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きんのまなざし ぎんのささやき

朱(あけ)の誓い(7)

週末にアップできなくて、すいませんでした!
なんとか今日、アップしてみましたが…
いつにも増して、「勢い」だけで書いたので、読みぐるしい点があればご容赦を!
せめて、誤字・脱字はありませんように…(と祈る~)


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「始末?」

その場にいる者はみな、怪訝そうな顔で闘我を見た。

「そうだ」

闘我は事も無げにそう言うと、ゴンザの隣にいるアンナを見た。

「アンナ、と言ったか?
 針か何か穴をあけるものを持たないか?
 キリでも目打ちでも、なんでもいい」

アンナはいきなり声を掛けられて目をまんまるくして姿勢を正した。

「えっと… は、はい!
 目打ちならあります!」

アンナは緊張して早口でそう答えた。
普段、縫物や魔導具の制作に使用している目打ちを持っていたので、急いで、腰のところにぶら下げた物入れの中をゴソゴソと探した。
すぐにそれは見つかり、アンナは目打ちを両手で差し出した。

「これでいいですか?」

「ああ、ありがとう」

闘我は人懐っこい笑顔をアンナに向けると、目打ちを受け取り、その先端を明るいほうに向けて子細に眺めた。

「ふむ… ちょいと手を加えないとな…」

小さな声で独り言をつぶやいてから、ゴンザの顔をちらっと見た。

「何をしようとしているか、わかったか?」

ゴンザは硬い表情で闘我にうなずく。
なんとなくだが、彼のしようとしていることの見当がついた。

「不吉な印と忌み嫌われているのであれば、そんなもん…」

と、闘我は目打ちを手の中でくるりと回して持ち直すと、プスッと突き刺すような素振りを見せて、

「ほれ、こうやって、穴ぁあけりゃいいんじゃないの?」

と砕けた口調で言った。
その言葉に、半ば想像していたとは言え、ゴンザはやはり戸惑いを隠せない。
そんなゴンザを優しいまなざしで見ていた闘我は、やがて穏やかな声でこう言った。

「俺は、その痣を気にしない… だが、おまえやおまえの周りの者もそれを気にするんだろう?
 そんなちっぽけな痣ひとつ…
 この先もずっとそれに縛られることなどないんだぜ?

 この際、おまえがうちに来るとか来ないとかはどうでもいい。
 おまえが望むなら、この俺がケリをつけてやる…」

闘我のボサボサに伸びた長い前髪の隙間から見える目は少しも笑っていなかったが、かといって冷たい鋭さもなかった。
そのまなざしはゴンザを無言で励ましているように見えていた。

隣に座っているアンナも、思わず手を伸ばしてゴンザの腕を掴む。
はっと振り返ったゴンザは、少し泣きそうなアンナの顔を見た。

「ゴンちゃん…」

ゴンザの名を呼ぶだけであとは言葉にならないアンナ。
言葉もなく小さくうなずいただけだったが、迷いのあったゴンザの背中を押してくれたように思えた。
ゴンザもアンナにうなずいて見せてから、闘我を振り返る。

「闘我様、お願いします!」




闘我は、座敷から縁側に近いところに場所を移した。
そして、自身の剣を取り出すと鞘から20cmほどだけ刀身を引き出した。
アンナから借りた目打ちをその剣の柄(つか)に近い部分に押し当てると、ゆっくりと削り始めた。
さすがに、それで耳に穴をあけるには、鋭さが足りなかったし、太過ぎた。
金属と金属が触れ合う少し耳障りな音をさせて、闘我は少しずつ形を整えていった。

日が少し傾いてきたとは言え、まだ日差しはギラギラとしている。
時折、手を止め、目と指先で削り具合を確認する闘我の額から、汗が吹き出し、頬を伝って落ちた。

「よし、こんなもんだろう…」

闘我の手によって、細く先を尖らせた目打ちが、光を集めてきらりと光った。

(いよいよ、これで…)

そう思ったゴンザはゴクリと唾を飲み込んだ。
だが、まだ「準備」は終わっていない。

闘我は懐から魔導火を取り出すと、ライターを扱うのと同じような動作でシュボッと火をつけた。
艶めいた緑色の炎が風もないのに揺らめいているのが、なんとも不思議だった。
その炎の先端に、削り終えた目打ちをかざされた。
すると、緑色の炎が目打ちに移り、それ自体が生きているかのように、うねうねと動き回って全体を覆っていった。

アンナは、思わず、

「ほぉっ」

という声が口からついて出たしまい、慌てて手で口をふさいで

「ごめんなさい」

と小さな声で謝った。

闘我はそんなことは気にせず、目打ちを軽くブルンと振るうと、緑色の炎は消し飛んでしまった。

さあ、これで準備は整った。
当代一の魔戒騎士、冴島闘我の手によって魔戒剣で削り、魔導火で浄化されたその道具は、目打ちだったものとは思えない形状と色になっていた。

「さあ、ゴンザ。
 やめると言うなら、今のうちだぞ?」

片方の眉を器用にあげて、闘我が尋ねた。
聞かれたゴンザは、深呼吸をひとつしてから、

「お願いします」

とだけ言って口をきゅっと引き結んだ。

「…よし」

笑顔になった闘我は、片膝立ちになってゴンザに近づいた。
ゴンザの左耳に手が添えられ、鋭い先端があてがわれる。

ゴンザの膝に置かれた手は真っ白になるくらいぎゅっと握りしめられたが、目だけはしっかりと開いて前方を睨んでいた。



to be countiued(8へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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