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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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籠る姫(1)

みなさん、メルヘ~ン!

王子に逢いに」そして「馬の背に揺られて」に続いての妄想です。

前2つの妄想を未読の方は、先にお読みになっておいてください。
そうじゃないと、ビックリしますよ。
(なんせ、名前や時代設定などが牙狼の世界とは違いますので)


さて…
とうとう、このメルヘンも3作目ですよ、3作目!
これはもう、シリーズ化の予感か?
いやいや、ないです、ないです! (苦笑)


だんだん「ドタバタ度数」は下がってきてるので、読んでて楽しいのかどうかは
わかりませんけど…

それでもよろしければ、続きをど~ぞ!




拍手[21回]


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

カオルン達がサエジーマ国の城に滞在するようになってからひと月程が
過ぎようとしていました。

王子に仕えたいと言っていたゴーザンは、はじめのうちは小さな仕事を
任されていましたが、じきにその働きぶりを認められて、今では徐々に
重要な仕事にも関わるようになってきました。

王子と腕試しをしたがったレイは、王子の体力の回復を待ってから、
さっそく剣を交わすことができました。
剣の達人どおし、言葉で会話するよりも、手合わせするほうが互いの
人間性を知るには近道だったようで、今では、王子はレイに全幅の信頼を、
そして、レイも王子に絶対の忠誠を誓うようになりました。

ゴーザンとレイのふたりは、それぞれの望みを叶える以外にも、
ゴーザンは仕事をこなすうちに、城の使用人たちとなじんでいき、
レイは剣の腕前と端正な顔立ち、そして気取らない性格から、特に
城内の女性から絶大な人気を得るようになり、それぞれが、すっかり
城の生活にもなじんでいきました。

ただ… カオルンだけは別でした。
カオルンは、ふたりとは違って、なかなか城での暮らしを楽しむことが
できないでいました。

カオルンもゴーザンのように何か城内の仕事をお手伝いしようとしても、
城の使用人たちは、カオルンをお客様として扱い、何もさせてはくれません。
また、レイのように王子の相手をしようにも、剣を扱えるわけでも、
馬に乗れるわけでも、知識があるわけでもありません。


(ここにいても、あたしは何の役にも立たない…)


ゴーザンは、日増しに元気がなくなるカオルンを心配していました。
そこで、カオルンがひとりきりにならないように、王子のお茶の時間には、
必ずカオルンを呼んでやりました。
でも、元気のなくなったカオルンと無口な王子とでは、楽しい会話が
弾むわけもありません。
そこで、ゴーザンは、レイもお茶に誘ってみました。
ですが、あれやこれやとレイがふたりに話題を振るのですが、王子や
カオルンは短く不愛想な面白味のない相槌を打つばかり… という始末。


「あのふたりは、なかなか手ごわいぜ…」


剣のことなら弱音を吐くことはないレイが、ゴーザンにこっそり耳打ち
したほどです。

そうは言っても、カオルンとは長くツライ旅をともにしてきた仲間なので、
レイもことある度にカオルンに声をかけ、王子と剣の稽古をするときなどは、

「カオルンもおいでよ」

と、声をかけました。
そんなレイの気遣いに、最初の頃はカオルンもスケッチブックを抱えて、
見学し、熱心にデッサンなどをとっていましたが、この頃はすっかり部屋に
閉じこもりがちになりました。

そして、とうとう、食事のときにしかカオルンは顔を見せないように
なったのです。
しかも、その食事の席でも、心ここにあらずといった風情で、少しばかりの
食べ物を口に入れたかと思うと、

「ごめんなさい。
 もうお腹がいっぱいなので先に部屋に帰ります」

などと言って、そそくさと部屋に戻っていく日が続きました。

やがて、カオルは、目の下にクマを作るようになり、日に日に顔色も
悪くなっていきました。
心配になったゴーザンやレイは「大丈夫か?」と尋ねますが、

「やだ、あたしは大丈夫よ。
 元気だから安心して!」

と明るい声で返すので、ふたりはそれ以上何も言えずにいました。


「あれって、間違いなく大丈夫じゃないよな?」

「はい…
 ですが、本人が大丈夫というのですから、無理に医者に見せると
 いうわけにもいきますまい…」

レイとゴーザンは、そんな会話を交わしたりしていました。
時には、わざと王子の前でそんなことを言ったりもするのですが、
王子は特に何も反応をしません。
レイたちの会話に加わることもなく、ひとりで剣の稽古などに
打ち込んだり、書物を読んでいたりしました。

そんな王子の様子に、レイたちは溜め息を交わすばかりでした。

「王子はカオルンのことが心配ではないのでしょうか?」

「カオルンを愛する男、っていうバルザの予言は外れちまったのかな?」

ゴーザンとレイは口々に呟くと、溜め息をつく日が増えました。



そんなある日、カオルンは昼食が終わった後に、

「今日は夕食はいりません」

と言い残して、また自分の部屋に籠ってしまいました。

そこで、その日の夕食は、王子とレイのふたりでとることになりました。
いつもなら、王子とカオルンを相手に、レイが(そして、給仕をする
ゴーザンも)話しかけるのですが、さすがにこの日は

(そんな気にならないや…)

と、レイも黙って食事をしていました。

食事が終わった後、ようやくレイは王子に言いました。

「なぁ、王子。
 カオルンのことなんだが…」

「なんだ?」

「彼女はどうもこの城になじめないらしい。
 ここのところ、部屋に閉じこもってばかりだ。
 なんとかしてやれないもんかな?」

「…」

レイのストレートな問いかけに、さすがの王子も考え込むような
素振りをみせました。

レイは、肘をついて、組んだ手の上に顎を乗せ、王子がどんな回答を出すのか
辛抱強く待ちました。

口元を手で覆って考え込んでいた王子が、ふと、顔をあげました。
それを見て、レイも顔をあげました。

「俺がカオルンと直接話をしてこよう。
 それでいいだろ?

 ゴーザン、何か軽食を用意してくれ」

王子の提案に、レイはほっとしました。
ゴーザンも嬉しそうでした。

「すまないが、カオルンのことを頼むよ」

「よろしくお願いします、王子」

ふたりは、口々に王子に願いました。


to be continued(2へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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