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きんのまなざし ぎんのささやき

言えなくて(1)

外は嵐!
台風21号のため、窓を叩きつける雨、吹き荒れる風で、外は大荒れに荒れています。(ひぇ~)

…が、妄想の世界では晴天ですw
とはいえ、別の意味でカオルちゃんの心中は穏やかではないようですよ。
さてさて、今宵の妄想は…


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何日か続いた曇天が、さわやかな秋風に一掃されて久しぶりに素晴らしい青空の下。

「う~~~ん~~~」

庭先で真っ白なスケッチブックを抱えるカオルは、難しい顔をしてしゃがみ込んでいた。

目の前には、淡い紫色のマツムシ草の花。
そのマツムシ草の茎を、小さなテントウムシが上へ上へと小さな足を気ぜわしく動かして昇っている。
傍(はた)から見ると、なんということのないのどかな光景である。
だが、それを眺めるカオルの眉間には深い深いしわが刻まれている。
どうやら、カオルは目の前の光景を見ているようで、見ていないようだった。
ほどなくして、テントウムシはようやく頂上に達する。
そして、硬い前翅(ぜんし)が真ん中からパックリと割れてその下から薄い後翅(こうし)が出てきたと思うと、高速で動き出し、青空に向けてパッと飛び立った。
それと同時に、

「はぁぁぁぁぁ」

と、カオルは大きなため息をついた。




実をいうと、カオルはこの2~3日前の間、ずっと悩んでいたのだ。

「何を?」

そう改まって尋ねられると、少々答えにくいのだが…

先日、自身の5冊目となる絵本の校了を迎えたカオルは、ようやくひと息つける状況になっていた。

えっ? それが何か関係あるのかって?
まぁもう少し話を聞いてほしい。

朝はゆっくりと起き、ゴンザ特製のおいしい朝食をいただき、時間やスケジュールに急(せ)かされることなく、見たいものを見、描きたいものを描き、日がな一日のんびりと過ごす日々を送るという、一般大衆から見れば実に羨ましい時間の過ごし方が許されるようになったのだ。

ところが、である。
ここのところの鋼牙ときたら、カオルとは反対に、元老院から毎日のように呼び出しが来て、今日は西の管轄へ、明日は南の管轄へ、といった具合で、屋敷にいる時間が極端に少なくなっていた。
そんなわけで、カオルが目にする鋼牙は「おはよう」の挨拶だけを交わして足早に出かけていく姿か、書斎で座るのももどかしく立ったまま分厚い書物に目を走らせている姿、あるいは、死んだように眠っている姿のうちのどれか、といったところだった。
そんなふうに毎日忙しく飛び回る鋼牙の身を、カオルはゴンザともども心配そうに見守ることしかできなかった。



…さて、そこで「カオルの悩み」についてなのだが…

鋼牙とのコミュニケーションもスキンシップも極端にない状態が続いたことから、猛烈に… その…
…鋼牙とキスしたくてたまらなくなっていた。

えっ? そんなことか、って?
他人にとっては「そんなこと」かもしれないが、カオルにとってはとても重要なことだ。

なんせ、カオルにとって鋼牙とのキスは、それはもううっとりとする行為なのだ。
力強い腕に抱きしめられ、たくましい胸の中で鋼牙に唇を奪われると、しっかりと時間をかけて熟成された上質のウイスキーのように、甘い雰囲気に酔わされ、じわじわとカオルの内の熱が上がっていく。
すぐに、頭の中は真っ白になり、ふわふわと雲の上にでもいるような浮遊感で、身体から力がフッと奪われていくのだ。
そのくせ、カオルの思考も感覚もすべて鋼牙一色に支配されてしまい、他のことなどどこかに吹っ飛んでしまう。

そんな魔法のような至福の行為を、ここ最近ずっとご無沙汰しているのだ。
カオルは、その期間をいち、に、さん、と指折り数えてみて愕然とする。

(え、うそ! こんなにしてないの?)



不思議なもので、一度、

「したい!」

と思うと、どうしてだか、そのことばかりを考えてしまう。
とはいえ、鋼牙はとても忙しい。そして、お疲れでもある。
自分が10代や20代のうら若き女性ならまだしも、しっとりと落ち着いた大人の女性になった自負もあるので、さすがに自分の欲求を素直に表に出して押し通すことは憚(はばか)られる。

それに、鋼牙にねだろうにも、なかなかうまいタイミングがない。
朝、出かけるときには、さすがにゴンザの目が気になるし、調べ物をしているときには、仕事の邪魔は絶対したくない!と思ってしまう。
夜、泥のように眠っている鋼牙を見ると、そっと静かに眠らせてあげたいな、と思うのだ。

でも… でも…

(ああ、鋼牙とキス、したいよ~
 したいったら、したい! したい! したい! した~いっ!)

スケッチブックをぎゅっと握りしめてブンブン振っていたカオルが、やがて意を決したように、すっくと立ち上がった。

「もう我慢の限界だわ!
 子供っぽいと呆れられてもいい!
 今日こそ絶対してやるんだからっ!
 絶対にっ! 今夜こそっ!」

強い決意に満ちたカオルは仁王立ちになり、青空に向かって高らかに宣言するのだった。


to be continued(2へ)
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すみません!
本日の妄想アップはできそうにありません。
どんなふうに展開しようかまだ迷ってまして…
うまくしたら明日にでも、とは思うのですが、
きちんとお約束するのも難しく…
どうか、どうか気長にお待ちくださいませ!

2017/11/19
selfish

selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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