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きんのまなざし ぎんのささやき

家に帰ろう(1)

「そうだ、鋼牙とカオルで○○しよう」って何気なく思ったのが、妄想の始まり…

妄想っていざ書くと、selfish の場合、予想もしない方向に行ったりするの
ですが、この妄想については、出だしの段階から思いもしないテイストに
なってしまいました。
(あらっ、そっちに行っちゃうの?って感じです。)

すごく楽しんで書いたのですが、それが伝わるといいなぁと思ってます。



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「困りましたなぁ」

リビングから窓の外を見ながら、ゴンザがひとりごちた。

午後からのオブジェの浄化を早めに切り上げて、つい先ほど帰宅した
鋼牙は、書斎から書物をいくつか持参して、リビングに戻ってきたところ
だった。

「どうした?」

鋼牙は何気なく声をかけた。
その瞬間に、鋼牙からは見えない側の顔に笑みが浮かんだことにも
気づかず。

「いえ、カオル様がお出掛けなのですが、傘をお持ちになられなかった
 ので…」

そう言うと、勢いよく降っている窓の外の雨に目をやった。
鋼牙もちらりと視線をやった。

『それなら、どこかで傘を買うんじゃないか?
 心配ないだろ?』

横からザルバが入ってきた。

「ですが、風も出てまいりました。
 今日のカオル様のあのいでたちでは…」

そこで、言葉を切り、ゴンザは意味深に眉根を寄せてみた。

「何が言いたい?」

少し苛立たしげに鋼牙が聞き返す。

「はい、とても薄手のワンピースをお召しでしたので…
 もし傘がありましても、この風の中、あれではめくれあがってしまうのでは…と」

ゴンザは目一杯しかつめらしい顔を作って、また窓の外を見た。

『あのお嬢ちゃんのことだ。
 それはそれは、きゃーきゃー騒ぎまくってうるさいだろうな。
 黙ってりゃ気づかなかったようなヤツらの視線まで、集めちまうだろうぜ』

ザルバが面白そうに笑いながら言う。

(いいアシストですぞ、ザルバ!)

窓の外を見ているふりをしながら、ゴンザは鋼牙の様子をちらっと確認する。
鋼牙は、何かを考えているようだった。
鋼牙が何かを言う前に、もうひと押し…

「わたくしがお迎えにあがればいいのですが、今日はちょっと手の込んだ
 料理に取り掛かってしまい、キッチンを離れることができないのです。
 いやぁ、弱りました…」

ゴンザは、ふっと小さく溜息もついてみた。

「カオルの居場所は判っているのか?」

「えっ、えぇ、大体のところは…」

「では、カオルに連絡を取って正確な居場所を確認してくれ。
 それから、そこを動かないように言っておけ」

「いえっ、あの、わたくしは迎えに行けないのですが…」

そう言いつつも、ゴンザは鋼牙の次の言葉に期待した。

「俺が行く」

後ろに回した手でゴンザが小さくガッツポーズをした。

「おぉ、そうしていただけますか?
 それはよかった。
 では、さっそく、カオル様にお電話しないと…
 少々お待ちください」

そう言うと、スキップでもしかねないくらいの軽い足取りで、ゴンザは
電話をかけに行った。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

それから5分後には、冴島邸から鋼牙の姿が消えた。
後に残ったゴンザはキッチンに戻り、夕食の準備の続きに取り掛かった。

「さぁて、’手の込んだ料理’ の続きといきますか…」

そう言うと、あとは時間の許す限り、ただ煮込むばかりとなっている
ビーフシチューの鍋の前に立った。
レードルを取り上げ、鍋を一混ぜすると、ゴンザはニヤリと笑った。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

今日、カオルは、’芸術の森’ に来ていた。
そこは、北の管轄の中でも特に大きな市の南の丘陵地にあり、自然豊かな
広い敷地の中に、様々な工房や美術館が点在するところだった。
美しい自然の中を歩きまわりながら、カオルはそれらの施設を片っ端から
覗いて回っていた。

夕方に差し掛かり、そろそろ帰ろうかと、出口を目指して歩いているときに
なって、激しい夕立にあった。
幸い、近くに、建物が見えた。
それは、この都市ゆかりの文豪の住まいを移築したものであった。
その建物まで、20~30メートルしか離れていなかったのだが、雨足が強く、
そこにたどり着くまでに、かなり濡れてしまった。
濡れたまま建物の奥に入るのもはばかられて、入り口付近に佇み、
ハンカチで髪や肩先などを抑えてみる。
気に入っているワンピースの裾も、今は風に翻ることもなく、うなだれて
しまっていた。

(すぐに止んでくれるかな~?)

そう思いながら空を見上げたとき、ゴンザから電話があった。

「今、お迎えにあがります。
 どちらにいらっしゃいますか?」

一度はゴンザの申し出を断ったものの、結局、ゴンザに押し切られ、
ここで迎えを待つことになった。

(ゴンザさんに迷惑かけちゃった…
 でも、雨の日のお迎えって、なんだかとっても嬉しいな)

空と無数につながっている銀糸のような雨を見ながら、カオルはひとり、
うふふと笑った。



to be continued(2へ)
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わー♪
芸森が登場してて、嬉しくてコメントしてしまいました(*^_^*)
去年某バンドのファンな友達によくわからないまま連れられて遊びにいった時の事を思い出しました。
同じ市内なのに私が住んでるのは西の端っこなのでなかなか行けません(>_<)
私の好きな場所は出てくるかなあ☆
続きが楽しみです~~
ふにゅ~ 2012/09/29(Sat)00:22:57 編集
Re:わー♪
わぁ~お、ふにゅ~様の地元でしたか…
それを知っていたら、ふにゅ~様に取材してたのに。
ふにゅ~様の好きな場所ってどこだろう?
それも聞いてみたい気がします。

読者にジモティがいないといいんだけど…と思いながら書いていたのですが、いやぁ、これでは、テキト~なのがバレてしまいますね… (苦笑)
どうか、この後の展開は、ニュアンスで読んでくださいませ。
ここ違う! とかビシっと言われると、泣いちゃいますから…  (なんてね)
【2012/09/29 00:34】
うほほ~
出た~ ゴンザさんの、悪・だ・く・み!
よ~し、これでまた毎日が楽しくなりまする。
(*^^)v るん❤
なな 2012/09/29(Sat)00:49:42 編集
Re:うほほ~
いやぁ、きっかけを作って欲しくてゴンザさんにこっそりお願いしたところ、ぽ~んと胸を叩き、「お任せください」と言われまして…
なんだか、ゴンザさん、ノリノリで演じてくれました。
まさか、こんなふうになるとは、selfish も驚いている次第なんです。

牙狼はホントにいい役者さんが揃ってますよねぇ~
【2012/09/29 08:41】
ゴンザの悪巧み?
サブタイトル的にはこんな感じ?。まあ、くっつけよう大作戦な訳ですね。見えない方で笑ってみたり、ガッツポーズしたりと書くのが楽しかった気持ちわかりますw。流石だわゴンザさん、亀の甲より年の功だわね、ええ。

後はどっかに連れ込む甲斐性がどなたかにあればいいんでしょうけど♪。
心太 2012/09/29(Sat)00:49:55 編集
Re:ゴンザの悪巧み?
MAKAISENKIで、カオルちゃんのウソ泣き演技には騙されていましたが、ゴンザさんほどの芸達者なら、鋼牙も騙されてくれないかなぁと思いまして。
ついつい楽しくて、わざとらしいくらいに、あちこちにゴンザさんの作為を散りばめたのですが、鋼牙がそれに気づいているかどうかは selfish にも判りません…

この後のゴンザさんに出番を考えていなかったのですが、名演技へのお礼を何か考えようかな?


あっ、そうそう、「甲斐性」のほうは、今回全く期待しないほうがいいかと…
【2012/09/29 08:49】
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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