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きんのまなざし ぎんのささやき

God be with ye(2)

またまた短いです。
ちょっとずつでも、前に進もう… というわけで投入しますね。



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指令が来てから3日経った。
あの日以来、零はもちろんシルヴァも普段以上に気を張っていたが、’ギンガ’ という名の魔戒騎士を探すというホラーからは何の接触もなかった。

だが、シルヴァは何度か妙な気配を感じていた…



ビルの谷間の入り組んだ路地。
小さな飲み屋がひしめき合った場所の奥まったところに、放置自転車が何台か寄せ集められている。
昼間なので人気(ひとけ)などはなかった。
普通の人ならそんな場所に足を踏み入れることに躊躇するが、涼邑零は、臆する様子もなく真っ直ぐ歩いていった。
シルヴァの案内で目指すものの前まで来た彼は、立ち止まると、クールな佇まいとはあいまって熱い感情が瞳に宿った。
スッと音もなく両手に剣が握られる。
左足を軽く後ろに引いて、両刃(もろは)の直刀を頭上でクロスした姿勢をとったかと思うと、一気にそれらを振り下ろした。
すると、その刃風(はかぜ)に怯えて黒い邪気が飛び出してくる。
零は少しも慌てることなく、その中央を貫くように刃(やいば)を突き立てた。
声にならない悲鳴でもあげたかのように、ビリビリと空気が振動する。
が、それもほんの束の間のことで、邪気が浄化されたと同時に視界がほんの少し明るくなった気がして、なんとなく気味の悪かったその場所がごくありふれた空間へと戻っていった。

 ふうっ

小さく息をついた零は、両手の剣を逆手(さかて)に持って腕の後ろに引きつけて持った。
すると、

『ゼロ!』

短く緊迫したシルヴァの声が飛ぶ。
その声に敏感に反応した零は、逆手のまま剣を身体の前に素早く構える。

「どうした、シルヴァ」

左手を引き寄せ、零はシルヴァに呼びかける。
すると、先程とは裏腹に、幾分緊張を解いた声でシルヴァが返事をした。

『少しおかしな気配を感じたの。でも、今は…』

そう言って、再度窺っているような間があってから、

『…安心して。もうその気配はないわ』

ときっぱり言いきった。
零は構えた剣を降ろして半分ほど警戒を解いてから重ねて訊いた。

「おかしな気配って? また同じ感じ?」

今回の指令を受け取ってから、シルヴァは何度か似たような気配を感じていたのだ。

『ええ、そうね。今のはほんとにかすかな気配だったんだけど、多分同じね。
 悪意とか敵意とかそういう嫌な感じはなくて、こちらのことをじっと見ているような… そんな感じね』

(それが逆に気持ち悪いんだけど…)

そう思いながら、シルヴァは自分の気持ちを口にはしなかった。
シルヴァの言葉について少し考えていた零が、

「それはホラーの気配なのか?」

と訊き返した。

『恐らく…
 ただ、ほんとに嫌な感じはしないのよ。…うまく言えないんだけど』

いつになく歯切れの悪いシルヴァの返事に、零の表情は険しくなる。

『ゼロ。
 ひとつ言えるのは、もし、わたしが気配を感じ取ったことに反応して向こうが意図的に気配を消しているのだとしたら… 相手はかなりデキる面倒な相手ってことになるわ』

「ああ、どうやらそのようだね。
 そろそろ今夜あたり俺たちの前に姿を現わすかもしんないけど…」

見えない敵を睨むようになおも厳しい表情の零。
が、ふいに人懐こい笑みを浮かべて言った。

「ま、今すぐどうこうって話じゃないみたいだから、ひとまず、おいしいモンでも食って英気を養うとしよっか?」

『…』

不安気に黙りこくるシルヴァをよそにして、零はそう言うと、鼻歌でも歌いだしそうな軽い足取りで歩き出した。

(久々に強敵現るってとこか。
 面白れぇ… やってやるぜ!)




その零たちのいる場所からかなり離れたところにある電柱の上。
その上に ’そいつ’ はしゃがんでいた。
耳から黒くて大きな翼が生え、その翼が身体全体を覆うことで太陽の光を遮る影を作っていた。
不自然に長い腕を持った ’そいつ’ は、しわがれた声でクククと笑った。

『なかなか優秀な魔導具だな、わしの気配に気づくとは…
 こいつは今夜が楽しみだ』

白く濁った眼が、路地を歩いている零の姿をゆっくりと追っている。
すると、醜い顔を苦し気に歪めて身体がグラリと傾いた。
慌てて翼と腕を広げてバランスをとる。
ゼエゼエとした苦し気な息遣いを整えると、霞む視界の中で零の姿を探す。
そして、彼の姿をとらえると、

『ようやく、おまえさんに会えた。銀河…』

と呟いた。
そして、改めて自分の翼で身体を包み込むようにすると、小さく小さくなって、来るべき刻(とき)のため、力を蓄えようと目を閉じた。



to be continued(3へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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