間、カオルンはつぶやきました。

「ここにはいないのかな…」

「…」

でも、誰も何も言いません。
カオルンも黙って待つことにしました。

しばらくして、あの女中が再び顔を見せました。


「奥様が皆様にお会いするそうです。
 どうぞ、こちらに…」

3人は互いに顔を見合わせ、うなずき合ってから、

「では、失礼いたします」

と言って、ゴーザンを先頭に館の中に入っていきました。



to be continued(4へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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