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甘酸っぱさをお・す・そ・わ・け
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(もうすぐだ… どうしよう…)
マユは胸の前で合わせた手をギュッと握りしめた。
駅に向かう道の途中。少し脇道にそれた場所でマユはそのときを待っていた。
マユが待っているのは慶介。
マユのクラスメートで、ちょっと前まで隣の席だった子だ。
彼はクラスの中で特に目立つような子ではない。
どこにでもいる普通の子…
友だちどうしでふざけることもあるし、授業中に寝ているのを見かけたこともある。
慶介はもともと気さくなヤツだったし、マユもサバサバした性格だったので、隣の席になったのをきっかけにごく普通に話すようになるのに時間はかからなかった。
相手が男子だから変に気も遣う必要もなく、マユは慶介と話をするのが楽しくさえあった。
マユが自分の気持ちに気付いたのは、ほんの1週間ほど前のこと。
席替えがあって、慶介と席が離れてしまってからのことだった。
ふと気づくと、慶介の姿を目で追っている自分に気付いた。
そして、慶介を見ているとなんとなく落ち着かなくて、なんとなく熱くなるような奇妙な感覚を覚えた。
自分の気持ちに気付いたマユが次に思ったことは…
「告白しよう」
だった。
飛躍し過ぎているように感じる人もいるかもしれないが、
「今、告白しなければ、アイツは誰かに取られるかもしれない」
のだ。
自分に勇気がないばっかりにそんなことになると思ったら…
「ヤダ! ヤダ! ヤダ!」
…と、そういうわけで今に至るのであった。
(あ、来た!)
目の前を慶介が通り過ぎた。
慶介は、電柱の影に隠れたマユには気付いていない。
すー はぁー
ひとつ大きく深呼吸してダッシュ!
角を曲がって慶介の背中を追う…
ところが!
「えっ!」
ドシンっ
マユの目論見に反して、慶介の背中はすぐ目の前にあり、マユはそのまま慶介に体当たりする恰好になってしまった。
「いってぇ~」
ぶつかられたほうの慶介は思わず叫んでいた。
「あ、あ… ごめん!」
しかめっ面で振り返った慶介は、ぶつかってきたのが誰か分かって驚きの表情に変わった。
「おま… 岩崎ぃ?」
が、すぐに振り向いて
「すいません! なんか、変なヤツがぶつかってきちゃって…」
と誰かに向かって頭を下げた。
どうやら、慶介は誰かと話をしていたところだったようだ。
カオルは駅を出たところでケータイの画面を覗いた。
(真っ直ぐ行って、7つめの角を右に曲がるのね…)
初めて訪れる場所なので、うまく行けるか少しばかり不安だ。
1つ… 2つ…
角を数えながら歩いていたが、きれいな看板に目を取られた瞬間に次の角が5つ目だったか6つ目だったか判らなくなってしまった。
(あれ? 多分この角で5つ目だと思うんだけど…)
後ろを振り返ってみるが、記憶が曖昧で役に立ちそうもない。
すると、前から歩いて来る男子高校生の姿が目に入った。
(あの子に聞いてみよう!)
そう思ったのは、「なんとなく」だった。
なんとなく彼なら親切に教えてくれそう… そんな雰囲気をその子は持っていた。
そわそわしながら、その子が近づくのを待つ。
(うふふ、なんだか告白でもしようと待ち構えてるみたいな感じね)
思わずにやけてしまいそうな顔を引き締め、だけど印象が悪くならないように自然な笑顔を作る。
「あの、すいません。
道を教えてほしいんですけど… いいかな?」
「あ… いいですよ」
カオルと目を合わせた高校生は、相手がきれいなお姉さんだとわかるとちょっとドギマギした。
(あはっ、か~わいっ!)
高校生の赤くなった耳を見ながら、
「あのね、菩提樹っていう名前のギャラリーに行きたいんです。
公園のすぐ隣っていうから、その公園の場所でもいいんだけど…
どこだかわかる?」
とカオルは訊いてみた。
「あ、公園なら…」
と高校生は答えかけたところで、その子の身体が大きく揺れた。
「いってぇ~」
叫んだ彼が後ろを振り向いた。
「すいません! なんか、変なヤツがぶつかってきちゃって…」
後ろを向いていた彼が、顔をこちらに向けて謝った。
すると、彼の影から女子高生が顔を出す。
「ご、ごめんなさい。
なんか、お話の邪魔したみたいで…」
女の子は上目遣いにカオルを見た。
(うわっ、きれいな人!)
そう思いながら、マユは手に持っていた紙袋を身体の後ろに隠した。
その中には、昨日作ったクッキーが入っていた。
慶介に少しでも女の子らしいところをアピールしようと頑張った力作だ。
「公園の場所でしたよね。
それなら、あと2つ行った先の角を右に曲がってください。
左手に公園、見えますから…」
「あぁ、ありがとう。とても助かったわ」
カオルはほっとしたように言い、にっこり笑った。
すると、少し照れたように
「いえ…」
と笑った高校生とは対照的に、それを見た隣りの女子高生がムッとした顔をする。
その様子を見て、カオルはうふふと小さく笑う。
「じゃ」
「あ、はい」
カオルと高校生は言葉を交わし、女子高生もペコリと小さく会釈をして別れた。
ゆっくり歩いていき、曲がるべき角まで差し掛かったとき、カオルは足を止め、振り向いて高校生たちを見た。
女子高生の持っていたかわいくラッピングされたあの紙袋が、今は高校生の手にあった。
恥ずかしそうに頭をかきながら、何か女子高生に向かって言っている。
(ふたりとも真っ赤…)
カオルはニヤッと笑い、角を曲がった。
(いいな~ 青春だな~)
カオルのニヤニヤは、当分顔から剥がれそうもない。
(恋か~
ああ、あたしのときはどうだったっけ?)
そう考えたとき、白いコートの男の顔が浮かんだ。
うふふ
カオルは、なんとも言えないしあわせそうな笑顔で歩き続けた。
fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
カオルちゃんが脇役でチラッとだけ出てくる妄想でした。
やっぱ、こういうのはあんまり需要がないですよね?
けれども、需要とかそういうのは気にしないで書いてます。
職業作家ではないので、ただ「好き」で妄想しているので、ね。
カオルちゃんが高校生カップルと別れた後に何を考えていたのか?
それを妄想するのも楽しいでしょうね。
コメント
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…
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