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きんのまなざし ぎんのささやき

妄想帰り道

妄想は誰でもするもの…
大好きな人がいれば、それはなおさらでしょ?
…と妄想を正当化してみる今日この頃。

今度の妄想は、「妄想」だ!



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目を見つめ合うふたり。
恥ずかしそうで、でもしあわせいっぱいの笑顔を浮かべてる。

見てるこちらまで思わず微笑んでしまうのは、すごく自然なことだった。

すると、一転して楽し気なアップテンポの曲が流れて、エンドロールが始まった。
スタッフ、キャストの名前が流れる中、ふたりのその後が映し出されていく。
忙しい朝の洗面所を取り合いがいつしかじゃれ合いに発展していく様や、スーパーでどっちのシリアルを買うかで
真剣に揉めてる様子など。
どのシーンのふたりも本当に輝いていて眩しいくらいに素敵だ。

「はあ~」

周囲の人たちはすでに帰り支度を初めてざわつく映画館の中で、カオルは映画の余韻に浸って吐息をこぼした。
今日は街に用事があったので、そのついでに、以前から見たいと思っていたラブコメディの映画を見に映画館に寄ったのだった。

カオルは映画館の中央付近のシートで鑑賞していたから、急いで席を立たなくても他の人の迷惑になることはないが、とは言え、いつまでも残っているわけにもいかないので、最後の人の流れに乗り遅れないようにと、席から立ち上がった。
映画館の外に出ると、少し陽が傾いていた。
チラッと時間を確認して、駅前を出るはずのバスの時間と照らし合わせてみる。

(うん、ちょうどいい感じ!)

カオルは顔を上げると急いで通りを渡って、バス停へと急いだ。



「お出かけならば、お帰りの時間にお迎えに行きますよ」

と、冴島家の執事であるゴンザはいつも言ってくれるのだが、

「いいの、ひとりでちゃんと帰ってこれるから大丈夫!」

とカオルはいつも断っていた。
両親を早くに亡くして大体のことは自分ひとりでやってきたからか、人の好意を素直に受け入れることは、今でもちょっと苦手だ。
家族同然のように迎え入れてくれ、何年も付き合いがあるとは言っても、人間、根っこのところはそうそう変わらないのだから仕方がない。

だが、さすがに黄金騎士の家に長く仕えている執事だけはある。
カオルのそんな気持ちにもゴンザはちゃんと気づいていて、断るカオルの負担になるような態度は取らない。
いつでも手を差し伸べつつ、押しつけがましいような無理強いは決してしなかった。



バス停に辿りつき、無事に目的のバスに乗り込んだカオルは、空いている席を見つけて座って一息ついた。
これで終点まで行けばいいのだから、なにも考えなくていい。いや、逆に、何か考えこんでいても大丈夫というわけだ。

(さっきの映画、よかったなぁ)

窓外に流れていく街並みをぼんやり眺めながら、カオルはしあわせそうなふたりの様子を思い起こしていた。

(最後のロークの台詞… あんなこと言われたら誰だってイチコロよね)



「君のいない僕の人生がどんなだったか、もう思い出せないんだ…」



この台詞を言っている彼氏役のロークの顔を思い出そうとしてみたが、それがふいに鋼牙の面影と重なる。

「カオル。おまえのいない人生がどんなだったか… 俺はもう思い出せない…」

真っ直ぐにこちらを見つめて、重低音の美声がダイレクトに響いてくる。

(えっ、やだ!
 ないない、絶対、そんなこと言わないよ。鋼牙は…)

慌てて打ち消したカオルだったが、それでもしばらくニヤニヤは止まらない。
ひとしきりニヤけた後に、ふいに、

(でも、零くんならこんなこと言っても結構似合うんじゃないかしら?)

と、笑顔の似合う魔戒騎士のことを思い出した。
すると…
カオルの頭の中に、今度は、爽やかに笑う零の顔が浮かんでくるのだった…

「カオルちゃんと出会う前の頃? …そんなの全然思い出せないよ。思い出したくもないし、さ」

口ではサラッと言っているが、零の目は決して笑ってなくて、射すくめられたような気分になるんじゃないだろうか?

(けっこう年下のはずなのに、ああ見えて案外男っぽいのよね、零くんて…)

カオルは少し顔を赤らめる。
別の人のことを考えて、思いのほかドキドキしていることが、なんだか鋼牙に対して後ろめたい。

(レ、レオくんだったらどうかしら?)

と、今度は一転して、キザな言葉の似合わなさそうな人のことを考えることにした。

「カオルさん、ぼく…」

そう言って恥ずかしそうに目をそらすレオを想像してみる。

「カオルさんのいない頃のことは、もう思い出したくもありませんっ!」

あとはどうにでもなれ、とばかりに一気に言い放ったレオは、その後、恐る恐るカオルのほうを見る。
大きな男の人が上目遣いをするのは、なんともカワイイではないか!

(やだ… ちょっとキュンとくるかも…)

レオにまでドキドキさせられて、なんだか急に暑くなってきた。
手をパタパタと降り、火照った顔に風を送る。

(だめよ! やっぱり、あたしは鋼牙なの!
 鋼牙のことしか考えないんだから!)

誰に向かって力説しているのかわからないが、カオルは両手の拳(こぶし)をギュッと握って、うん、とうなづいた。
ハッと気づくと、カオルが妄想を楽しんでいる間にバスのお客さんはずいぶん減ってしまい、もうそろそろカオルの降りるバス停に着きそうな頃合いだった。





郊外の大きな団地の外れにあるバス停。

  ぷしゅ~

最後に降りたカオルの背後で、バスのドアが閉まった。
カオルの前を歩く人たちは、すでに足早に目的地へと向かって歩き出している。

その背を見送ったカオルは、くるっと向きを変え、道路から外れるようにして脇道に入った。
冴島邸に向かうこの道には結界が張られていて、どうやら普通の人間には見えにくくなっているようなのだ。
その道を、カオルは
ずんずん歩いていった。
陽は傾いていたが、まだ少し明るかった。
紅葉の始まった雑木林には斜めに光が差し込んでいて、ハッとするほど美しく輝いていた。

(ああ、鋼牙のプロポーズってどんなだろう?)

すでに家族同然ではあったが、そこはカオルも女の子。
大好きな人からのプロポーズは憧れるもの…

(片膝をついて指環を差し出す西洋式とか?
 それとも「俺のパンツを洗ってくれ」的な?)

ああでもない、こうでもない、とあれこれ想像しては、違う違う、と自分で打ち消すことの繰り返し。





『おい、鋼牙』

「なんだ?」

ゲートの封印からの帰りに、ザルバがふいに話しかけた。

『あれはカオルじゃないのか?』

「…そうだな」

100メートルほど先を歩く人影を見ながら鋼牙は答えた。

『あいつ、何かおかしなモンでも食っちまったのか? 妙な動きをしているぞ?』

確かにザルバの言う通り、突然くねくねと身を躍らせたかと思うと、急に首をブンブン振りだしたり…
妄想しながら照れたり、喜んだりしているカオルの後ろ姿は、実になんとも奇妙で滑稽だった。
しばらくその様子を見ていた鋼牙は、フッと笑う。

「さあな」

と惚(とぼ)けた返事をする。
そして、カオルに追いつくべく歩調を速めた。

「カオル!」



fin
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う~ん。
肝心の鋼牙さんのプロポーズシーンの妄想まで及びませんでした。
ちょっと残念…

みなさんだったら、どんなふうに想像します?
鋼牙さんがカオルちゃんにプロポーズするシーンを。

きっと、それぞれに素敵な場所、素敵な言葉で妄想していることでしょうね?

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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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