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きんのまなざし ぎんのささやき

長い長い一日の終わり

早いな~ もう4月ですよ!
新年度の始まりで気分一新… といきたいですが、相(あい)も変わらずの妄想です。
ふふふ、ほんと変わらない…




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「おかえりなさいませ」

ゴンザの出迎えに、鋼牙はうむ、と無言でうなずき返した。
日付はとうに変わってしまった未明に帰宅した当主の顔には少し疲労の色が見えて、今宵の闘いの相手が手強(てごわ)かったことが偲ばれた。
だが、こうして無事に仕留めて戻ってきたのだから、あとはゆっくりと身体を休めればいい。
そう思って、ゴンザが鋼牙の白いコートに手を掛けようとすると、鋼牙はそれを手で制した。

『ゴンザ、またすぐに出ないといけないんだ。
 元老院め、人使いが荒い奴らだぜ、まったく…
 恐らく2~3日は留守にすることになるだろうぜ』

鋼牙に変わってザルバが不満そうに吐き捨てた。
このところ立て続けに元老院からの指令が舞い込み、疲労が蓄積しているだろう鋼牙の身を案じてゴンザの顔は曇った。
だが、ゴンザには、

「さようでございますか…」

と言うより仕方がなかった。
そんなやりとりを横目に、鋼牙はチラリと階段の上のほうに視線をやる。

「カオルは?」

忙しい中でもこうして屋敷に足を運んだのは、彼女のことが気にかかるからだろう。

「鋼牙様の帰りを待ちたいと仰ってましたが、この時間… もうお休みかもしれません…」

ふたりの気持ちを思いやると、自然とゴンザの声も沈んだ。

「そうか…」

そう応えながらも、鋼牙の足はカオルの部屋へと向いていた。




「カオル…」

ドアの前で声を掛けた。
ドアの隙間からは室内の光が漏れていたが、何も反応はない。
鋼牙は、ドアノブに手を掛けて静かに引いた。
煌々(こうこう)と電気が灯(とも)されている中、洋服のままのカオルはベッドの淵に腰をかけてそのまま倒れ込むような形で眠っていた。
鋼牙はそっと近づくと、彼女の足元に落ちているスケッチブックと鉛筆を拾い上げてサイドテーブルに置いてから、カオルのそばにしゃがみ込んだ。

『残念… 寝ちまってたか…』

声を潜めてザルバが言った。

「ああ…」

そう答えた鋼牙の声も、カオルを見つめるまなざしも、ついさっきまでホラー相手に雄々しく闘っていた者と同じ人物とは思えないくらいに優しく温かかった。
眠る彼女を愛おしそうにいつまでも眺めている鋼牙に、

『鋼牙…』

とザルバは遠慮がちに声を掛けた。
魔戒道が閉じてしまう時間を気にするザルバに、鋼牙は

「ああ、わかっている…」

と、すかさず返事をするが、名残惜しそうに彼女の頬にかかる髪を傷だらけの手で払ってやる。



『悪いが、時間だ』

二度目にザルバから声が掛かる。
今度は、鋼牙の気持ちを断ち切るように事務的な口調だった。
ザルバにそう言われ、鋼牙も少し険しい顔をする。
即座に立ち上がった鋼牙は、手早く、だが、慎重に、カオルをベッドに寝かせるとふわりと布団を掛けてやった。

最後に、カオルの寝顔を見下ろすと、ゆっくりと唇を重ね、彼女の柔らかい唇の感触を味わうように包み込んだ。



(おいおい、あんまり悠長にしていると、魔戒道が閉まっちまうぜ!

 …まあいいか。
 そうなったらなったで、夜どうし駆けるのはおまえさんなんだからな)

なかば諦めたザルバが見て見ぬ振りを決め込んだとき、鋼牙はすっくと立ちあがり、次の瞬間にはカオルの部屋を出ていた。
玄関の手前で、

「行ってらっしゃいませ…」

と丁寧に頭を下げるゴンザの前を、風のような速さで通り過ぎながら、

「留守を頼む」

と鋼牙は一言。

「お任せくださいませ…」

ゴンザが頭を上げて答えたときには、玄関のドアが、カチリと閉まるところだった。




(ご無事におかえりください、鋼牙様。
 そして、元気なお顔をカオル様に見せてあげてくださいませ…)

「ふぅ」

ゴンザは小さく息をつく。
程なくして冴島家の玄関先のライトが消え、長い長い一日が終わった。



fin
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目覚めた後、カオルちゃん怒るかなぁ~ 泣くかなぁ~ わめくかなぁ~

会いたかったのに会えない寂しさ。
しかも、愛しい人は、危険な闘いの場に向かうんですものね。
だからこそ、相手を思いやる気持ちはずっと強くあるままなのかな、とも思います。

それにしても…
牙狼という作品に出会ってから何年も(いや、10何年もか…)経っているというのに、鋼牙はいまだにどこかで闘っている、という思いが強いです。
ほんと、変わり映えしない妄想だよなぁと呆れつつも、楽しいんだからいいんじゃない? と開き直ってもおりまするぅ~♪

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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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