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きんのまなざし ぎんのささやき

影の陰

今回、鋼牙さんは出てきません。
カオルちゃんも、わずかにチラリと見えたかな? くらいです。


そんな妄想を誰が喜ぶでしょうか…


そう思いながらも、自由気ままに楽しく妄想いたしました。
(あっ、いや、内容は楽しいものじゃないのですが…)


彼独特の ’いい味’ が出すことができてるといいかな? と、トライして
みました。
もしよかったら、お付き合いください。



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

「やぁ、ゴンザ!
 元気にしてた?」

「これは、零様…  よくいらっしゃいました。
 ささっ、どうぞ」

北の管轄にふらりと訪れた零を、ゴンザはにこやかに中へと招き入れた。
ここは、冴島邸のあった場所から程近い小さな一軒家。
シグマとの闘いの中で冴島邸は消失してしまい、後に残されたゴンザはここで
仮暮らしをしていた。

冴島邸の主(あるじ)が ’約束の地’ に旅立ってからというもの、ゴンザを
訪れる者の 姿はほとんどなかった。

破滅の刻印からの呪縛を解かれた魔戒騎士たちは、それぞれの管轄に戻り、
これまで思うに任せなかったホラー狩りに精を出していた。
それは、東の管轄を守る零も同じで、シグマを倒した後、すぐに東の管轄へ
戻っていった。
だが、時を置かずして、元老院からの強い要請があり、鋼牙のいなくなった穴を
埋めるべく、零は元老院付きの魔戒騎士となっていた。
元老院付きの魔戒騎士になってからというもの、西へ東へ奔走する日々が続き、
零はこれまで以上に多忙を極める日々を送っていた。

そんな忙しさの合間を縫って、屋敷が崩壊して以来、初めてゴンザを尋ねたの
だった。

「元老院付きの魔戒騎士となられたそうで… おめでとうございます」

奥へと案内しながら、ゴンザは零に祝いの言葉を口にした。

「めでたいかどうかは判らないけど…

 まぁ、これまでとは何も変わらないよ。
 ホラーを狩る… ただそれだけさ」

零は、いつもの軽い調子でそう答えた。
その答えを聞いて、ゴンザはくくっと笑った。
顔に疑問符の浮かんでいる零に、ゴンザは慌てて答えた。

「あっ、いえ…
 以前、鋼牙様にも同じように ’おめでとうございます’ と申しましたところ、
 今の零様と同じように ’これまでとなんら変わりがない’ と、そう仰った
 ものですから」

「ふ~ん、鋼牙と一緒ね…

 まっ、魔戒騎士なんてそんなもんさ」

ゴンザの答えを聞いて、零もフフンと笑った。

「で、この頃どう?
 レオは姿を見せる?」

「…いえ、それが...」

ゴンザは、憂い顔を零に見せた。

「あの事件の後は、足繁く訪ねてみえて、あれやこれや後始末を手伝って
 いただいたのですが、その後はパッタリと…
 ひょっとしたら、お兄様のことで負い目を感じているのやもしれないと
 心配しているのです」

「そっか…  元老院のほうでもレオの姿を見ないんだ。
 謹慎をくらっているわけではないんだが…
 まぁ、自分なりにいろいろ思うところがあるんだろうよ」

零はゴンザを慰めるように優しい笑顔を見せた。

「はい…
 今はそっとしておいたほうがよいのでしょうね」

「そうだな。

 …なぁに、レオなら大丈夫! あいつも立派な魔戒騎士なんだからさ」

零はそう言いながら、ゴンザの肩をポンと叩くと、ゴンザもそれに静かに
うなずいた。


「ところで…」

少し、思わせぶりに言葉を切ってから、零がゴンザに尋ねた。

「…カオルちゃんは?」

当然来ると予想された質問に、ゴンザは先ほどよりもさらに沈痛な表情を
見せた。

「カオル様は、あれから一度もこちらにはお顔を見せていません…」

「えっ、一度も?」

「はい…」

鋼牙が ’約束の地’ に旅立ってから、半月以上は経っていた。

「このようなことは初めてです」

ゴンザの言葉に、零は口元に手をやり、黙って考え込んだ。
ゴンザは零の言葉を静かに待った。

「仕事が忙しいんだろうか…」

独り言のように呟く零。

「それもあるかと思います。
 ほぼ終わりかけていた絵本の絵を、最初から描き直すとおっしゃって
 いましたから…」

「でも、それだけじゃない、 よね?」

「はい、恐らくは…」

「…」

零は、窓から外を眺めながら、少し考えるとこう言った。

「俺が、カオルちゃんのとこに行ってもいいんだが…」

呟くような零の言葉を、ゴンザが穏やかに遮った。

「零様。

 鋼牙様とカオル様との間でどんな会話が交わされたのか、は、このゴンザには
 判りません。
 ですが、あのおふたりは固く信じあっていると、そう思っております。

 だから、わたくしは、カオル様がまた笑顔で尋ねてきてくださることを信じて、
 ここでお待ちしようと思っているのですよ」

ゴンザの言葉を、零が優しい目をして受け止めた。
そして、そうだな、というふうに小さくうなずきながら、

「俺も、それがいいと思う」

と、ゴンザに同調した。

「カオル様は、鋼牙様が命がけで守った女性(ひと)です。
 そして、あのお方も命がけで鋼牙様をお救いくださった…
 だから、必ずやきっと…」

その言葉に、零が破顔して言った。

「彼女は、’あの’ 黄金騎士のハートを奪った娘(こ)だもんな。
 いずれ、自分で自分の気持ちに始末をつけるさ。
 …必ず、ねっ?」

ゴンザは零の言葉に大きくうなずき返した。

「さて、俺もこうしちゃいられない。
 きっちり仕事しておかないと、鋼牙が帰ってきたときに怒られちまう…

 ゴンザ、今日はこれで帰るよ」

ウィンクしながら、そう言った零は、来たばかりだというのに、玄関へと
歩き出した。
その背中は、強く逞(たくま)しく、自信に充ち溢れているように見えた。



訪ねてきた零の顔を見たとき、ゴンザは ’迷い’ とも ’疲れ’ とも
判別しがたい ’何か’ を感じたのであったが、今の零にはそんなものは
微塵もなかった。

零もまた、自分の中の揺れ動く気持ちと戦い、今、それに踏ん切りを
つけたのだろう。



多くの若者が言い知れぬ不安に慄(おのの)き、大きな困難にぶつかり、
あがき、苦しんでいる姿を、これまでにもゴンザは数多く目にしてきた。
鋼牙の父、大河や、あのバラゴも…

だが、若者たちには、それを乗り越えていく力があった。
いや、必ずや乗り越えられるはずだと、ゴンザは信じ続けていたかった。

(レオ様もカオル様も、零様のようにきっと…!)

零の背中を見ながら、ゴンザはそんなことを考えていた。
そして、玄関から出て、振り返りながらにこやかに手を振る零に向けて、

「零様、またいつでもお越しください。
 お待ちしております」

そう大きな声で言うと、ゴンザは晴れやかな顔で見送りました。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

零がゴンザを訪ねた日から、さらに数日が過ぎた日のこと。
その日は、昨日まで吹き荒れていた風がパタリと止み、穏やかに晴れた日
となった。

ずっと閉めっきりで淀んでしまった室内の空気を入れ替えようと、
ゴンザは家じゅうの窓を開け放して回った。
2階の一室に入り、通りに面した窓に近づいて、開けようとしたそのとき、
通りの向こう側からこちらに向かって歩いてくる人影を見つけた。

一歩一歩踏みしめるように近づいてくるその足取りを見て、ゴンザは、
感極まったような表情を見せ、すぐににこやかな笑みを浮かべた。

(カオル様…)

ゴンザの場所からは遠過ぎて、カオルの表情までは確認できなかったが、
一種の確信のようなものをゴンザは感じていた。

ゴンザは、すぐに階下へと向かった。
今日のお茶は何にしよう… などと考えながら。


fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


久しぶりに、スキマ話(というか後日譚)を妄想してみました。
鋼牙が ’約束の地’ に旅立った後、2~3週間後くらいのことです。

シグマの野望が打ち砕かれ、その代償として、ガジャリと交わした契約の
ために鋼牙が旅立ちます。
その後のカオルやレオくんが、それぞれ、思い悩んだだろうことは、容易に
想像できることですよね?

それをベースにして、そんなふたりのことを、零とゴンザが心配しつつも、
カオルとレオを信じてそっとしておく…
最初は、そんなようなことを、ぼぉ~っと妄想していました。

ただ、書いていくうちに少しずつ変わっていくのが selfish の妄想
特徴でして… (苦笑)

元老院付きの魔戒騎士となった零(MSでは描かれていませんでしたが、
公式の設定ですね)にも、やはり、立場が変わったことで新たに何か
思い悩むことがあったかもしれないなぁ~ などと考えてみました。
それで、最終的には、カオルやレオと同じように、零も「見守られる側」
になってしまいました。


というわけで、今回の主役は、なんといっても

  スーパー執事、ゴンザさん!

鋼牙や零くんだけでなく、大河パパやバラゴなど、多くの魔戒騎士の背中を
信じ続け、見守ってきたはずの人です。

そういうわけで、闇に生きる魔戒騎士たち(=影)とそれを支える者(=陰)と
いうつもりでタイトルをつけてみましたが、ちょっと判りづらかったですね。

とにかく…
ゴンザさんが少しでもカッコよく見えてくれたら嬉しいな、と思ってます。


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鋼牙がいない
という話。全く妄想の範囲に無かったので、「ああ、そうか…」と、今更ながら気付かされました。
selfish 様って、私の「妄想ボタン」をグイグイ押して下さるのですよね。…私も、妄想してみよっかなぁ~。

そして冴島邸は、きっと冴島家の莫大な財産で、スグに再建される事でしょう!(笑)
ですけどぉ…、そもそも魔戒騎士の収入源って、何でしょね?
URL 2013/04/12(Fri)17:11:24 編集
Re:鋼牙がいない
自分が思いつくような妄想なんて、みなさんもフツウに考えてることなんだろうなぁ~ と思ってました。芽様のコメント読むまでは!
へぇ~、そういうもんなんですねぇ~
ほぉ~、なんだか逆に驚きました!

selfish は、みなさんからいただくコメントから「妄想スイッチ」を入れてもらってることがありますよ。
ふっと思いついたことを書いてるだけなのに、「こういうことなんですよね?」みたいなコメントをもらって初めて「あぁ~、そういうことを自分は書きたかったんだぁ」と再確認したり、「あぁ~、そういうふうにも捉えられるんだぁ じゃぁ、こっちの方向に膨らませるなぁ」と妄想に厚みが加わったり…
芽様をはじめ、みなさんからいっぱい刺激されてます!

魔界騎士の収入源?
あれじゃないですか?
ホラーを切った剣を、番犬所で浄化したら短剣が出てくるじゃないですかぁ
あれを、神官に渡すと、1本10万円とかで引き取ってくれるんじゃないかなぁ
そして、12本セットになって魔界に送るときになったら、サイコロ(2個)を振ることができて、出た目の数に応じてボーナスがもらえるんです。
そして、ゾロ目が出たらさらにプラス100万円!

…なわけはないか。 (笑)
【2013/04/13 00:16】
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



tomy 様[07/27]
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