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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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ここから(6)

かっこいいレオ、書けるかな?
けど、やっぱり、かわいいレオも書きたいな!
ふふふ、どうなるかな~ どうなるかな~



:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

すでにあごの下にはレオの手はないはずなのに、まだなんとなく感触が残っている感じがしていて、そのムズムズするような不思議な感覚をこらえるために、烈花の顔は自然と険しくなっていた。
そんな烈花を見て、なんだかわからないが、自分が烈花を怒らせてしまったらしいと思ったレオは、慌てて謝った。

「あ、ああ! すいません、烈花さん」

それを聞いて、烈花はハッとした。
どうやら、レオに勘違いをさせてしまったようだ。
烈花は意識して呼吸を整えてから、落ち着いた声で言った。

「おまえが謝る必要はない。
 何も悪いことをしていないのだからな」

「そう…なんですか?」

なんとなく釈然としないながらも、レオはそれ以上深くは追及しなかった。
その代わりに、小さくため息をついた。

「どうした?」

「あ、いえ…」

歯切れの悪い返事に、烈花は食い下がる。

「何か気になることでもあるのか?」

「いえ、そうではないのですが…」

言い淀んでいたレオだったが、やがてスッとひとつ息を吸い込むと、烈花にこう言った。

「やっぱり謝らせてください。
 すいませんでした、烈花さん。
 僕がもう少し強ければ、あなたを傷つけるようなことはなかったでしょう」

それを聞いて、烈花は慌てて答えた。

「何を言う! あれはおまえのせいではないではないか。

 オレはおまえに礼を言わなければいけないくらいなのだ。
 オレ一人ではヤツを倒すことなどできなかった。
 レオ、おまえがいてくれて助かったと心からそう思っている」

「そんな… 烈花さんに礼を言われるような闘い方じゃありませんよ、僕のは。
 魔戒騎士としても、魔戒法師としても中途半端で… 恥ずかしいです」




  鋼牙さんのような絶対的な力がほしい。
  零さんのような卓越した闘いのセンスがほしい。

そう願い、いくら鍛錬を積んだとしても彼らの域に達することは自分には難しいことを、レオもわかっていた。
それならば、と、いかに冷静に相手を分析し、いかにその弱点を迅速に突き止め、いかに最良の戦術を的確に見極めるか… そういうことを意識して、レオは実戦を積むことを自分に課してきた。
ホラーに打ち勝つためならば、魔戒騎士だから、とか、魔戒法師だから、とか、変に意識することなく、いや、意識しないようにしてきた。
自分の持てる力はなんだって使う。たとえ邪道であったとしても、誰かを守るためならば…

だが、そうやって自分を磨いてきたつもりだったのだが、いざ烈花の前では、そういう闘い方が少し恥ずかしく思えたのも事実だった。





「レオ…」

烈花が何かを言いかける。
だが、それはすぐにレオに遮られた。

「烈花さん!
 そこ、血が出ているじゃないですか!」

「えっ?」

烈花はレオの視線を辿って、自分の右腕の上腕を見た。
確かに、そこには何筋か引っ掻いたような傷があった。
恐らく、頬の傷と同様、茨(いばら)の茂みによって付けられたものだろう。

「さあ、見せてください!」

早くも筆を手にして烈花の腕を掴みにかかるレオに、烈花は慌てて

「大丈夫だ。こんな傷、おまえの手を煩(わずら)わせるまでもない!」

と言いながらレオの手から逃れるべく、あとじさった。
すると、

「危ないっ!」

そう言うが早いか、レオは烈花の腕をグイッと掴み、自分の方へと引き寄せた。
その腕の強さは、烈花が抵抗できないくらい強かった。

「ふう、よかったですね。もう少しで、また茨の茂みに突っ込むところでしたよ」

ほっとしたような笑みでレオは烈花を見下ろした。
すると、烈花はすっぽりとレオの腕の中にいて、レオの左手によって烈花の頭はレオの胸に押し付けられていた。

「…」

たっぷり5秒は固まってから、レオは叫び声をあげた。

「うわぁぁぁ、すいません!」

慌てて烈花から離れる。
赤くなりながらも烈花は冷静さを保っていた(ように見えた)。

「気にするな。オレなら大丈夫だ」

何が大丈夫なのか… そこはまぁ突っ込まないでおこう。、
一方、レオのほうはまだ見た目でわかるくらい動揺している。

「それならいいです。

 あっ!
 あの、元老院へは僕のほうから詳細を報告しておきますね。

 あっ!
 でも、ホラーを倒したことだけは烈花さんのほうから一報を伝えておいてもらえませんか?

 そ、それでは、僕はこれでっ」

言いたいことだけを言うと、レオは烈花の返事は聞かずに歩き出していた。
その場に残された烈花は、まだ火照っている頬を手で押さえながら、しばらくぼーっと呆けていた。




一方、レオのほう。

(烈花さんに対して、なんてことをしたんだろう! 抱きしめるなんて…

 でも、烈花さん、意外に柔らかかったなぁ~
 ふわぁ~とこういい匂いもして…

 って!
 何を考えてるんだ、俺は!)

レオは両頬を手でパチパチと叩き、緩んでいた表情をきっと引き締めた。
それから、元老院に帰ってからグレス様へ報告する内容や、号竜の新たな改良点のことなどを無理矢理考えるようにして、烈花のことを頭から追い出そうとしながら、帰路を急いだのであった。




レオと烈花。
第一印象は互いにあまりよくなかったであろうこのふたりだが、魔戒騎士として、魔戒法師として、それぞれに高みを目指して励んだ年月を経て、今宵、再会を果たした。
はてさて、ここからふたりの間に何かが始まるのか…




(ここから、どうなるのかねぇ?)

エルバが声を立てずにクックックと笑ったのを、レオは知る由もなかった。


fin
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あはは、大したオチはありませんでした!

魔戒烈伝のレオがかっこいい!
あの路線で何か書きたい、とそう思ったのですが、やっぱり、MAKAISENKIのときのかわいいレオも捨てがたいんですよねぇ~
ウフッ♡ 烈花はどっちのレオのほうが気になるんだろう?

振り返ってみると、前半の戦闘シーンはヒイヒイ言いながら書き、後半はニヤニヤしながら楽しく書いた、自分の中では印象に残るものになりました~♪
読み手様にも、セリフなり、シーンなり、何かしら気に入ったところがあるといいなぁ~と思います。

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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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