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きんのまなざし ぎんのささやき

白い花ゆれて(3)

「(2)」に収まりきれなかった部分を書こうと思ったら、短かった…
というわけで、急遽、勢いで書き足してみました。
これが吉と出るか凶と出るか…

実は昨日のうちに書き上げたのですが、かなり眠くて頭がぼんやりして
いたので、ポカをやってそうで怖くて公開できませんでした… ははは

しかも、事務員Gさんの生放送聞きながらだったので、いまいち書く方に
集中できず… てへへ

そんなこんなで、本日公開!  です。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

庭の片隅に、シュウメイギクが咲いていた。

鋼牙にとって、父、大河の記憶は、具体的なエピソードではなく、
大きく、厳しく、そして強いという漠然とした印象が色濃くあった。
それだけに、愛する人を亡くして、花にその面影を追うという、
そういう一面が父にあったことに、鋼牙は未だ戸惑いを覚えていた。

シュウメイギクは、翳ってきた秋の光の中、ひっそりと風に揺れていた。

鋼牙はひざまずき、花を間近で見てみた。
その楚々とした風情の中に、鋼牙は母の姿を追ってみた。
だが、母の記憶はあまりにも儚(はかな)く、この花と母とを結びつける
ことは、鋼牙にとってひどく難しいものだった。

(だが、父さんは、この花に母さんの姿を重ねたのだ…)

無言で花を見つめ続ける鋼牙の傍(かたわ)らに立っていたカオルは、
鋼牙に近づき、真横から鋼牙の頭を抱きしめた。
花を見つめる鋼牙の表情が、幼子のように一途で危うげにカオルには
見えたから。

鋼牙は、抱かれるままカオルの胸に寄りかかりながら、ふと思った。

(この花に母さんの面影を重ねることは、俺にはできないが、
 父さんの母さんに対する想いなら、少しわかる気がする…)

カオルというかけがえのない存在を得て、鋼牙は、父をひとりの男として
捉えることができたように思った。
大きな存在であったはずの父が、ひどく近しい存在に感じられ、不思議な
気分にもなったが。

そして…

(俺もいつか、カオルの姿を花の中に探すのだろうか?

 もし、仮にそんなことがあるならば、それは、父と同じように、大事な人を
 失ったときなのかもしれない…)

そう思いながらも、そのようなことは断じてあってはならないと即座に
打ち消した。

「カオル」

鋼牙に名前を呼ばれ、カオルは抱きしめていた腕をほどき、鋼牙の顔を
少し覗き込むようにして見た。

「なぁに?」

「お前は俺のそばに…

 …いや、なんでもない」

鋼牙は素直な心情を吐露しかけたが、思いなおして途中でやめた。
カオルは鋼牙が何を言いかけたか察し、一瞬驚いた顔をしたが、可笑しそうに
くすくす笑ってから、

「いつでもいるよ。

 鋼牙がそんなふうに思っていてくれる限り、あたしは鋼牙のここにずっと
 いるから…」

そう言うと、鋼牙の胸元を指差すようにつついた。

鋼牙の胸がちりりと痛んだ。

鋼牙の胸には、 ’破滅の刻印’ がある。
この刻印が刻まれると、そう長くは生きられないという ’破滅の刻印’ が。
だが、その事実をカオルは知らない。

胸の痛みは刻印によるものではない。
カオルに隠し事をしていることの罪の意識…
カオルのそばにずっといてやれないという悔恨(かいこん)の情…

これまで、亡くなった者に想いを馳せる侘しさを知っている鋼牙であったが、
愛する者を残して逝くかもしれないという逆の立場となったとき、刻印が
もたらす痛みとは違う、別の苦しみがあるのを初めて知った。

鋼牙はカオルの手を取り、自分の胸に無言で押し当てた。
カオルは、少し様子がおかしい鋼牙に首をかしげたものの、気づかぬ
フリをしてにっこり微笑んだ。

「なに、そんなにそこにいてほしいの?

 それじゃあ、鋼牙がいるなって言っても、ず~っと鋼牙の胸の中にいるよ。
 それでいい?」

少しおどけた調子で言うのは、ずっと自分のことを想っていてほしいという、
カオルの本音が隠れているからだ。
鋼牙はカオルの笑顔を眩しそうに見た。

「あぁ」

そういうと、鋼牙は立ち上がり、カオルをそっと抱きしめた。
カオルは鋼牙の胸の中で呟いた。

「大丈夫、あたしはここにいるよ…」



だいぶん陽が翳り、風も冷たく感じられてきたため、2人は互いの体温を
一層感じることができた。
カオルのぬくもりを感じながら、ふと鋼牙は白い花を見つめ、密やかに
語りかけた。

(母さん、俺は、この光を守り続けていきます…
 そして、この光を胸に、俺は闘い続けるよ、父さん…)

白い花は、そんな鋼牙の言葉にうなずくように、秋の風にゆれていた。



fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


えっと、この妄想は、白い花にちなんで、亡くなった人(大河さんや
リンさん)を想う… っていうだけの思いつきで書いたのですが、
なんだか勢いで ’破滅の刻印’ の部分を盛ってみました。
勢いって大事かもって、selfish は思ったのですが、どうですか?

ところで、 ’破滅の刻印’ ですが、原作のほう、もっとドラマチックに
鋼牙の身体を蝕んでいくのかしら? と期待していたのですが、
selfish にとっては、今ひとつだったかな…

一期のときの、鎧に鋼牙が喰われそうになったところとか、
白夜のときの、邪美が鈴の毒を引き受けるところとか、
ああいう感じになったら嬉しかったのですが。

はい、すいません!
鋼牙が苦しむ姿、見たい人なんです! (苦笑)

蒼哭ノ魔竜では、苦しむ鋼牙、見れるかしら?
グリーンバックでの孤独な1ヶ月の闘いの成果が、大画面で確認できる日まで、
あと4ヶ月か~~~

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無題
ご心配お掛けしまして。じゃあ、お言葉に甘えて交換日記続行~♪。

いいのです、苦しむからそれを乗り越えた処に感動するし、追い詰められても諦めないで逆転するのが爽快な訳で。
V3の宮内洋さんも言ってました、「やられてやられて初めて、変身に繋がる」と。
苦しむ鋼牙、描くご予定は?。


がっちりやられた時の苦しみ方も美しいっていうのがヒーローの絶対条件の一つです。それが出せる俳優さんに出会えたらむしろラッキー。
そしてそのヒーローの男らしさを更に際立たせるのが、ヒロインだと。ドラマや映画が成功するKEYですね。ヒロインの描き方が曖昧だと、決して大ヒットにはならないのよね。あと俳優さん同士の相性とかね。

TVの新シリーズ、主役と相手役の相性がいいといいな~。カオルちゃん役の肘井さんは非常に賢い女優さんだったからな~。

ギャバン並み!?まじか!子孫繁栄してたら黄金騎士孫世代じゃん(涙)。
歳老いても、鋼牙カッコいいと思うけど。零君も渋くてカッコいいだろうけど。そんなん嫌だ~~~。
心太 2012/10/25(Thu)07:55:47 編集
Re:無題
触れちゃならんところ触れましたか?
もしそうなら「触れるな!」ってきっぱり言ってくださいね?
顔見ての会話じゃないので、その辺(どの辺?)とんと掴めないのでね。(ねっ?)

「苦しむ鋼牙」かぁ~
書けるものなら書いてみたいものですねぇ。
どうせ書くなら、息も絶え絶えになるような…
すみません、ただの病人です。

ほぉほぉ、なるほど。
「がっちりやられた時の苦しみ方も美しいヒーロー」
「そのヒーローの男らしさを更に際立たせるのが、ヒロイン」
「それが出せる俳優」
「俳優さん同士の相性」
牙狼って、キャストのみなさんに恵まれていましたよねぇ
もう、こんな作品には会えないかもですねぇ
絶対、何かの形で鋼牙に戻ってきて欲しいもんだなぁ…

まっ、確かに、ギャバンじゃ待ち過ぎですね。
ぜひとも、数年内にもう1本…
そんときには息子くんがいてほしいなぁ~
【2012/10/25 21:04】
無題
最近特撮割と恵まれてるけど、特に言えばシンケンジャーかな。
殿人気大爆発だもんね~、ブログのコメント数驚異的!。あれは抜擢レッドを支える、実力派のブルーの相葉君他キャストはもちろん、現代の侍に現実味を持たせたじいこと伊吹吾郎さんと、絶対的に強いと思わせた変身後の福沢さんあってこそだった~~。福沢さんの殺陣素敵だった、斬られたいw。シュッとした背中に縋りつきたかった~。
親子で嵌ってましたからね~。そういえばあれも刀振り回す話だった…。


数年後の鋼牙で息子付き?それじゃ子連れ狼じゃん。しとしとぴっちゃんしとぴっちゃんって歌っちゃうじゃん(涙)。
萬錦様も、北大路さんのも見てたのよ~、私。どっちかっていうと、子連れ狼は大河パパよね~、ワイルドだろ~?な感じで。
見たいよね~、もう一度鋼牙版黄金騎士。危機に陥るカオルちゃん助けるバージョンで是非今一度。鉄板作品作って年に一度稼いでもいいと思うんだけどな~~。
心太 2012/10/25(Thu)22:24:33 編集
Re:無題
シンケンジャ~~~
あの5人、よかったです!
レッドやブルーに隠れるかもしれませんが、イエローもよくないですか?
でも、やっぱり、チラ見なんですけどね、ははは。
ただ、「十臓出てきたら、呼んで!」 って息子に頼んでたりして…
(唐橋さん、やっぱ、好きだぁ!)

そうそう、福沢さんっていうんですか、レッドの人。
あの立ち姿、素敵… とは思いました。
動きもかっこいい!
でもね、体つきが若干好みでなく… (なんか、ヤらしい表現ですね 汗)
どこがどうとは、言えないのですがね、へへへ。


ごめんなさい、やせ我慢してました!
やっぱり、若いうちにもう少し鋼牙とカオル、見たいです!
早くしないと、ほんとに「しとしとぴっちゃん」になっちゃいますもんねぇ
1年くらい経ったら、A監督、また鋼牙の話を書きたくなってくれぇ~~~ って祈ってます…
【2012/10/26 22:32】
無題
こんばんは、ご無沙汰して申しわけありません。愛読のみで日が経ってしまいました。映画の前売り取りそこね、パスもまだ、でも白い花ゆれて、騎士と法師、二次小説を読ませていただき皆様のコメントも含め改めて皆様の鋼カオルへの愛情を感じ元気をいただきありがとうございます、前売り第2弾もあるとのこと,田舎なので、あまり来たいはできませんが,信じてまてます。新たな牙狼も始るとのことですが、冴島鋼牙では、ないそうで、残念です。残念。
かなまま 2012/10/27(Sat)20:07:35 編集
Re:無題
コメントありがとうございます!
「愛読」… なんてすばらしい言葉なんでしょう。
selfish からは、読んでいる人の様子はわからないので、面白く読んでもらえてるのか、いつも心配してます。
でも、逆に、「ちっ、つまんないぜ~」って離れていったとしてもわかんないから、そういう点ではお気楽に書き続けていられるんですけどね、へへへ。

selfish は、かなまま様に勇気をもらってますよ~!
幾つになっても、「好き」って言えるものがあるのは Happy だなぁって実感させてもらってます。
こうして、かなまま様との出会いのように、新しい出会いもありますもんね!

出会いがあれば、ってわけで。
TVシリーズ第3弾は、鋼牙のお話ではありませんね。
残念!

それでも…

冴島鋼牙は、きっと戻ってくる。

儚(はかな)い望みかもしれませんが、selfish は「光」を持ち続けたいのですよ。
…なんてねっ。
【2012/10/27 22:56】
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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