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牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです
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鳴らない鈴(1)
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カオルはゆっくりと目を開けた。
薄暗い森の中の大きな木に寄りかかるように、腰を下ろしていた。
この場所に見覚えは無い。
いつ来たのか? どうやって来たのか?
そんなことよりも、どうしたことだろう、空気が身体に重たくまとわりついて、なんだか不快だ。
カオルは手を前に出して、息苦しさを覚える空気を払いのけるような仕草をする。
ふぅ
ほんの少し楽になったように感じて小さく息をつくと、開いた口から泡(あぶく)がひとつ生まれた。
その泡はいびつな球体をゆらゆらと変化(へんげ)させながら、目の前を上へ上へと昇っていった。
茫然としながらそれを見送っていると、黒い木々の先端でギザギザに縁取られた小さな藤色の空へと消えていった。
(水の中?)
いや、水の中にしてはどうにも変だ。
身体のどこも濡れてはいないし、第一、呼吸ができている。
カオルはきょろきょろと辺りを窺う。
そこは、鳥や獣といった生(せい)あるものの気配が全く感じられない場所だった。
だが、不思議と恐怖心は感じない。それと同時に希望のようなものも感じなかった。
この正常とは思えない状況に対して、異常をも感じさせない不条理な世界に、カオルはひとりで投げ出されているのだった。
カツカツカツカツ
地面があるのかどうかも判然としない混沌とした空間を、冴島鋼牙は足早に歩いていた。
努めて冷静であろうと思うのだが、どうしようもない焦りが身体の奥からじわじわと沸き起こっている。
『お~い、鋼牙ぁ』
鋼牙の焦りとは反比例するような、ひどく間の抜けた声が彼の左手から聞こえてくる。
憤然として足を止めた鋼牙が、左手の拳をガバッと自分に向けて応える。
「なんだ、ザルバ!」
『そうピリピリしなさんな。
おまえさんが焦ったところで、カオルが目の前に現れるわけでもないんだからな』
「…」
苦虫を噛み潰したような顔で、ザルバを睨む鋼牙。
そして、感情を押し殺すように低い声で相棒に尋ねる。
「何も感じないのか、ザルバ?」
『残念ながらカオルの気配はまだだ』
「そうか…」
珍しく消沈したような声で応えた鋼牙に、ザルバはおどけた調子を崩さずに叱咤する。
『おいおい、まさかもう諦めたんじゃないだろうな?
絶対に連れて帰るんじゃなかったのか?』
器用に片方の眉頭を上げて、どうなんだ? と答えを待つザルバに、鋼牙はふっと表情を和らげる。
「諦めるわけなどない!
黄金騎士が約束を破るような真似などしてたまるか」
そうだ。鋼牙は約束をしていた。
突然母と引き離され不安そうな我が子に、必ず、母さんを連れて帰ると…
『フッ、上等だ!
なあに、おまえには俺様という魔界一優秀な魔導輪がついている。
必ず、あいつを探し出してやるから任せろ!』
強気なザルバに、鋼牙は少し意地悪く言った。
「魔界一優秀と言うのが本当なら、とっくに見つけ出していてもよさそうだが?」
すると、ザルバはグッと言葉に詰まる。
『言うじゃないか!
そういうおまえの憎まれ口が、俺様の集中力を乱すんだ!
いいか? 俺様が本気を出すとだなぁ、こう、本気を… ん? んんっ!?』
調子よく喋っていたザルバの様子が、急におかしくなる。
「どうした、ザルバ!」
魔導輪のちょっとした変化を察知した鋼牙も、瞬時に真剣な表情となる。
ザルバがニヤリと意味深な笑みを浮かべた。
『鋼牙ぁ、喜べ…』
「なんだ?」
逸(はや)る気持ちを抑えつつ、期待を込めて鋼牙は尋ねた。
『今、カオルの気配を感じた!』
「ほんとか?」
『ああ。
おまえの左手前方… 10時の方角だ!』
「…」
鋼牙は感極まったように、目を閉じた。
(ああ… ようやく…)
だが、喜びに浸る時間は今ではない!
カッと目を見開いた鋼牙は、ザルバに命じた。
「ザルバ、急ぐぞ!」
『ああ!』
鋼牙はザルバの指し示した方角を一睨みすると、その先にある暗い森へ向かい、風のように走り出した。
to be continued(2へ)
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コメント
お久しぶりです!!!
タイミングがいいのかなんやら、さっきまで列伝の「金字塔」見てたんですよね(笑)
その後にこちらを読んでテンション上がってしまってコメントしました(笑)
早くカオルちゃんに再開できますように!!!
次回も楽しみにしています(笑)
Re:お久しぶりです!!!
それはグッドタイミング!
この妄想を書く前に selfish も「金字塔」は見ておきたかったんですが、家族がいたので見れなくて…(う~ん、こちらはバッドタイミング!)
曖昧な記憶を頼りに書き始めるという危険を冒しています。(大丈夫かな…) (+_+)
うまく綻(ほころ)びなく進めばいいんですが。
嗚呼、ナサリシチ様に楽しんでもらえますように…
この妄想を書く前に selfish も「金字塔」は見ておきたかったんですが、家族がいたので見れなくて…(う~ん、こちらはバッドタイミング!)
曖昧な記憶を頼りに書き始めるという危険を冒しています。(大丈夫かな…) (+_+)
うまく綻(ほころ)びなく進めばいいんですが。
嗚呼、ナサリシチ様に楽しんでもらえますように…
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…
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