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きんのまなざし ぎんのささやき

白い花ゆれて(2)

カオルちゃんが持ち帰った、と妄想したのはこんな花です。
(よかったら、見てみてくださいね)

  「みんなの趣味の園芸」より  全体  アップ

「(2)」で終わらせるつもりが長くなった(最後まで書ききれなかった)ので、
とりあえず、途中までで公開します。
湿っぽい話ですが、おつきあいくださいませ。

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「お帰りなさいませ。
 あぁ、カオル様もご一緒だったのですね」

ゴンザが鋼牙たちの帰りを出迎えた。

「おや?
 カオル様、その花は…」

「あっ、これ?
 お庭のを摘んだんじゃないからね。
 町で見掛けて一輪だけもらってきちゃったの…」

「別に庭のを摘んでも構わないのですが…」

2人の口ぶりからは、冴島家の庭にもこの白い花があり、カオルはそれを
知っていた… ということが推測された。

「この花は、うちにもあるのか?」

「鋼牙、知らなかったの?」

カオルの手からその白い花を受け取り、ゴンザが愛しそうに眺めた。

『なんだ、ゴンザ。
 この花に思い入れでもあるのか?』

ゴンザの様子を見て、ザルバが聞いた。

「はい、この花は…
 大河様… 鋼牙様のお父上が、奥様に似ていると…
 そう仰(おっしゃ)られた花でございます」

そう言うと、ゴンザはその花を鋼牙のほうに差し出した。
そして、昔を思い出しながらぽつりぽつりと語りだした。

「大河様は、奥様が亡くなられてすぐに、幼い鋼牙様を残して1~2ヶ月ほど
 家を空けられました。

 それまでも、ゲートになりそうなオブジェを浄化し、指令があれば
 ホラーを狩る、という魔戒騎士のお仕事に、大河様は精力的に
 取り組まれておりましたが、奥様を亡くされてからというもの、
 より一層、お仕事に打ち込まれていったように思います」

そこまで話すと、悲しそうに表情を曇らせたゴンザは、小さな溜息を
ひとつついた。
当時の大河の心情を思ってのことなのか、ひとり屋敷に取り残された
幼い鋼牙のことを思ってなのか、鋼牙にもカオルにも、窺(うかが)い
知れなかった。
そんな2人を余所に、ゴンザは話し続けた。

「そんな、ある夜、ふらりと大河様が戻られました。

 大河様の手には、カオル様が持ち帰られたものと同じ花がありました。

 大河様は真っ直ぐに鋼牙様のお部屋に向かわれ、寝ている鋼牙様の
 枕元にその花を置かれました。

 何も仰らず…
 ただ、鋼牙様の寝顔と、枕元の花を交互に見て…」

そう言うと、そのときの大河がそうしたかのように、ゴンザもまた、鋼牙と
花を交互に見た。
とても穏やかに、だが、少し悲しげに。

「後でうかがったところ、その花の佇(たたず)まいが奥様に似ていると
 仰られて…
 鋼牙様にも、母に似た花を見せたかったのだと…

 鋼牙様はもう覚えていらっしゃらないとは思いますが、翌朝、鋼牙様は
 その花をお持ちになって起きてこられました。
 花を手にした鋼牙様を、大河様が抱き上げていらっしゃる様(さま)は、
 まるで親子3人で… 奥様もそこにいらっしゃるかのように、わたくしの
 目には映りました。

 ただ…」

そこで、ゴンザが少し言いよどんだので、鋼牙が先を促した。

「ただ、なんだ?」

「はい。
 大河様は、またすぐにお仕事に出掛けられました。
 おそらく、大河様は、奥様の思い出の多い東の管轄のお屋敷に
 いらっしゃるのがお辛かったのだと思います。

 わたくしは、東の屋敷の庭にこの花を植えました。
 大河様が、いつの日にか、あの屋敷で心穏やかに過ごされることを
 願って…
 また、成長された鋼牙様が、お母様を思い出される「よすが」になればとも
 思いました。
 そして、いつの日にか、お父上のご心情に想いを馳せることもできようかと…」

 だが、今となっては、その大河ももうこの世にはいない。
 鋼牙の管轄も東から北に変わり、今や元老院付きの魔戒騎士となっていた。
 ゴンザは、言葉を続けた。

「この北の管轄に移って参りましたときも、すぐにこの花を庭に植えたので
 ございますよ。

 いつかこのお話を鋼牙様にしなければ、と思っていたのですが…

 カオル様のお陰で、今日、ようやくお話しすることが叶いました。
 ひとつ肩の荷が降りたように思います」

ゴンザは、晴れ晴れとした笑顔を鋼牙とカオルに向けた。
そんなゴンザに、カオルが尋ねた。

「ゴンザさん、このお花、なんていう名前なの?」

「これは、シュウメイギクといいます。
 庭のシュウメイギクも満開でございますよ。
 そろそろ散り始めているかもしれません…」

そう言うと、ゴンザは鋼牙を真っ直ぐ見た。
カオルも鋼牙に視線を向けた。
そして、カオルは、静かに言った。

「鋼牙、庭に行こう?
 シュウメイギク、見てこよう?」

カオルに向けられた鋼牙のまなざしは、優しく落ち着いていた。

「そうだな」

鋼牙とカオルは連れ立って、庭へと向かった。

屋敷に残ったゴンザは、秋の庭を寄り添って歩く鋼牙とカオルの姿に、
在りし日の大河とリンの姿を重ねた。

堂々と歩く鋼牙には風格と余裕が備わっていたが、並んで歩くカオルに
それとなく歩調を合わせている。
手をつないだり、肩先が触れ合っていないにも関わらず、カオルが鋼牙に
しっかりと寄り添って歩いている。

いつまでも眺めていたいと思ったゴンザだったが、2人だけで亡き人を
偲ぶのがよいだろうと、そっとその場を後にした。



to be continued(3へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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