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きんのまなざし ぎんのささやき

あんたにしか(2)

翼からの視点で話を進めるのか、邪美視点からのほうがいいのか…
頭ン中ではいっぱい妄想したんですが、いざ書くとなると難しいもんですね。
浮かんできたことを全部書こうとしたら、支離滅裂過ぎて挫折… (^▽^;)ははは

と・に・か・く…
探り探りで、がんばって書いてみます!



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邪美と別れた翼は、努めて平静を装い歩き続けた。
が、邪美の視界から十分外れたと思われるところまで来たところで、翼は足をゆっくりと止める。
視線を足元に落とすと、ふぅー、と大きく息をつき、今来た道の向こうを返り見た。
もちろん、邪美の姿は見えない。
いつも見慣れている空と、木々と、茂みと、道だけが見える。

そうなのだ。ほんの5分前までは、いつもどおりの日常だった。
閑岱を弟子たちと手分けして見廻りをし、変わったことがないか目を光らせ、里の者がつつがなく生活を送れるように気を配る。
今しがたも、閑岱と人界との境に近いこの場所で日向とバッタリ会ったので、互いに見聞きした状況報告をし合うのも大事な仕事のひとつで、それもまた日常のことだ。

「…蜘蛛岩へ向かう峠道なんですが、昨夜の強風のせいか、倒木によって道が塞がれていました」

「そうか。
 では、明日にでも人を募ってみんなで取り除いてしまおう」

「はい。では、そのように里の男たちに話をしておきます」

「ああ、そうしてくれ」

淡々と報告を受け、問題に対して指示を行うと、ふと日向が翼の後方に目を転じたところから、微妙に ’日常’ が崩れた。
翼は日向の視線につられて何気なく振り返ってみると、ひとりの魔戒法師がこちらに歩いているのが見えた。
黒い魔法衣に白い肌、赤い唇。
深く切り込んだスリットから長くしなやかな足が見え隠れしている。
それが、邪美だと気付いた瞬間、視界が一瞬ぐらりと揺れた気がした。
思わず目を細め、焦点を合わせるようとするのと同時に、騒いだ心を落ち着けようとする。

邪美と話をしている間、どうすれば平常どおりに見えるか? と、そればかり考えていた。

(いつもと変わらないように見えただろうか…)

日向や邪美と別れ、こうしてひとりで山道に佇んでいる今でも、翼は同じことを考えていた。



思えば、出会ったときから、邪美は他の魔戒法師とは違っていた。

邪美に初めて会ったのは、1年ほど前のことだった。
死人を蘇(よみがえ)らせたとして、翼はひどく彼女のことが忌まわしいものに思えていた。
だが、そのことを差し引いても、邪美の態度は翼の神経をずいぶん逆撫でするものだった。

そもそも翼のよく知る閑岱の魔戒法師たちは、この地を守る白夜騎士である翼に一目置いていた。そのため、みな一様に翼に対しては敬意を払う態度をとるのが普通だった。
また、若い娘たちともなれば、魔戒騎士としての実力と由緒ある血統の翼に対して、もう少し違った意味の憧れの目で見る者も多かった。

それなのに邪美ときたら…

翼を蔑むような目で見たかと思うと、あろうことか自分の乳房に手を押し当てるという、とんでもなく ’はしたない’ ことまでやってのけた邪美に、翼はまんまと鼻をあかされた。
あのときの印象は強烈で、忘れようにも忘れられない。

しかし、邪美はただ態度が悪いだけの魔戒法師ではなかった。
「天魔降伏の儀」で使われる「鷹麟の矢」の力が薄れていることに、我雷法師ですら気づかなかったというのに、邪美は即座に気付いたのだ。
そして、
鷹麟の矢」にその力を取り戻すことができたのも、他ならぬ邪美のお陰だった。
それだけではない。
レギュレイスの毒に苦しむ鈴を、自分の身を挺(てい)して
救おうとする、深い情と強い意志を持つ女でもあった。
翼と対等に口をきき、それに見合う実力と気概を持つ魔戒法師という意味でも、邪美は翼に強烈なインパクトを与えた。

(すごい魔戒法師だ…)

レギュレイスとの闘いの中で、翼はいつしかそんなふうに邪美を認めるようになっていた。



その邪美が、鈴のそばにいたいと閑岱に残ることになり、翼はさらに彼女についていろいろ知ることになる。

閑岱は古(いにしえ)からのしきたりや風習を大事にする土地柄のため、節目節目には伝統行事だの祭礼だのがいろいろあった。
邪美は、そういったことを嫌うか馬鹿にするかするのではないかと心配したものだったが、意外にも黙ってそれらを受け入れ、従ってくれた。
我雷法師を手伝い、 鈴とまるで姉妹のように仲睦まじく準備をする邪美の姿を見ていると、閑岱にだんだんなじんでいくようでほっと安心したものだった。

また意外に思ったことは、邪美は、魔戒法師としての修行を毎日取り組んでいるということだ。

体術の稽古は欠かさず行っていたし、法術やその他の知識の習得にも余念がなかった。
というのも、ここ閑岱の地には、魔戒法師となるべく修行に励む子供たちの指南役として、一芸に秀でた魔戒法師が何人もいたし、古今東西の魔導書も豊富に保管されており、魔導具の材料となる珍しい鉱物や貴重な植物も各地から集まってきていた。
そういったものに囲まれて大いに知識欲を刺激され、それらを習得しようと熱心に取り組んでいるときの邪美の横顔は、はっとするほど美しかった。

気づいてみれば、知らず知らずのうちに、翼は邪美の姿を目で追っていた。
最初は、それを、邪美の持つ華やかな ’気’ のせいだと思った。
あるいは、鈴の命の恩人だからこそ、気を遣っているだけだ、とも思った。
いや、そう思い込もうとしていた。

だが…
最近になって、それはもう難しいことだと思うようになっていた。



to be continued(3へ)
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すみません!
本日の妄想アップはできそうにありません。
どんなふうに展開しようかまだ迷ってまして…
うまくしたら明日にでも、とは思うのですが、
きちんとお約束するのも難しく…
どうか、どうか気長にお待ちくださいませ!

2017/11/19
selfish

selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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