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きんのまなざし ぎんのささやき

God be with ye(1)

少し短めですが、物語のプロローグを投下…
もうちょっとカッコよくスタイリッシュに、そして切ない感じに描けたらいいのに、と思うのですが。ぜひぜひイイ感じに脳内補完をよろしくデス。

それにしても、いいタイトルが思いつきませんぬ。ムムム。


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鎧の下で生身の魔界騎士の表情が狂おし気に歪んだ。
だが、奥歯をぎりりと噛みしめて悲壮な覚悟を決めると、暗闇に煌めく刃(やいば)が銀色の光を放って振るわれた。

「ぐはぁー」

左の肩から右の脇腹にかけて真っ二つに斬られたホラーが、耳障りな断末魔を残して黒い霧となって散っていく。

  ガシャン!

闘気のなくなった魔戒騎士の身体から物凄い勢いで鎧が剥がれ、中空の割れ目から魔界へと消え去ると、地上に一人残された彼はその衝撃に足元をよろめかせた。
肩を落として項垂れている男の顔は、長い髪に覆われてよく見えないが、わずかに肩が震えているようにも見えた。

『ゼロ…』

彼の魔導具が心配そうに声をかける。
恐ろし気に牙を剥いた狼の仮面をつけた魔導具に、ちらりと一瞥をくれた騎士は、右手で髪を掻きあげて顔をあげた。
わずかな月明かりに照らし出された顔には涙などはなく、代わりに憔悴しきったような表情が現れただけだった。

「大丈夫だよ… さ、帰ろうか」

微かに笑顔を浮かべた男の顔が、すぐさまスッと無表情になる。
そして、くるりと向きを変えると黒いコートの裾がきれいに弧(こ)を描いて翻り、そのまま月明かりの届かない闇の中へと消えていった。





涼邑零が指令を受けたのは、空気がカラッカラに乾いた、よく晴れた日だった。
この日もシルヴァの感じる邪悪な気配を辿っていくつかの禍々しいオブジェを浄化した後、少しばかりの食料品を買った紙袋を小脇に抱え、通りがかった屋台で遅い昼飯として購入したタコスをかじりながら、零は自分の部屋に帰ってきた。
部屋に入るなり、シルヴァが注意を促す。

「ゼロ、指令よ」

零がうす暗い室内を見渡すと、背の低い冷蔵庫の上に赤い蝋で封のされている指令書が載っていた。
ツカツカと近づき、無表情で指令書に視線を落とす。
両手に持っていた紙袋と食べかけのタコスを脇に置くと、零は指令書に手を伸ばした。
懐から魔導火を取り出すと、手慣れた手つきで蓋を開けて火を点ける。
蒼く揺らめく炎を指令書にかざすと、一瞬のうちに燃え上がり、中空に炎の文字をスルスルと浮かび上がらせる。

「…」

黙したまま指令を読んだ零は、二度ほど読み返すと、興味が無くなったかのように指令から視線を外した。
そして、食べかけのタコスを掴むと、部屋を横切りベッドへと向かう。
どさりと腰を降ろすと同時に、90度回転して靴を履いたままの足をベッドの上に投げ出す。
すっかり冷えてしまったタコスをもぐもぐと食べ続ける零。

『零、あなたを名指しで探すホラーって… 何か思い当たることはないの?』

シルヴァは、指令書に書かれてあった内容について零に尋ねた。
指令書には、ギンガという名の魔界騎士を探すホラーがいることと、そのホラーを討ち果たすように、ということが書かれていた。

「さあね。俺はホラーに知り合いなんていないよ。
 まあ、仮にそいつとの間にどんな因縁があろうとも、俺はホラーを斬るだけさ。それ以上でも以下でもない… そうだろ?」

そう言って、最後の一口を口の中に放り込むと、零は指についたサルサソースをペロリと舐めた。

『それはそうだけど…』

零は確かに ’銀牙騎士’ であり、そのためこのホラーの討伐の指令が零に来たのであろうことが予想されたが、’ギンガ’ というのは ’銀河’ つまりは零の昔の名前でもあった。
そのことになんとなく胸騒ぎを感じるシルヴァは、ただ歯切れの悪い返事しかできなかった。

「どっちにしても、そいつに会えば何かわかるんじゃねぇの?
 幸い、こちらから探さなくても向こうから近づいてきそうだし、今度の指令は楽に進められるかもよ?」

気楽そうにそう言った零は、

「じゃ、俺、少し寝とくから… いい頃合いになったら起こしてよ、シルヴァ」

と言って、ベッドの上にゴロンと横になると目を閉じた。
しばらくすると零は眠ったらしく、規則正しい寝息が聞こえてきた。

(何もないといいんだけど…)

無邪気な寝顔の零を見ながら、理由の知れない不安を感じるシルヴァだった。



to be continued(2へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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