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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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昨日は昨日 今日は今日(5)

いよいよ、ヤツが登場します。

この男が登場すると長ぁ~くなります。
(従来の約1.8倍 : 当社比  ←冗談)
それは、selfish が、この男なら、ストレスなく喋らせることができるから…
でも、書く時間はあんまり変わらないかも…

これが鋼牙の場合になると、「できるだけ喋らせたくない!」という制約が
あるので、書いて、消して、書いて、変えて、… と時間がかかる、かかる~!

テンポよく読んでいただけたらいいんだけどなぁ~ と思います!


拍手[37回]


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

翌朝、鋼牙が朝食を食べ終わろうとしていた。
カオルはまだ寝ているのか、この時間には、まだ起きてきていない。

鋼牙は、いつもカオルが座る席を見て、溜息をひとつついた。
言うまでもなく、機嫌はあまりよろしくなかった。

そのとき…
ハーレーの重低音のエンジン音が、冴島邸の玄関先で止まった。
エンジンを切りながら、細身の体躯をしならせてバイクから降りた零は、
ヘルメットをとった。
玄関へと向かいながら、それまで、押さえつけられていた髪を無造作に
掻きあげ、屋敷の玄関ドアを乱暴に開け放った。

「鋼牙はいるか?」

どうやら、こちらの機嫌もいいとは言えない感じだった。

「これはこれは零様。
 昨日は失礼しました」

ゴンザが慌てて応対に出てきたが、勝手にずんずんとリビングに向かって
足を進めた。

「鋼牙はまだいる?」

「はい、お食事が終わられた頃です。
 あっ、零様の分をすぐにご用意しますので…」

「おっ、悪いね。

 …で、やっぱり、大量に来た?」

零は、閑岱からの見合い写真のことを指して聞いた。

「はい…
 やはり、零様のところにも?」

「まぁねぇ…
 そんで、カオルちゃん、中を見ちゃった?」

ゴンザはバツの悪そうな顔で、無言でうなずいた。

「やっぱりね…」

「それで…
 まだ鋼牙様には話していないのですが、中にカオル様宛てのものも
 いくつかございまして…
 全部にではないのですが、ひとつふたつ、何やらまじないが施されているものも
 含まれているようなのです。
 恐らく歓迎すべきでないほうのまじないかと思われますが…
 あっ、いえ、そう強烈なものでもないようです」

「なんだよ、それ…

 そのこと、カオルちゃんには絶対言うなよ」

「もちろんですとも…」

「あと、カオルちゃん宛てのものも、閑岱からのものは中身を確認したほうが
 いいかもな…」

「はい、それはもちろん…
 鋼牙様にもご相談して、と考えています」

そこまで会話すると、リビングのドアの前に到着した。
あとはいいから、という具合にゴンザを手で制し、ドアを開け、ひとりで中に入った。

「零。
 また、勝手に境界を越えてきたのか」

「ご挨拶だねぇ。
 こっちは、昨日の夜、ホラーを倒して、その足で駆けつけてきてやったって
 言うのに…
 寝てないから、こっちの機嫌も悪いんだ。
 そうつっかかってくんなよ」

ムっとした調子で零が答える。

「俺は、お前に来てくれと頼んだ覚えはない」

鋼牙もまた吐き捨てるように言ったため、二人はそのまま睨み合う格好になる。
だが、コワい顔をしていた零が、ふっと笑みを浮かべ、いつもの柔らかい口調に
切り替えた。

「お前もあんまり寝てないみたいだな。

 まっ、仕方ない。
 俺が折れてやるよ。

 …で、カオルちゃんの様子はどうなんだ?」

「どうと言われても…」

言葉を濁す鋼牙。
そんな鋼牙の様子を見て、零は少し話題を変えた。

「さっきゴンザから聞いたんだが、昨日届いたものの中にカオル宛ての
 ものがあったそうだ。
 その中には、あまり危険ではないが、何かまじないがされているものも
 あったらしい」

「なに!」

怖い顔で考え込む鋼牙に、零は、さらに言葉を継いだ。

「鋼牙、お前、自分の立場ってもの解ってる?」

「どういう意味だ?」

いきなり場違いな話を振られたため、鋼牙は訳がわからず、零にそう答えた。

「お前は、黄金騎士の正統な継承者ってことさ。
 魔戒騎士の中でも最高位の牙狼の系譜のな。

 まぁ、鋼牙にとっては、そんなのどうでもいいことかもしんないけどな。
 ホラーを倒し、人間を守るっていう使命の前では、系譜なんてお飾りくらいにしか
 思ってないんだろう?

 だがな、他のヤツらはお前のことを違う目で見てるってことさ。
 男にとって、牙狼っていうのは、憧れであり、恐れであり、妬(うと)ましい
 存在なのさ。

 じゃあさ、女たちがどう思っているのか?
 お前、考えたこともないだろ?」

鋼牙はただ無言でいた。
零から視線をそらさない。
その視線を、零も真正面から見据えた。

「由緒正しい家柄の奥方様になれるものならなってみたい。
 ただの人間の娘なんかに鋼牙を渡してなるもんですか。
 いいや、ただの娘なんかじゃない。
 かつて、’血に染まりし者’ であった女。
 ’メシアのゲート’ になりかけた女。
 そんな女が…」

「やめろ!」

零はひとつ大きく息を吐き、そして、その美しい眉を盛大に歪めた。

「反吐が出る… ヤな感じだ…
 お前もそう思うだろ?

 だがな、鋼牙に好意を持つ女が、みんなカオルみたいにお気楽な
 女ばかりだと思うなよ。

 魔戒法師だって、所詮は人間。
 醜い考えに捕われることだってあるってことさ。

 だから、鋼牙…
 カオルをそばに置くってのは、ホラーからだけ守りゃいいってことじゃ
 ないのさ。
 そんな女たちからも守ってやらなきゃならないんだ。
 そこんとこ、ちゃんと解っとけよ」

「…」

鋼牙も少しは考えていたつもりだった。

カオルを愛することによって、事と次第によっては、番犬所や、他の魔戒騎士、
魔戒法師たちまでが、鋼牙やカオルと相反する立場になるかもしれないと。
だが、鋼牙が考える以上に、複雑で入り組んだ思惑を持つのが人間。
人間である以上、邪念を持つことからは逃れられないのかもしれない。
そのことを、零に正面切って言われたのだ。

「俺が言いたかったのはそれだけだ…


 あ~、あともうひとつ。
 これは余計なことかもしれないが…

 男ってのはなぁ、鋼牙。
 一度口にしたことは 一生涯有効だって思っちまうんだけどさ。
 女は違うんだゼ。

 女にとって、今日って日は、’昨日の続き’ じゃないんだよ。
 昨日は昨日、今日は今日なのさ」

零の言いたいことが、いまひとつ鋼牙には伝わらなかった。
そのとき、それまで黙って二人のやりとりを聞いていたザルバが、助け舟を
出す。

『つまりな、鋼牙。
 ’愛してる’ って言ったら、’嫌いだ’ と言わない限り、愛している気持ちは
 変わらないはずだと、鋼牙、お前ならそう思うだろ?

 だがな、カオルにしてみたら、今日の鋼牙の気持ちは、今日 ’愛してる’ って
 言われない限り伝わらないゾってことを、零は言いたいんじゃないのか?』

我が意を得たり、とばかりに零がにっと笑った。

『あら?
 ’今日’ だけじゃないわよ。
 女にとっては、 ’さっき’ と ’今’ とだって、意味が大きく変わってくることが
 あるんだから』

シルヴァが澄ました調子で補足した。

「違いないや…」

何やら納得する零とは裏腹に、

(そんなものなのか?)

と、一人取り残された感じを味わう鋼牙だった。



to be continued(6へ)
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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