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きんのまなざし ぎんのささやき

ここから(5)

戦闘シーン、もうちょっと… 頑張る!


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烈花が傷つき、動揺したレオが思わず彼女の方へと気がそれたのを、狡猾なエストギルは見逃さなかった。
音もなく繰り出されたしなやかなキックが、剣を持つレオの手首の辺りにきれいに決まり、溜まらずレオは剣を取り落とした。

(しまった!)

魔戒騎士の命とも言える剣が手から離れ、レオの顔が歪んだ。
それを認めて、満足そうに目を細めたエストギルは、すぐさまレオのボディに拳を叩き込む。

「うっ!」

堪らずレオは後方に吹っ飛び、落とした剣から遠くへと引き離されてしまう。
ゴロゴロと派手に転がっていったレオは、

「ううっ」

と唸り声をあげてすぐには起き上がれないようだ。
これで、優位を確信したエストギルが、ニヤッと笑うような表情になった。

「ッ!」

レオのピンチ焦った烈花が、いまだ茨(いばら)から自由になっていないながらも、無理な体制の中、急いで術を発動する。

(動きを封じるほどの致命的なものじゃなくていい!
 とにかく、レオからこちらにヤツの意識をそらさないと…)

一発… 二発… と筆を小さく回して連続して発せられる波動は、闇を切り裂いて一直線にエストギルを襲うが、エストギルは何でもないようにそれをスイスイと躱(かわ)していく。

「さて、どちらからとどめを刺してあげましょうか?」

余裕たっぷりにそう言うエストギル。

だが、エストギルは知らなかった。
その余裕が生んだ隙に対して、地に伏していたレオがニヤッとほくそ笑んだことを…
次の瞬間、エストギルが感じたのは、背中への強い衝撃だった。

「くっ!」

痛みに歪んだ顔が徐々に憎々しげに変えながら、エストギルが振り返ると、そこには…

魔導筆を手にしたレオが立っていた。
兄シグマの魔導筆を握りしめたレオは土埃にまみれていたが、顔には涼やかな笑みが浮かび、目には力強い光が宿っていた。

「…魔導筆!?
 おまえはっ」

驚きの表情を浮かべたエストギルに、レオはキッと険しい目で睨む。
エストギルはレオの反撃に備えて身構えるが、そのときには、どうしたことかレオの姿が忽然と消えていた。
その代わりに、それまでレオのいた場所には、はらはらと紫の花弁のようなものが舞っている。

(っ!?)

動揺したエストギルが、気ぜわしくキョロキョロと辺りを窺うが、

「こっちだ」

といやに冷静なレオの声が間近で聞こえたかと思うと、紫の花弁とともに、いきなり至近距離にレオが現れ、渾身の術が発せられた。

  ズドンッ!

強烈な衝撃にエストギルの身体は吹っ飛ばされた。
ううっと唸り身体を起こしながら、エストギルはレオをいまいましげに睨むが、またもやそこには紫の花弁が舞ったかと思うとレオの姿が消えた。

「もうひとつっ!」

レオの声がまた、間近に聞こえたかと思うと、紫の花弁をまといながら目の前に姿を現した。
筆が大きく回され、美しい文様が浮かぶ。

「はぁっ!」

目の前で放たれた術を、エストギルは防ぎようがなかった。

「ぐわぁっ!」

まともに受けた衝撃に、身体が大きく弾き飛ばされる。

「ぐぐっ」

エストギルの身体は古びた洋館の庭の端にはびこる茨の茂みに投げ出され、無数の針が食い込んだ。
大きく肩で息をするエストギルが、かすむ視界の中でレオを探す。
ようやく焦点が合ったところで、レオがゆっくりと落とした剣に近づいて、それを手に取ったのが見えた。
ぶるんと剣を一振るいすると、刀身についていた土くれや草の葉が払い落とされ、ぎらりと輝きを放った。

(鎧を召喚されたのでは勝ち目はない…)

エストギルは最後の力を振り絞り、反撃しようと素早く立ち上がった。
が、それよりも早く、地を蹴ったレオがエストギルの前につつつっと近寄ったかと思うと、目の前に迫ったときにはすでに閃光騎士 狼怒の鎧を身にまとっていた。

冴え冴えと蒼く輝く鎧。
ところどころに配された金色が眩しくエストギルの目を射る。
雄牛のように大きく曲がり、鋭くとがった角を持つ精悍なマスクが、ひたと自分を見据えている。

(しまった…)

この場はどんなに無様でも逃げなければ… そう思ったエストギルの頭上にはすでに狼怒の剣が振り上げられていた。

  ザンッ

左の肩から入った剣が右の脇腹に抜けていき、エストギルの身体は斬られたところから黒い霧となり、闇へと消えていった。




レオの闘いの一部始終を見ていた烈花は驚いていた。
魔戒法師でもあり、魔戒騎士でもある布道レオは、誰にも真似のできない戦闘スタイルで闘ったのだ。

翻(ひるがえ)って考えれば、剣を落としたのもレオの策略のひとつだったのかもしれない。
剣を構え、剣で闘えば、誰だって彼は魔戒騎士だと思うだろう。
その魔戒騎士から剣を取り上げれば、戦闘能力が大きくダウンすることは避けられない。
が、それと同時に相手にも隙ができる。
エストギルにやられたように見えたのも、ひょっとしたら、わざとそうなるように見せたのではないだろうか?

(なんてヤツだ…)

ホラーの消滅を最後まで見送ることなく、烈花のもとへと歩き始めた狼怒を茫然と見ながら、烈花は心底、舌を巻いていた。

  ガシャンッ

鎧を解いたレオが烈花の目の前に立った。

「烈花さん、大丈夫ですか?」

背の高いレオが身をかがめて烈花の顔を覗き込む様子は、先程までの堂々とした闘いぶりとは違い、いつものふんわりと柔らかく優しい印象の彼だった。

「ああ、大丈夫だ。…っつぅ」

動こうとした烈花は、クンっと髪を引っ張られて顔をしかめた。
まだ、茨に引っかかったままだったのを忘れていた。

「あっ、動かないでください…」

そういうと、レオは烈花に覆い被(かぶ)さるようにして、烈花の頭越しに茨から髪をほどきにかかった。
目の前にレオの身体が迫る。
戦闘の直後のせいで、ほんの少し汗のにおいと高くなった体温が感じられるが、それはレオのものだろうか? それとも自分のものだろうか?

「あ、ああ、すまない。
 もし取れそうもないなら、髪をちぎろうが切ってしまおうが好きにしてくれ」

触れそうで触れない微妙な距離に少しばかり緊張しながら、烈花は言った。

「そういうわけにはいきませんよ。
 女性にとって髪は大事なものですから…

 あ、動かないでくださいね、もうちょっとで取れそうです」

じれったく感じられるほど慎重な手つきで、烈花の髪が茨からほどかれていった。



「お待たせしました。なんとかほどけましたよ」

そういったレオが、烈花から身体を離して笑いかけた。

「すまない。手間をかけさせたな」

烈花はいつもと変わらぬ口調でそう言うことができたが、心なしか顔がほてっている感じは否めない。

「ちょっと待ってください、烈花さん。
 その傷、すぐ手当しちゃいましょう!」

烈花の頬の、もうすでに血が固まりかけた傷を指差したレオが、自分の筆を取り出そうとするのを見て、烈花は慌てて遮った。

「大丈夫だ、このくらい… 自分でできるから気にするな!」

「ダメですよ!
 顔の傷なんだから、自分では見えないでしょう?

 僕にだって傷を消すくらいはできるんですから、やらせてください!」

びしっとそう言ったレオは筆を取り出すと、すぐさまぶつぶつと口の中で呪文を唱えた。
すると、魔導筆の筆先がぽぉっと柔らかく光り出す。
レオは、よし、と小さくつぶやくと、烈花のあごに手をかけてクイッと上を向かせる。

(ううっ)

思わず、目を泳がせる烈花だったが、レオはそんなことに気づきもしないのか、真剣な目で傷を眺めている。
すっと肌の上を温かいものがかすめていったと思ったら、烈花の頬にあった傷は跡形もなく消えてなくなっていた。

「これでよし!」

自分の仕事の出来栄えに満足したレオが、うんうん、とうなずいている。
あいかわらず、烈花のあごの下にはレオの手がある。

「レオ、もういい。
 もう十分だからっ」

烈花はプイッと顔を背け、レオの手からあごを外した。



to be continued(6へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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