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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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鋼牙さんのご帰還!

結構思いつくまま、気ままに書き散らしてきましたが、そろそろ
あれやこれやを回収しないと…

むむむっ!
回収しきれん!


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てっきりゴンザさんがいるものだと思っていたのに、そこにいたのは
間違いなく、鋼牙その人で…

(えっ… なんで…)

不意打ちをくらって茫然と立ち尽くしたあたしに向かって、鋼牙は、

「おかえり」

と言った。
あまりの驚きに固まってしまったあたしの身体は、久し振りに聞いた
鋼牙の温かい声で溶かされたかのように、ようやく動き始める。

「ただいま…」

そう言いながら、鋼牙のそばまでゆっくりと近づいた。
鋼牙は手に持っていたティーカップをソーサーに戻し、再びあたしを
見た。
鋼牙を見下ろすようにして目の前に立つと、真っ直ぐにこちらを見る
鋼牙の視線をしっかり受け止める。

「おかえり、鋼牙。
 いつ、帰ってきたの?」

(大丈夫… 少し落ち着いてきた)
ほっとしているあたしに鋼牙は答える。

「つい、さっきだ」

「そう…」

交わす言葉は少なかったが、鋼牙の口調や視線、呼吸… とにかく
そういうもの全てから鋼牙の気持ちを受け取ろうとする。
きっとそれは鋼牙も同じはず。
あたしの発する何もかも全部を受け入れようとしてくれてる…
短い会話の中で、言葉以上のものを交わし合う。



『カオル。
 俺様も帰ってるんだが…』

鋼牙の左手からザルバが声をかけてきた。
あたしは、ザルバに微笑んで、

「ザルバも、おかえり」

と声をかけた。
すると、

『おいおい。
 「も」は余計だぜ、まったく…』

とかなんとかザルバがブツブツ文句を言い始めたんだけど、あたしは
それを軽くスルーして鋼牙に向きなおった。

「ゴンザさんは? 出掛けたの?」

「あぁ。
 今夜は腕を振るうと言って、買い物に出かけた」

「そっか…」

鋼牙を目の前にして、

(鋼牙の気持ちは変わってないかも…)

と、なんとなく自信を取り戻しつつあったが、やはり ’彼女’ のことが
気になる。

「蒼穹ちゃんは?
 一緒じゃなかったの?」

できるだけ何気ないふうを装ってみたつもりだが、果たしてそれが
成功しているかどうかは自分でも自信がない。

「元老院に報告したその足で、家まで送り届けてきた。
 蒼穹の家族がずいぶん心配しているみたいだったからな」

   ズキン…

あたしの心がちょっぴり痛んだ。
鋼牙は、相手が男でも女でも、名前を呼び捨てにする。

(蒼穹… か)

鋼牙は気付いてないだろうけど、鋼牙が、女性の名を呼び捨てで
呼ぶたびに、あたしは何かひっかかるものを感じるんだよね。
姓のほうを呼び捨てにするっていうのなら、まだ変に意識することも
ないんだけど…
魔戒法師にもさ、鈴木とか佐藤とか、姓というものがないのだろうか?
そんなことまで考えてしまう。

いや、わかってるんだよ?
鋼牙が、別に深い意味を込めて、呼び捨てで呼んでいるわけじゃないって
ことを。
邪美さんは幼馴染だから、とか、烈花ちゃんは年下だから、とか、
理由はわかるし理解もしているつもりなんだけど。

どう言えばいいのか…
心が飲み込んでくれない、っていうか…


「心配なのはしょうがないよ。
 だって、かわいいもん、蒼穹ちゃん…

 きっと、家族からも、とっても愛されてるんだろうね」

複雑な心境のまま、そんなことを口にした。

(あれ?
 聞きようによっては、ちょっとひがみっぽく聞こえる?)

でも、口から出た言葉は取り戻せない。

(どうしよう… 言い直した方がいいだろうか?
 いや、それは追い打ちをかけるようでマズイかな?)

そんなふうに悶々と考えていると、ザルバが急にこんなことを言った。


『蒼穹は結婚するんだ』


(へ?)

あたしは一気に混乱して、とんでもないことを口にした。

「蒼穹ちゃん、結婚するの?
 誰と?

 …鋼牙と?」

すると、普段はポーカーフェイスな鋼牙も、さすがに目を見開いて
驚きを隠せなかった。
鋼牙が話すより早く、ザルバが反応した。

『な~にを言ってるんだぁ、カオル?
 蒼穹が鋼牙と結婚するわけないじゃないか。

 都葵(つき)ばあさんのお眼鏡に叶った優秀な魔戒法師と、だ。

 なんでも、この指令から帰ったらすぐにでも結婚するってんで、
 大事な花嫁にもしものことがあったら、と、ずいぶんやきもき
 してた、というわけだ』

ザルバが半分ニヤつきながら、そんなふうに説明してくれた。
あたしはその話を聞きながら、どんどん顔が赤くなっていくのを
感じて、慌てて言った。

「ははは、そうだよね。
 やだな、冗談だよ…

 へぇ~、蒼穹ちゃん結婚するんだぁ。
 若いのにすごいね」

ちっとも誤魔化せてないだろうけど、空しく抵抗はしてみる。

(あぁ、この場から逃げ出したい…)


すると、ザルバがまた驚くようなことを言った。

『蒼穹が若いだって?
 カオル、おまえには蒼穹が若く見えるのか?』

「え? あたしよりずっと若く見えるけど…

 なに? どういうこと?」

再びあたしの頭は混乱する。

『あっはっは、そいつはいい!
 蒼穹はな、ああ見えて、鋼牙より5歳は上だぞ』

「う、うそ…」

ザルバのいうことがとても信じられない。

『あの一族の者は、昔から若返りの秘薬を使うと、もっぱらの噂だ。

 その証拠に、都葵ばあさんは100歳近いというのに、とてもそんな
 ふうには見えない!
 そのくらい、足腰のほうも口のほうも達者なもんだ。

 蒼穹の母親も、人間の目から見りゃ40そこそこってくらいか?

 まぁ、蒼穹のやつは、男より草のほうにご執心なんで、ちょいと
 行き遅れた感があるが、まぁ、あの容姿だ。
 年など、さほど気にならんだろうな』

ザルバの話を聞きながら、足から力が抜けていくのを
感じた。



to be continued(8へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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