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きんのまなざし ぎんのささやき

昨日は昨日 今日は今日(8)

飄々とした零くんが帰り、へこみ中の鋼牙とカオルが残りました。
この二人、どうなるの?
(いやいや、selfish が聞いてどうするよ…)

このままダラダラ書いてるのもいいかな~ なんて、思ったり思わなかったり…

でも、なんとかゴールには向かっていると思います。



…多分



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カオルが朝食とも昼食ともつかない食事を摂った際、ゴンザから、
夕方から明日にかけて出掛ける、という話を聞いた。
例の ’山小屋’ に行く件だ。

そして夕方になり、ゴンザが出掛ける際にカオルに声を掛けたとき、
鋼牙が管轄内の見回りに行ったきり、昼にも戻らない、ということを
カオルはゴンザから聞いて初めて知った。

「カオル様、恐らく鋼牙様はお腹を空かせて帰られることと思いますので、
 よろしく頼みますね」

カオルは一瞬躊躇したものの、

「こっちのことは心配しないで。
 ゴンザさんこそ、気をつけて行ってきてね」

とゴンザを送り出した。

広い屋敷に一人残されたカオルは、今日何度目かの思案の虫に取りつかれた。
何を考えるというわけではない。
見えない何かに圧迫され、ただ息苦しさを覚えているだけのようにも思えた。

ふと、零の言った言葉が甦(よみがえ)る。

「カオルちゃんはカオルちゃんのまんまでいればいいんだよ。
 そんな君を鋼牙は好きなんだからさ」

(あたしのまんまか…)

閑岱からお見合い写真が大量に届けられたことで、カオルの知らない
仕事中の鋼牙について不安を覚えたのは、つい、昨日のこと。
でも、鋼牙の魅力に触れた者なら、鋼牙に好意を持ったとしても
仕方ないことかもしれない、と理解したつもりだった。
邪美のようなきれいで腕の立つ魔戒法師のほうが、闘えない自分より
鋼牙の相手に相応しいとも考えた。

しかし、理解はできても、ならば、と次にどんな行動をとればよいか解らず、
鋼牙から距離をとることしかできなかった。

(なんだかいろいろ考えるんだけど、結局のところ、あたしはあたしに
 自信が持てないんだ、鋼牙の相手として。

 でも、仕方ないじゃん。
 これがあたしなんだもん…

 闘う能力もないし、女としても魅力もないし、料理もできないし…
 あたしにできることっていったら、絵を描くことくらいよね…

 でも、鋼牙はあたしの描く絵が好きだって…)

はっと、何かに思い当たったカオルは、カバンの中からスケジュール帳を
取り出した。
そのスケジュール帳に大事に挟んである白い封筒をそっと出してみる。
いつもはその封筒を、外から見るだけでも元気になれた。

(でも、今日は…)

そっとそっと中を開き、ゆっくりゆっくり読んだ。
これは、そう、イタリアにいたときに鋼牙がくれたもの。

このときの鋼牙の気持ち、今でも変わらないのだろうか?
このとき感じたあたしの気持ち、今では変わってしまったのだろうか?

読み終えたカオルは、大きく息を吸い、目線を上に引き上げた。

(あたしはあたしの信じた道を行こう!

 グズグズ考えてばかりなんて、あたしらしくない。
 鋼牙があたしを拒んだなら、そのとき、あたしは諦(あきら)めよう。
 ううん、諦めるなんて出来ないかもしれない。
 でも、悩むのはそのときでも遅くないじゃない?
 暗くなるのは、もう、やめ、やめ!)

そう決断すると、カオルは勢いよく立ちあがった。

そのとき、階下で人の気配がしたように思ったカオルは、鋼牙が帰ってきたのだと
思った。

(鋼牙にどんな顔して会えばいいんだろ?
 う~ん…

 でももう、迷うのはナシ!)

鏡で上から下までをさくっとチェックしてから、よし、とひとつうなずき、
カオルは、部屋のドアを勢いよく開けた。

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鋼牙が屋敷に戻ってみると、いつもなら迎えに出るはずのゴンザの姿が
なかった。

(山小屋に行ったんだったな…

 カオルは… まだ部屋か?)

結界が張り巡らされた屋敷に戻ると、それまで研ぎ澄ましてきた五感が
解放されるような気がする。
と同時に、疲労感にも襲われた。

書斎まで自らの足を運び、ザルバをいつもの台座に据えてやる。

『鋼牙、今夜は指令書は勘弁してほしいもんだな。
 お前もそう思わないか?』

「指令書が来たら観念しろ。
 それまで、ゆっくり休むんだな」

『…あぁ…… そうだ…な……』

ザルバの目がゆっくりと閉じられていった。

ようやく一人になった鋼牙は、大きく息をついた。
書斎の椅子にそのまま身体を埋(うず)めてしまいたかったが、なんとか
思いなおし、重たい身体を引き摺るようにリビングに向かった。

リビングに入り、白いコートを脱ごうとした。
いつもならゴンザが後ろから手を貸してくれるが、いつもより重たく感じる
コートを今日は一人で脱ぐ。
ふっとコートが軽くなった感触を覚え、思わず、振り返った。

そこには、カオルが立っていた。
コートに伸ばしていた手を慌てて引っ込めている。

「…」

鋼牙は無言のまま、一歩カオルから離れた。
その様子に、カオルの表情が強張る。

「あっ、ごめんなさい。
 あんまり疲れているみたいだったから、手伝おうと思って…」

カオルは鋼牙から視線をそらす。

「お昼まだなんでしょ? 今から食べる?
 ゴンザさんが用意していったから…」

そう言い、台所に向かおうとした。

「カオル」

呼び止められてカオルの足が止まる。
自分の名を呼ぶ鋼牙の声に、身体が震える。
でも、振り向けない…



to be continued(9へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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