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きんのまなざし ぎんのささやき

馬の背に揺られて(2)

とりあえず、ゴーテの背にふたりを乗せることに成功!
(馬に乗る鋼牙ってのも見てみたいなぁ~)

さて、こっからはロマンチックに…  なったらいいけど、ごにょごにょ…

続きをお読みになりたい人は、あまり期待せずに、ど~ぞ!




::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

暮れかかる森の中を、カオルンと王子の乗せたゴーテが行きます。
王子は、馬が初めて、というカオルンのために、ゴーテをあまり急がさない
ようにしました。
それでも、カオルンにとって、慣れない馬の背はひどく揺れるように感じます。
落ちないように、そして、できるだけ王子から離れるように、と身体を
強張らせていました。

「カオルン…」

息がかかるかと思うような距離で王子の声が響き、カオルンはびくりと
しました。

「そんなに硬くならないでくれないか?
 ゴーテが緊張してしまう」

「えっ… あ、はい」

カオルンはそう返事したものの、どうすればいいか判りませんでした。
そんなカオルンに、王子は

「まず、肩の力を抜け」

と助言します。
カオルンは言われたとおりに力を抜いてみました。

「こう… ですか?」

「そうだ。
 あとは、身体を前に向けて、片膝を折って乗った方が安定するかも
 しれないが…」

「えっと… 身体を前に… 片膝を折って…」

カオルンが言われたままに姿勢を変えようとしたので、王子はゴーテを
止めて、カオルを支えてやりました。

「…と、こんな感じかしら?
 うわぁ~、このほうがこわくない… です」

感嘆するとともに、素の明るさが出たカオルは、慌てて小さくなった。
そんなカオルを気にせず、

「よし、では、行くぞ」

王子はそう声をかけると、手綱を緩めて、ゴーテを歩かせ始めました。


馬への恐怖心が和らいだのか、カオルンの身体からだいぶん緊張が
取れました。
その頃を見計らって、王子はまたカオルンに声をかけました。

「ひとつ聞きたいことがあるんだが…」

「なんでしょう?」

カオルンは半分だけ顔を後ろに向けて返事をしました。

「お前たちはなぜ、この地に来たんだ?
 もう少し詳しく教えてくれないか?」

「あぁ、それは…

 ゴーザンさんは、南の国のあるお屋敷で執事をしていたそうなのですが、
 主人を亡くされて職を失ったそうです。
 そんなときに、バルザに『お前が仕えるにふさわしい男がいるから』と
 言われたんですって。

 それから、レイくんは、西の国の剣士で、西の国ではレイくんにかなう
 剣士がいないってくらい、凄腕なんだそうなんです。
 それで、強い剣士を求めてあちこちを旅していたらしいんですけど、
 その旅の途中で、バルザに『お前と匹敵するほどの腕を持つ男がいる』と
 聞かされて、一緒に旅をするようになったんです」

「なるほど…
 仕事を求めて、あるいは、腕比べがしたくて、という理由なのだな?
 男がそのような理由ではるばる旅をするのは理解できる…

 だが、お前はどうなんだ?」

王子に聞かれて、カオルンが顔を赤らめました。

「あたしが旅をしてきた理由を聞いたら、きっと王子は呆れてしまうわ」

そう言われたのでは、王子も聞かずにはいられなくなります。

「いったい、どういう理由なんだ?」

カオルンは少し逡巡してから、それでも王子の問いに答えました。

「あたしは東の国で、なんとか一人前の画家になってやろうと頑張って
 いたんですが…
 ある日、バルザと出会って『お前を一生愛してくれる男がいる』と
 言われたんです。

 ごめんなさい、くだらない理由で…
 王子が、あたしなんかを愛してくれるわけなんてないのに、馬鹿みたい
 でしょ?
 あの… もう、ほんと… 忘れてください…」

カオルンは恥ずかしそうにそう願った。
そんなカオルンに、王子はさらに尋ねました。

「お前はどうして画家になりたいんだ?」

「それは、あの…

 あたし、みなし子なんです。
 幼いときに、父と母を亡くして…

 それで…
 あちこちの家に厄介になって、掃除したり、洗濯したり、とにかく、
 毎日を生きていくので精一杯だったんですけど…
 ある日、街に買い物に行ったときに、画廊の前で一枚の絵を見たんです。
 優しくって、あったかくって、とっても幸せな気分になって…

 だから、あたしが描く絵でも、誰かをこんな気持ちにしてあげられる
 ことができたらいいな、なんて思ったんです」

カオルンの言葉を聞きながら、王子には少しだけわかった気がしました。
幼いときから、誰かに愛されるということに乏しかった少女が、
『お前を一生愛する男』と聞いて、どんなことを思ったのかを。

王子は、バルザが言うように、自分がこの娘を愛するようになるのかは
まだ確信が持てませんでしたが、少なくとも娘が幸せになるように
自分ができることはしてあげたいと思うようになりました。

「カオルン」

王子の呼びかけに

「はい、なんでしょう?」

カオルンはそう答えて、耳を王子のほうに向けた。

「城に戻ったら、お前の描いた絵を見せてくれ」

王子の声が優しく言いました。

カオルンは笑みをこぼして言いました。

「はい、喜んで」

ふたりの視線の先には、夕焼けに佇む城が見えてきました。
馬の背に揺られて進むうちに、カオルは自然と余分な力が抜け、手綱を
握る王子に身体を預けるようになっていました。
交わす言葉は多くはありませんでしたが、ふたりの心の距離が少しだけ
縮まったようでした。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

城の一番高い塔の上で、窓から外を見ていたレイが言いました。

「白馬に乗った王子様のお帰りだぜ!
 ほほぅ、王子の腕の中には、未来の妃も一緒のようだ…」

それを聞いて、ゴーザンが安心したように言いました。

「カオルンを連れて戻ったいらしたのですね。
 ようございました…」

ふたりは目を合わせて、にっこりと笑い合いました。


fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::



すいません、特に何が起こるお話でもなくて…

でも、こうしていろいろ書いてくうちに、お伽噺の世界っていいなぁって
思いました。
だって、基本的にお伽噺って「めでたし、めでたし」で終わるでしょ?

できれば、城に戻ってからのお話も書けるといいのですが…
ちょっとお時間いただいて、妄想しちゃおうかな~

とか言いながら、全然別のを公開しているかも…
ほんと、気ままに妄想するので、何が飛び出すかはお楽しみってことで、
よろしくデス。


拍手[21回]

コメント
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無題
こんばんは、もたもたしていて愛読させていただいたおれいを言う前に次々とのお話に感謝、鋼牙がウインドショピング、どんな顔して見てたんだろう眉間にしわの怖い顔か、それともカオルの喜ぶ顔を思い浮かべて、うふふの鋼牙、それは無いか、カオルさんエビで鯛をつりましたね、うらやましいかぎいです、王子に逢いにの続きがよもやよめるとは、感謝、感激、うううとついうなってしまいました。おとぎ話の次なる妄想、首を長くしてお待ちしております。この土曜日は本当に最後の鋼牙と零の見納め、ビデオ忘れずにファイト
かなまま 2013/03/18(Mon)22:56:44 編集
Re:無題
かなまま様、いつもコメントありがとうございます!

そうなのです。
あの鋼牙が何を思ってその店のウィンドウで足を止めたのか、selfish も興味津々…

書いている張本人ではあるのですが、解らないこともあったりするのです。
なんといい加減な! (苦笑)

多分、足を止めたといっても、ほんの少しの間だったと思うのですが、それでも鋼牙がそんなことをすればザルバは「おっ」と驚いたことでしょう。

おや、お伽噺もお気に召しましたか?
子供じみたお話かもしれませんが、しょうがありません、selfish は精神的にお子ちゃまなので。
鋼牙が王子様だったらどんなだろう? って妄想したらキリがない~~~
このままもう少し夢の国で遊んでもいいでしょうか? ねっ?

おぉ~、そうですよ!
今週末は録画忘れのないように、お気をつけくださいよ!
かなまま様(そして、selfish自身も)ファイト~!
【2013/03/18 23:17】
めでたしめでたし!
めるひぇ~んvvv
ラストはやっぱりハッピー・エンドで、ほっこりな気分でした!
いいのですよ、二人の間に何も無くても!二人が寄り添っているだけで、話になるんですからvvv
ああ!お城での生活も見てみたいッ!カオルンの事だから、何かしらやってくれそうですよね。(ゴーザンさん、宜しくって事で:笑)

さて、前回のコメントから。
コートの動き。シーズン1の「晩餐」の回で、丘の上の一本の木の横で、コートを風にたなびかせながら立つ鋼牙の後ろ姿。…まるで一枚の絵画の様!美し過ぎてコレも大好きですッ!
あ~、映画のラストとTVのラストを繋げる話…。やっぱり自分で書かないと…ですかね。そんな予感はしてました。…書くっきゃないですかね。
ウチの鋼牙さん、ホラー狩り以外は興味ナッシングなのですよね。カオルにプレゼントするにしても、多分零くんという名の「ワン・クッション」が必要かな?と思います。あ、ちなみに私も鋼牙より遥かに年上ですよぉ~vvv
不器用な男の子、ですかぁ。ウチの鋼牙さんって、そんな可愛いタイプでしたかぁ…(何か照れますなぁ)ま、確かに器用では無いので、周囲からフォローされてる感じですね。
う~ん、微笑ましいって事ですかね。
URL 2013/03/19(Tue)13:06:28 編集
Re:めでたしめでたし!
「晩餐」のコート!
あの景色がまたいいですよね?
横浜市南区にある清水ケ丘公園らしいです。
(あぁ~、ロケ地巡りしたいよぉ…)

あっ、芽様は、ふたりが寄り添っていればいいのですね?
王子がカオルンを押し倒すシチュを一生懸命考えてたんですけど、な~んだ、そっかぁ~
…なぁんてのはウソで、そんなのどんなにがんばっても書けませんっ! (苦笑)
まっ、分相応にひっそり妄想しますね。

それと、映画のラストからの話…  がんばりましょう、芽様!
selfish もね、ぼんやりとは思い描く妄想があるのですが、それが日の目を見ることはあるかなぁ~ と他人事のように思っています。 (笑)
いつか、「今だ」って思ったときに書きたいなぁ なんて思います。
でも、芽様が書くのは、「今でしょ!」  くすくす
【2013/03/19 20:19】
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



tomy 様[07/27]
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