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きんのまなざし ぎんのささやき

馬の背に揺られて(1)

王子に逢いに!」を覚えてますか?

ホワイトデーの前に妄想していたRPG…(こほん)…メルヘンな妄想ですが、
もう少しだけ妄想しようかな~ というわけで、勢いのままに書いてみました。

「王子に逢いに!」のラストで、城を飛び出したカオルンを王子が連れ戻す
帰路を妄想しています。

メルヘン仕立てのふざけた設定が苦手な方は回れ右でお願いします。
また、「王子に逢いに!」を未読な方は、先にそちらを読まれることを
お勧めします。


一応、簡単な設定をおさらいしておきますと…

王子(コーガ)
  化け物の罠に落ちて長い眠りについていたサエジーマ国の王子
  カオルン達の働きもあって、無事、化け物を退治することができた

カオルン
  東の国から来た娘
  王子に逢うために旅をしてきた
  実は、ミツッキー国の王女だったが、幼いときに両親を亡くし、
  消息不明となっていた

レイ
  西の国から来た剣士
  カオルンと一緒に旅をしてきた

ゴーザン
  北の国から来たバトラー
  レイと同じく、カオルンと一緒に旅をしてきた

ゴーテ
  城の馬小屋から逃げ出した馬
  王子とともに、城から飛び出したカオルンを追う


では、ここから先は… メルヘ~ン



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

「解りました。
 あたしも、もう少し、あなたのことが知りたくなりましたから…」

カオルンがそう答えると、王子は、とても驚いた顔をカオルンに向けました。
王子は「本当にいいのか?」と聞き返そうと口を開きかけしましたが、
カオルンに「やっぱり、や~めた!」などと言われると困るので、慌てて
口を閉じました。

「…では、戻るぞ。
 あそこに馬をつないである」

それだけ言うと、王子は馬の方に向かい、歩きだしました。
カオルンは、王子の後を追うようにちょこちょこついて行きました。
王子はそんなカオルンにはお構いなしにスタスタと歩きます。

ようやく、カオルンが馬のつながれた木の近くまで来たときには、
王子はゴーテの手綱を結びつけておいた枝から、ちょうどほどいたところ
でした。

王子は、おとなしく待っていたゴーテに「よしよし」と声をかけてから、
手綱を手に振りかえったとき、まともにカオルンと視線がぶつかって
しまいました。
王子は思わず、視線を泳がせます。
そして、

「…お前の…
 お前の名はなんというんだ?」

取ってつけたように、王子は唐突に名を聞きました。
そう言えば、王子はまともにカオルンの名を聞いていませんでした。
あっ、という顔をして、カオルンは改めて名乗ります。

「ご挨拶が遅れました。
 あたしは、東の国から来たカオルンと申します」

スカートをつまんで右足を後方に引き、ちょこんとお辞儀してから、
カオルンは王子を見ました。

「そうか…
 では、カオルン。
 お前は馬に乗れるか?」

「馬、ですか?  いえ、乗れません。
 ロバの背になら乗ったことはあるけど…」

ゴーテの鼻先を撫でながら、カオルンは言いました。

「では、仕方がない… 失礼」

小さな声で素早く断ったかと思うと、王子はカオルンの腰に手を当て、
いきなりすくいあげるようにして、カオルンを馬の背に乗せました。
慌てたのはカオルンです。

「えっ? えぇ~っ!」

いきなり、不安定な馬の鞍に放り上げられたのですから、慌てて両手を
振りまわしてバランスを取りました。
カオルンは、必死に、どこかつかまるところはないかと、手を宙に
彷徨わせます。

「あ、あの…  うわぁ~
 あ、あたし、その…  ひぇ~
 ちょ…  きゃっ」

パニクるカオルンを見上げて、王子は、やれやれとでも言いたそうに、
小さく溜め息をついてから尋ねました。

「こわいんなら、降りるか?」

少し挑戦的な王子の言葉に、カオルは慌ててすまし顔を作りながら

「だ、誰もこわいなんて、言ってま・せ・ん…  くっ」

と、強がって返事をした。
ゴーテがぶるんと首を振った反動で伝わってきた揺れにも、なんとか
悲鳴をあげずに我慢しました。

王子は、昔、一緒に遊んだことのある幼い王女の顔を、とうの昔に忘れて
覚えてはいなかったので、目の前のカオルンに、その面影を探すことは
できませんでした。
でも、臆病なくせに強がるところのあった小さなプリンセスのことが、
ふと、王子の脳裏によみがえりました。
そこで、王子は少し表情を和らげ、

「仕方がない…」

と呟くと、あぶみに足を掛け、ひらりと身体を馬上に引き上げました。

「きゃっ (落ちる!)」

カオルンは、ぐらりと揺れた馬の背から放り出されることを覚悟して、
ぎゅっと目を閉じたのですが、

「これでいいだろ」

という王子の声を予想外に近くに聞こえたことと、身体をしっかり
支えられている感覚を覚えて、そろそろと目を開けました。

「!」

目を開けたカオルンは、王子の両腕に挟まれるようにいる自分の状況を
把握しました。
そして、慌てて、王子からできるだけ遠くに身体を引きはがそうと
動きました。
その動きにゴーテが落ち着きなく、足踏みしだします。

「おっと…
 動くんじゃない!
 馬が驚くじゃないか」

そう言いながら、王子は手綱を操り、馬をなだめ落ち着かせようと
しました。

「えっ、でも、あたし…
 ずっと旅をしてきて、ちゃんとお風呂にはいれてないし…」

カオルンはそう言いながら、もぞもぞと居心地悪そうにしました。

「?」

でも、王子には、それが何を意味するのかピンときません。
王子の反応が鈍いので、

「あの、あたし、やっぱり降ります。
 自分で歩きますから…」

と、カオルンは早口で言うと、王子の腕を掻いくぐって鞍から
滑り降りようとしました。
そんなカオルンを、王子は抱きとめるようにして引き止めます。

「待て。
 風呂だったら、俺のほうが何年も… いや何十年もはいってない!」

王子の言葉に、カオルンは思わず驚き、降りようとしていた動作を
止めました。
そんなカオルンに、王子はさらに言葉を続けます。

「もうじき、日も落ちる。
 どちらかが歩いていたのでは、じきに夜になってしまう。
 だから…

 お前は嫌かもしれないが、このまま行く。
 いいな?」

王子の言葉を聞き、カオルンは仕方なく、こくんとうなずきました。


to be continued(2へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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