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きんのまなざし ぎんのささやき

おやすみ ぼうや

今日も寒い一日だったなぁ~
こんな日は、あったかい感じの妄想でもしたいものだ…

お!
こういうのはどうかな?
(…と思いついたものを書いてみる)

そうそう!
時間軸が「今朝」になったり、「昨夜」になったり、ちょっと目まぐるしくて、わかりにくいかもしれませんが、頑張ってついてきてくださいね。



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

「ら~いが♡
 おはよ~!」

明るい声と笑顔でカオルは寝ている我が子に声をかけた。
薄暗い部屋の中、カオルが東側の窓を覆っていたカーテンを勢いよく開けると、ぴっかぴかの朝の光が室内に飛び込んできた。

「昨日は、帰りが遅くなってごめんね。
 ちゃんと、いい子にしてたぁ?
 お父さんやゴンザさんを困らせたりしなかった?」

そう言いながら、ベッドの中の愛する我が子を振り返ると、雷牙はまだ半分夢の中にいるようで、かわいい小さな手で無造作に目を擦っている。



昨晩は、市内のレストランで打ち上げがあった。
この街を拠点に活動している若手画家の作品を扱った展示会の打ち上げであり、何点か作品を出品していたカオルにも声がかかったのだった。
ただ、開始時刻が19時からということで、参加すると帰宅する時間が遅くなることが容易に想像できた。
そういうわけで、カオルは、もうじき3歳になろうかという雷牙のことが心配で、誘われた当初は出席を見合わせようかと考えた。
ところが、そのことを知った鋼牙やゴンザは口を揃えて「心配するな」と言ってくれたことと、カオルとしても、同じような世代の画家たちからいろいろ刺激されることを期待して、ちょっとだけでも顔を出したいな、と内心思っていたこともあり、結局、直前になって出席することを決めたのだった。
打ち上げ会場のレストランは、誰がセレクトしたのか、お料理も雰囲気も素晴らしく、また出席していた画家仲間との会話も弾んで、カオルは独身時代にでも戻ったように楽しい時間を過ごした。
結局、「たまにはゆっくり楽しんでくるといい」という夫の言葉に甘えて、カオルが帰ったのは、その日の日付が変わる少し前という遅い時間になってしまっていた。
帰宅してから、「ただいま」の挨拶もそこそこに雷牙の元に飛んで行くと、雷牙は、鋼牙に添い寝してもらってぐっすり眠っていた。

「おかえり…」

鋼牙はカオルにそう言うと、自分の腕の中で眠る息子の顔を見て、

「ついさっき、寝付いたところだ」

と言った。

「ただいま…

 ごめんね。
 雷牙、ぐずったんでしょ?」

カオルの問いに、鋼牙は曖昧に笑っただけで何も言わなかった… それが昨晩の出来事だった。



カオルが布団を少しめくり、雷牙の顔をのぞくように近づいた。

「おめめ、開いた?」

母親の問いに、雷牙は、

「開いたお」

と自慢げに言い、カオルの首に抱き付いた。
幼い雷牙はまだ少し口が回らなくて、「…たよ」と言うところを「…たお」と言うことがある。
それがまた可愛いんだよね、とカオルは思い、にっこり笑う。

「うわぁ~ 雷牙につかまっちゃったぁ!」

おどけたように言ったカオルは、雷牙を首につかまらせたままエイッと起き上がり、膝の上に抱っこするとベッドの端に腰を降ろした。

「ねぇ、雷牙。
 昨日は、お母さんがいなくてもちゃんと寝れたんだね。えらかったね」

カオルがそう褒めて雷牙の頭を撫でてあげると、雷牙は嬉しそうににっこり笑った。
でも、すぐに難しい顔をして、

「んーとね、すこーし、泣いちゃった」

と言って、母親似の大きな瞳を曇らせた。

「えー、泣いちゃったの?」

「うん…」

「それで? どうしたの?」

「とーたん、おうた、うたったの!」

「えっ?
 お父さんがお歌を歌ってくれたの?」

「うん!
 とーたんねぇ、じょうずなんだお!」

雷牙の可愛い言葉遣いがまた出たが、今はそれどころではない!
あの鋼牙が雷牙のために歌を歌ったと聞いて、カオルはすごく驚いた。
だって、カオルは、鋼牙の歌を聞いたことがなかったからだ。
とてもいい声なのだから、歌えばさぞかし上手だろうとは思っていたが、ただの一度も… そう、鼻歌ですら聞いたことがない!
(鋼牙が鼻歌を口ずさんでいるところなど、想像もできないけど!)

だから、ひょっとしたら、鋼牙は実は酷い音痴だから歌わないんじゃないだろうか? などと勝手な解釈をしてみたこともあった。

「ねぇ、雷牙?
 お父さんはどんなお歌を歌ったの?」

興味津々でカオルが尋ねると、雷牙は眉をしかめて昨日のことを思い出そうとしている。

「んーとぉ…」

小さな眉間に小さなしわができる。
こんな顔をすると、鋼牙にも似ているなぁ… などと思いながら、カオルは雷牙の返事を待った。

「ねんねーん、だぁれ? っていうの!」

「ねんねーん、だぁれ?」

「うん!」

「それから?」

「んー… わかんないっ!」

少し考えてから、すごくさばさばした顔でそう断言した雷牙に、カオルはガックリと肩を落とした。

「そう、わかんないのぉ…

 お母さんも聞いてみたかったなぁ~ お父さんの歌…」

残念そうに呟くカオルを見て、

「かーたん、泣いちゃう?」

と雷牙は心配そうに覗き込んだ。

「あはは、お母さんは泣かないよぉ!

 あ、でも、お母さんが泣いたら、お父さん歌ってくれるかな? ねんねーん、だぁれ?、って」

期待を込めてカオルが言うと、

「ぼくが歌う!」

と雷牙が元気に言いだした。

「ねんね~ん、だぁれぇ~
 ねんね~ん、だぁれぇ~」

カオルの頭を小さな手で撫でながら、雷牙は何回も歌(というよりおまじない?)を口ずさんだ。
そんな息子の優しさに、カオルは嬉しそうに笑った。



昨夜、

「とーたん、ねむれない…」

と、一度眠ったはずの雷牙が書斎にいた鋼牙の元に来たので、鋼牙は幼い息子を抱きあげて寝室に連れて行った。
腕の中の雷牙はもう泣いていないが、眠くて眠くて堪らないのに、母親のいない寂しさのためか、まだ少しむずかっている。

風邪を引かないように温かい布団の中に入れてやり、自分も隣に入った。
雷牙がぴたりと身体を寄せ、鋼牙の懐に丸まるようにして潜り込む。
母親の感触とは全く違うが、それでも父親の体温に触れ、雷牙は少し落ち着いたようだ。

「とーたん…」

「なんだ?」

「おうた、うたって…」

息子にせがまれて、鋼牙は少し戸惑った。
だが、ある子守唄が脳裏に浮かんだ。

(あれは、確かこんな感じだったか…)

雷牙の耳に、鋼牙の優しい歌声が聞こえてきた。



  おねむはだぁれ?
  かわいいぼうや
  風吹く夜は
  お山のカラス
  みんなで一緒に
  ねんころりん

  おねむはだぁれ?
  かわいいぼうや
  星降る夜は
  小川のカエル
  ごろんと空見て
  ねんころりん

  おねむはだぁれ?
  かわいいぼうや
  夢見る夜は
  お月様
  にっこり笑って
  ねんころりん



鋼牙が歌い終わると、半分眠っているような雷牙が

「…もいっかい…」

とねだった。
鋼牙の歌声がもう一度聞こえた。

  おねむはだぁれ?
  かわいいぼうや…

最初よりも密やかに、最初よりも優しい声だった。



  おやすみ
    おやすみ
      愛しい我が子



fin
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いかがでしたでしょう?
ちょっとはあったかくなりましたでしょうか?

鋼牙さんは歌わない人ですが、ひょっとしたら、こういうシチュエーションでは歌ってくれるかも? (なんてね)


以前、某スナック(ら♪ら♪ら♪)で、Kくんが「いたずらくまのこ」という歌を歌っているのを聞きました。

  おやまにあめがふりました
  あとからあとからふってきて…

っていうのです。
優しい歌声でした。

子守唄代わりに歌ってほしいなぁ、と思ったものですが、同時に、もしそんなことされたら眠れな~~~い! などと考え直しました。 ( *´艸`)うふふ

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すみません!
本日の妄想アップはできそうにありません。
どんなふうに展開しようかまだ迷ってまして…
うまくしたら明日にでも、とは思うのですが、
きちんとお約束するのも難しく…
どうか、どうか気長にお待ちくださいませ!

2017/11/19
selfish

selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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