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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

最近の’妄想’
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最近の’お礼’

為すべきこととは(1)

いやあ、寒い、寒い。
お布団から出るのがいやになっちゃう朝でした。
これから毎日こんななの? いやだーっっっ!

せめて、妄想だけは… と思ったのですが、今回の妄想は ’ほんわか’ から程遠いです。
どうか暖かい恰好でお読みくださいませ。


追記:
血が出るような描写ありますよ!
そういうのが苦手な方はご注意ください。


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

あるとき、あるところで。
人の命を奪うことに興じている青年がいました。
その青年は言います。

「僕が人殺しだって? はん、冗談じゃない。
 僕は誰にでも見境なく手をかけてるわけじゃないんだよ」

と。
色素の薄い唇に薄ら笑いを浮かべ、青年は続けて言いました。

「’いい人間’ を殺したのでは、自分がただの殺人鬼と一緒になっちまうじゃないか。
 ’いい人間’ を減らしちまっては、この世はロクな世の中になりゃしない。そうだろ?
 だから、僕は ’悪い人間’ だけを始末しているのさ」

何も問題はない、とでも言いたげに肩をすくめると、青年の手入れがされていないボサボサの髪が揺れます。
すると、おどけた表情を見せていた青年の目が冷たくキラリと光り、音もなく行動を開始しました。
青年は、道路に煙草の吸殻を投げ捨てた中年男に背後から近づくと、口を塞いで羽交い絞めにし、ナイフで何度も腹を刺しました。
何が起こったか理解できないうちに、中年男はピクリとも動かなくなります。
中年男の緩んだ身体の重みがかかった腕を、青年はパッと放しました。
すると、ただの物体になってしまった中年男がドサリと地面に投げ出されます。
それを見つめる青年の目はわずかに高揚していましたが、すぐに力がなくなっていきます。

「なんかお腹減っっちゃったな…」

とそんなことを呟き、何事もなかったかのようにその場から去っていきました。




人影のほとんどない夜道。
青年は、白いコートの男とすれ違います。
青年のほうは、その男には何の興味もありません。
しかし、男のほうはそうはいかなかったようです。

『おい、あの男から血の匂いがするぜ』

男だけに聞こえるように密やかな声が囁かれました。

「ホラーか?」

足を止めた男は左手の拳に目をやり、そっと青年の後ろ姿を見ながら問いかけます。
少しの間(ま)があってから、

『いや、やつはホラーではないな』

との答えが。

「そうか…」

返事をしたものの男は青年のことが気にかかるようで、またちらりと目をやりました。

『鋼牙…』

魔導輪の促すような声に、白いコートの男は

「わかっている。俺の出る幕ではないってことはな…」

と返事をすると、気持ちを振り切るように左手を勢いよく下ろし、くるりと踵(きびす)を返しました。
それに合わせて白いコートの裾が綺麗な弧を描くと、そのまま男は自分の行くべき道を急いだのでありました。





ある夜。
街に画材を買いに出掛けた女は、帰り道を急いでいました。

「ちょっと買い過ぎちゃったかな…」

そう言いながら、重く手にのしかかる袋を、よいしょ、と持ち直します。
そのとき、どこからか微かな鳴き声が。

  ニャ~ン

(あれ?)

女は足を止めると、声の聞こえた方を透かして見ます。
すると、数メートル先にある電柱の影から可愛い瞳がのぞいているではありませんか。

(かわいい!)

女はそっと近づいてみました。
その猫は人懐こいのか、逃げる素振りを見せない。
残り1メートルくらいのところまで来て、女はしゃがみこみました。

  ニャ~ン

また一声、猫が鳴きました。
それでもうメロメロです。

「おいで…」

そっと手を出して呼びながら、頭の中では、

(なにかあげられるものがあるといいんだけど…)

と考えています。

(そうだ!)

女は何かに思い当たると、カバンの中をゴソゴソと探り始めました。

「確か、試供品があったはず…」

2~3日前、執事のお供で郊外にある大きな量販店に行った際に、ペットフード売り場で配られていた試供品をもらったのが、カバンから出されずそのままだったことを思いだしたのです。
彼女自身は犬も猫も飼ってはいませんでしたが、猫ならたまに見かけるからと思い、猫用のフードをもらっておいたのです。

「あった!」

カバンの内ポケットから引っ張り出されたものの封を開け、道の隅っこの方に少しだけ出してみます。
すると、匂いにつられたのか、電柱の影から鼻をヒクヒクさせながら猫が顔を出してきました。

「大丈夫だよ~ おいしいから食べてごらん」

ニコニコと笑いながら猫を見守る女の後ろ姿。


目の前の人間を少なからず意識しながらも、差し出されたエサを食べ続ける猫。
そして、それを愛おし気に見つめる女。
その姿を、別の ’影’ が少し離れたところからのぞいて見ていました。

「みぃつけた!
 猫にエサを与えるなんて、なんて ’悪い人間’ だろう…」

そう言った唇は、色素がとても薄く、残忍な笑みが浮かんでいました。



to be continued(2へ)
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拍手[16回]

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こんばんわ
お久しぶりです!!本当に寒くなってきましたよね〜

悪い人間を殺す……なんだか「シガレイン」を思い出しました(笑)
その内彼もホラーに食べられて、鋼牙に倒されそうな気もしますが、カオルちゃんがその彼の標的になるとはΣ(・ω・ノ)ノ
まぁ、あまり野良ちゃんには餌を上げたらダメらしいですがここはカオルちゃんの性格もありますし悪くはないとは思いますけどね。だけど必ず鋼牙が来て守ってくれるはず!!!(笑)

次回も楽しみに待ってますヾ(●´∇`●)ノ
ナサリシチ 2016/11/03(Thu)00:38:35 編集
Re:こんばんわ
またコメントくださいましてありがとうございます!
ナサリシチ様のコメントを読みながら、「いやぁ、あのね、このあとね…」と喋ってしまいそうになり、「なにやってんの、まだ言っちゃ駄目でしょ!」と自分で自分に突っ込んでますw
それにしても…
あの青年の ’悪’ の判断基準はかな~り問題ですよね!?
はてさて、’女’ の運命や如何に?

いやあ~、続きを待っていてくれる人がいるのは本当に嬉しいデス!
こうしてコメントを残してくれて、滅茶苦茶ありがたいっ!
【2016/11/03 22:11】
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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