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きんのまなざし ぎんのささやき

夢のお告げの言うことにゃ

今回の妄想は、ポンと出てきたすごく軽いものです。
鋼牙さんやカオルちゃん、そしてゴンザさんの表情や声音をお好みのままにご想像くださいませ!


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朝のまどろみの中。
鋼牙が目を覚ますと、ゆっくり隣りの温もりに視線をやった。
そこには、鋼牙にぴったりと寄り添うようにして眠るカオルの姿があった。
カオルから感じる柔らかく温かい、心地よい重みに、鋼牙の顔は思わずフッと緩む。
すると、それが伝染したかのように、眠っているカオルがニッコリと笑った。

(カオル?)

もしや起きているのかと思い、注意深くカオルの顔を覗き込んでいると、やがてカオルはクスクスと笑い出した。
けれども一向に目を開けず、目を閉じたまま何かブツブツと話しだしたところをみると、どうやら彼女はまだ夢の中のようであった。
鋼牙はカオルが何を言っているのか聴き取ろうとしたが、ハッキリと聞こえたのは最初に言った「だめ…」という言葉だけで、それ以外はよく聴き取れなかった。
不思議なことに、カオルの寝言は「だめ」という禁止の表現ではあったものの、その口調は決して緊迫した様子はなく、むしろ楽しんでいるような喜んでいるような、そんな感じに聞こえた。

そうこうしているうちにカオルの身体がピクリと動き、彼女の大きな目を縁取る睫(まつげ)が揺れた。
ゆっくりと目を覚ますカオル。
少しの間、視線を彷徨(さまよ)わせていたカオルは、すぐに意識がはっきりとしてきたようで、自分を見つめる鋼牙に気付いた。

「おはよう…」

柔らかい笑顔を向けて朝の挨拶を口にすると、鋼牙も、

「ああ、おはよう」

と挨拶を返した。

「どうした? 夢でも見ていたのか?」

「夢?
 …ああ、そうね。あたし、今、夢を見ていたわ」

「ずいぶん楽しそうだったが…」

「う~ん、そうねぇ…」

そう言いながら、カオルは夢の内容を思い出すように視線を彷徨わせた。

「えっと、庭で鋼牙とお茶を飲んでいる夢だったわ」

鋼牙はそれには口で答えず、目で、それで? と問うた。

「あたしの目の前には鋼牙が座っていて、ゴンザさんがふたり分のお茶を入れてくれた後、あたしの隣に座ってね。
 それで、あたしに向かって、こう両手を差し出したの…」

自分も鋼牙に両手を出して見せ、カオルは意味深な表情で鋼牙を見返す。
お茶の時間にゴンザが主人と同じ席につくことはこれまでほとんどなかったので、その点を鋼牙は訝(いぶか)しんだ。
が、改めて尋ねることはせず、カオルの次の言葉を待つ。

「で、あたしはゴンザさんにあるもの(?)を渡して、それからお茶を飲んだわ。
 ゴンザさんったらね、あたしから受け取ったものにすっごく嬉しそうな顔をして…」

そう言うと、カオルは布団の中で自分のお腹を優しくさすった。
カオルのお腹は、パジャマの上からもわかるくらい丸く膨らんでいた。

「それはもう、デレッデレで甘々な顔だったんだからぁ~」

と、そう言うと、カオルは鋼牙を上目遣いで見た。
ここに来て鋼牙もようやく、ああ、と思い至る。

「赤ちゃんがいると大変ね、テーブルの上のものに手を伸ばしてブンブン振り回してのんびりお茶も飲めなくてねぇ」

と夢で見たことを話しながら、カオルも嬉しそうな顔をしていた。

(なるほど。それで、「だめ」か…)

鋼牙はカオルの寝言の意味が解り、すべてに合点(がてん)がいった。

「そうか…」

鋼牙はそう言いながら、カオルの髪をすいた。
カオルは鋼牙の手をくすぐったそうに受け入れつつ、悪戯っぽい顔でこう言った。

「それでね、その赤ちゃん。男か女かどっちだったと思う?」

カオルの問いかけに、鋼牙は手を止め、少し考えた。
そして、

「元気であればどちらでもいい」

とだけ言った。
それを聞いたカオルは、答えを口に出しかけたが、じきに答えを言うのを止めた。

「そう、ね… そうよね。

 えっとね、夢の中の赤ちゃんはとってもとっても健康そうでね、かわいかったよ。
 あたし、頑張るからね。この子を立派にちゃんと産んで見せるから!」

握りこぶしにグッと力を入れて見せるカオルに、鋼牙は小さく息をつく。

「あまり無理をするな。
 こればっかりは俺の力の及ぶところではないからな。
 おまえも子どもも無事であれば、他には何も望まない…」

そう言うと、鋼牙はカオルのお腹を庇(かば)いながら彼女を抱きしめた。

「鋼牙…」

カオルは力強く温かい、優しい腕の中で少し潤んだ目を閉じて、幸せを噛みしめた。





「…で、どっちだったんだ?」

何とも言えない幸福感に包まれてフワフワしているカオルの耳に、鋼牙の低い小声が響く。

「えっ?」

「だから… 赤ん坊は男なのか? それとも女か?」

少し急かすような口調で鋼牙は問う。
健康ならば、と言うものの、やはり気になるのだろう。
カオルは呆れて、

「それ、聞いちゃうの? どっちでもいいんじゃなかったの?」

と返した。

「いや… まあ、そうなんだが…」

歯切れの悪くなった鋼牙に、カオルは呆気にとられたが、

  プッ

と思わず吹き出してしまった。

「どうしようかな~ 教えないでおこうかな~
 だって、ねぇ。夢の中のことだしさ」

クスクス笑いながら、意地悪く言う。
それを聞いて、憮然とする鋼牙。
けれども、カオルはそんな鋼牙にお構いなしに、彼の懐にゴソゴソと潜り込むと、この上なく幸せそうな笑みを浮かべたのでした。

さてさて、どっちだったんでしょうね?


fin
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赤ん坊の性別がわかるのが、16週頃らしいです。
そうだっけ? もう忘れちゃったなぁ~ (;^ω^)

その性別を巡る鋼牙とカオルの会話を、最後はちょっと軽めに仕上げてみました。
黄金騎士の子を産むというのは、なかなかプレッシャーも感じるかもしれませんね。
でも、そういう重たいテーマは見事にスルー。
今回のお気に入りポイントは、目の中に入れても痛くないくらいにベビーにデレデレのゴンザさんデス!

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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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