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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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惑わされて(6)

なかなか進みませんねぇ~
2~3回で終わるかなぁ、くらいにしか思ってなかったのですが、
案の定、膨らんでしまいました。

もともとサクサク書ける性質(たち)ではなく、1話分のボリュームは
結構短いため、読み手様にしてみたら歯がゆいんだろうな…

…というわけで、今日も少しだけ、どうぞ。 (笑)





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明日が回答期限、という日の朝、クライアントから連絡が入った。

「連絡が遅くなって申し訳ありませんでした。
 ずいぶんヤキモキさせてしまったでしょ、御月さん?

 とにかく、一度お会いしてお話させていただきたいのですが、
 ご都合をお聞かせ願えませんか?」

電話の向こうの相手はこれまで対応してくれていた人とは違って、
話している言葉の端々に ’誠意’ が感じられた。
そのことが、あたしに大きな安心感と少しばかりの期待感を抱かせて
くれる。

「あ、はい。
 あたしのほうは、いつでもいいです」

自然と殊勝な振る舞いになり、相手に判断を任せることにした。

「そうですか… それでは、今日でも大丈夫ですか?
 14時以降なら時間がとれますけど…」

電話の向こうで手帳でも見ているのか、紙をめくる音が聞こえる。
忙しい合い間を縫って、わざわざ会ってくれるのかという印象を持ちつつ、
そういうアナログな音に不思議と親近感を感じたりしてほっとする。

「えぇ、あたしのほうは構いません」

「よかった…」

相手の心底ほっとしたような返事が聞こえた。

「では、今日の14時からでいいでしょうか?
 場所は…」

少しやりとりがあって、打ち合わせ場所を決めた後、

「それでは、御月さん。
 また、後ほどお願いします」

「はい。お願いします」

と会話を終えた。

電話を切ると、気分が高揚している自分に気付く。
電話の相手の態度から、なんとなく仕事がいい方向に転がりそうな
予感がしたことも理由のひとつだが、この頃は屋敷の中ばかりにいて
気分も滅入っていたから、出掛けることで気分転換にもなるという
期待もあった。

(えっと、何を着ていこうかな…)

あたしは、いそいそとワードローブの扉を開け、打ち合わせに着ていく
洋服を選び始めた。


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打ち合わせからの帰り道。
屋敷に向かうあたしの足取りは軽かった。

「ふふふ…」

自然と笑みがこぼれて、スキップしそうになる。
そうなのだ。
予想していたとおり、事態は良い方向に転がった。



打ち合わせの始まりは…
仕事が流れた、という悪い知らせからだった。

とあるカフェの店内にかけるための絵画の制作を依頼されていたのだが、
そのカフェの建物の耐震構造に大きな問題があることがわかり、もはや
絵どころの話ではなくなったというのだ。

「その対応にばかり気がいってしまいまして、御月さんへの連絡が
 遅れてしまいました。
 この度は、ほんとうにご迷惑をおかけしました」

そう言って丁寧に頭を下げてもらったので、正直なところ残念では
あったが、まぁ仕方ないか、という気になった。
じゃ、挨拶だけしてさっさと帰ろうか… などと考えていると、

「その代わりに、というわけでもないのですが…」

と、相手が切り出してきた。

「わたくしどもの同じ会社の系列で、小さなホテルを経営しています。
 実は、今、そのホテルのエントランスに飾る絵画を探しているのです。
 もし、御月さんのほうでよろしければ、そちらのほうをお願い
 できないかと思い、今日はお呼び立てした次第なんです」

と言うのだ。
そのホテルは、規模としては本当に小さいものだったが、若い女性を
ターゲットにした、キレイでお洒落な雰囲気のあるビジネスホテルとの
ことだ。
そして、このホテルは、結構、評判がよく、雑誌などにも何度か取り
上げられたことがあるのだという。

あたしとしても、カフェに飾る絵よりずっと大きなサイズで描くことに
なりそうだし、小さいながらホテルの顔とも言える場所に掛かるという
ことで、俄然やる気に火がついた。

後日改めて現場を視察させてもらうこととして、
その後の打ち合わせは、
次回の打ち合わせの日取りや簡単なスケジュールの確認だけをして
終了した。


そんなわけで、結果的に、よい方向に話が転がったので、上機嫌で
冴島の家に戻ろうとしているところだった。

(あ、見えてきた!

 お茶の時間にはちょっと遅れたけど、ゴンザさん、お茶を飲まずに
 待っていてくれるかな?
 今日はどんなスイーツがあるんだろう?
 お土産も買って来たんだけど… まぁ、これは明日でもいっか…)

そんなことをつらつら考えながら歩いていると、あっという間に屋敷の
玄関ドアの前にたどり着いたので、ドアに体重を預けるようにして
中に入った。

屋敷の中に入った途端、紅茶のいい香りが鼻腔をくすぐった。

(あれ? お茶の匂い?
 ひょっとして、ゴンザさん、ひとりでお茶してるのかな?)

リビングのドアを勢いよく開け、

「ゴンザさん、ただいま!」

と明るい声でそう言ったあたしは、次の瞬間、固まってしまった。

あたしの視線の先には、ティーカップを持ってこちらを見ている
鋼牙がいたのだ。



to be continued(7へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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