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きんのまなざし ぎんのささやき

God be with ye(6)

なかなか肝心のところに辿りつけない…
読んでる皆さんももどかしいでしょうが、書いている側ももどかしいです。
いやはや、いやはや…


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アバドゥールを倒してホッとする間もなく、零は再び身構えた。
声のしたほうの暗がりをすかして見るように目を凝らすと、闇の一角がゆらりと動き、何者かがこちらにゆっくりと近づいてきた。
警戒心を高める零。
だが、新たに出現したホラーは、それにはまったく動じることなく、先程、零がアバドゥールを倒した辺りへと向かっていった。
目の前を過ぎるホラーを注意深く見つめる零は、その姿が、大きな翼を持ち、先程倒したアバドゥールにそっくりであることに気付いた。
ホラーが歩みを止めたので、零はさらに目を凝らした。

「!」

アバドゥールの身体が黒い霧となって消え去ったところにはもう何もない… いや、何かがあった!
ホラーはしゃがみ込んで、そこに落ちているものを拾い上げた。
ゴツゴツとしたホラーの指につままれているものを、零は見つめた。
それは小さくて、大きさはと言えば、ビー玉くらいの大きさで、ツルリとした丸いものだ。
ホラーの手にあるそれはわずかな光を集めて赤く硬質な光を放っていたが、よく見ると、完全な球状ではなく半分欠けたような状態だった。

「あれはなんだ? シルヴァ…」

『あれは…』

いつになく厳しいシルヴァの声。
シルヴァの代わりにホラーが口を開いた。

「これですか? これはホラーの命。
 私の… 命の半分…」

そう言ったホラーはその赤い欠片をポイと口の中に放り込んでゴクリと飲み込んだ。

  ドクンッ

熱く激しい衝撃が身体に走る。
ドクドクと波打つような鼓動が激しくなり、それに耐えきれずにホラーは片膝をついた。
シュウシュウと苦し気な息遣いに合わせて、丸まった背中が大きく上下する。

『ゼロ、気を付けて!
 ホラーの気力がどんどん高まっているわ』

「ああ、シルヴァ。わかってる」

すでに集中力の高まっている零は、鋭い眼光を放ち、落ち着き払った低い声でシルヴァに答える。
やがて、苦しそうだったホラーの動きが止まり、ゆっくりと立ち上がった。
自分の両手を見て、身体のあちこちを点検するかのように確認していく。
最後になって、翼を左右に大きく広げたときに、零は気付いた。
翼は、アバドゥールのように背中に生えているのではなく、耳の辺りから生えていたのだ。

「ああ、生き返った、とはまさにこういうことを言うのだな」

しみじみとした言葉を吐くホラーは、なんとなく人間臭さを覚える。

『ゼロ、この間からの妙な気配は、こいつなんじゃないかしら?
 ちょっと似ている気がするの…』

「なに?」

シルヴァの言葉に少し驚き、零は目の前のホラーを睨む。

「おお、よくわかったな。
 確かに、ここのところずっと、おまえさん達の行動を見せてもらっていた。
 随分気をつけたつもりだったが… おまえはなんともいい魔導具だな」

不思議なことに、ホラーの言葉には親しみがこもっているようにも聞こえた。
それに、先程からずっと、魔界語ではなく人間の言葉を話していることから、かなりの知性も感じられる。

『あら、褒めてくれてありがとう。
 一流の魔戒騎士には一流の魔導具がついてるもんなのよ』

相手を少し舐めているようなシルヴァの言葉に、ホラーは笑いで応えた。

「はっはっは! 確かに、確かに…」

愉快そうに笑うホラーは、見せかけではなく本当に愉快そうだった。
そんなホラーに、零もシルヴァも戸惑いを覚え、どう出るべきか考えあぐねていた。
すると、ひとしきり笑った後、ホラーのほうからこう切り出した。

「魔戒騎士よ。そなたを腕の立つ者と見込んで頼みがある。
 今しがたホラーを倒したばかりですまないが、ひとつ、わたしの相手もしてもらえまいか?」

禍々しい姿とは不釣り合いなほどに丁寧な物言いに、零たちは一層戸惑いが大きくなる。
だが、零は答える。

「ホラーを狩るのが魔戒騎士の務め…
 あんたに言われなくても、その務めはきっちりと果たすぜ」

と。
その答えを聞いて、ホラーはニヤリと笑った。

「いい返事だ。
 では、心置きなく闘わせてもらうよ」

ホラーは片方の足を後ろに引くと、勢いをつけて飛び上がった。
大きく広げられた翼が夜の空気を切り裂き、一直線に零へと突っ込んできた。





  はあ、はあ、はあ…

零は大きく息を切らしていた。相手のホラーもまた然(しか)りだ。

『大丈夫、ゼロ?』

心配そうに尋ねるシルヴァに

「ああ。
 だが、なかなかやりにくい相手だ」

と弾む息の合間に、零は答えた。
このホラー、速さも強さも先程闘ったアバドゥールよりは劣っているのは間違いないのだが、常に先回りして零の攻撃を避け、零が闘いにくい状況に陥れるのだった。
そう、まるで零の動きが読めるかのように…
そして、不思議なことはまだあった。
ホラーからの攻撃は、常に零の厳しいところを突いて来るのだったが、かと言って、零に決定的なダメージを与えようという意思が感じられなかった。

(この感覚… どこかで味わったような…)

だが、零の思考はすぐに閉ざさるを得なかった。ホラーの爪が零の脇腹スレスレを通り過ぎたのだ。
攻守を何度か変えての厳しい攻防の後、互いに引いて、相手との間合いを取った。




to be continued(7へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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