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きんのまなざし ぎんのささやき

God be with ye(8)

はじめにお詫びです!

「シルヴァは道寺と契約していた」という設定について、茅様からの情報のお陰で「公式の設定」であることが判明しました。
(K林さん著の小説、第4章「越境」にて、零が8歳の頃、仕事に向かう道寺の胸にシルヴァがいるのを目にしています)

…というわけで、「God be with ye(7)」の後半、過去の回想部分は変更させていただきました。
大きな変更点としては、次となります。
  • 「零が道寺に引き取られたときには道寺は引退していた」的な描写を「もう少し後に引退した」的に変更
  • 「鎧は遠縁の若者に継承」という点を「もうじき継承される(魔導具も鎧の継承に合わせて同じ時期に引き継がれる)」と変更

変更前の妄想をすでにお読みいただいた方は、もしお時間が許せば、書き直した後半部分を読み直していただけると幸いです。

なお、 上記の変更のため、結局、がっつり書き直しましたので、今回のお話は少々短めです。
変更が入りましたこと、進展がほんの少しになってしまったこと、ほんと申し訳ありません!


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「あのオンブルがどうしてホラーの姿に…」

いまだに信じられない零が呟くように言った。

『ええ…
 道寺の鎧を継承した魔戒騎士の身に、何かよくないことでも起こったとしか考えられない…』

不吉な予感に声をくもらせるシルヴァ。

「ふふっ、察しがいいな」

シルヴァの頭の回転の速さに少し驚きを交えながらそう言うと、オンブルの声から感情が消えた。

「そいつは死んだ。
 アバドゥールの前に屈したんだ」

魔戒騎士がホラーの前に屈することは、残念ながら現実としてあり得ることだ。
零も、つい先ほど対戦しているのでアバドゥールがなかなかの腕前であることを知っているので、それを想像することは難しくなかった。

(それにしても、魔戒騎士の死と魔導具がホラーになることにどういう関係が…)

そんな零の考えがわかったのか、ホラーは少しだけ話をする気になったようだ。

「アバドゥールはなかなか賢い奴でね…

 道寺の鎧を継いだ魔戒騎士が死んだことで、魔導具の中に私を閉じ込めておく力も弱まっていることに気付いたらしい。
 その騎士が事切れた後、すぐに無理矢理こじ開けて私を魔導具の中から解放したんだよ。

 奴が賢いのはその後のこと…
 ありえない展開に動揺している私から、命の半分を奪っていったのさ。
 そして、私は奴に隷属することを強いられた…」

淡々と話すつもりが、いつしかホラーの手は屈辱からブルブルと震えていた。
が、すぐに口調を明るくした。

「おまえさんも奴と闘ってわかっただろう?
 アバドゥールが魔戒騎士と闘うときなどは、私がこっそりトラップを仕掛けるのさ。
 魔戒騎士は目の前の奴に注意を向けがちだから、あっさりそれに引っかかる。
 そして、素振りも見せなかった相手がいつそんな仕掛けをしたのかと騎士が動揺し、騎士の体制が整わないところを…」

そこまで言うと、ホラーは親指だけを突き立てて、その曲がった爪で自分の喉を横に掻き切るようにスライドさせてから、

「こうだ!」

と言った。

「さあ、これでわかっただろう?
 昔は魔導具として魔戒騎士とともに闘ってきたかもしれないが、今じゃ私はただのホラー。
 アバドゥールから命の半分も取り返したし、これで羽を伸ばして生きていけるというもんだ」

そう言うと、言葉通り、ホラーは翼をバサバサと動かした。
そして、

「おまえさん、銀牙だろう?
 だったら、昔のよしみでこのまま私を逃がしてくれるとありがたいんだが…
 まあ、それが嫌だと言うなら、自力で勝つまでだ。
 なんせ、私はおまえのファイティングスタイルもクセもよく知っているからね」

と、零を試すように挑戦的に言うのだった。

零の顔は曇っていた。
零の知るオンブルは高潔な道寺の相棒にふさわしく、こんな下衆(げす)なことをいうタイプではなかった。

(ホラーになっちまって、ここまで堕ちたのか…)

零はシルヴァに向かって口を開いた。

「シルヴァ、教えてくれ。
 一度、魔導具だったホラーを再び魔導具に戻すことはできるのか?」

低い声は無感情だったが、シルヴァにはどこか懇願しているふうにも聞こえた。

『ゼロ、それは…』

シルヴァが言い淀んでいると、代わりに、

「銀牙よ、それは無理なことだな。
 私はシルヴァよりもずっと長く生きてきたが、いまだかつて魔導具に二度なった奴は知らないからね」

とホラーが答えた。

「さあ、どうする? このまま私を見逃がしてくれるかい?
 それとも、私と闘うかい?
 私はどっちだっていいんだぜ?」

「…」

零は悲しそうな顔をした。
道寺を失い、静香を失い、零には今やシルヴァしかいない。
それが、子どもの頃の楽しい記憶を共有するはずのオンブルが目の前に現れたのだ。
本来なら互いの無事を喜び、昔を懐かしんで穏やかな空気に包まれるはずだった。
なのに、父の分身のような存在だったオンブルはホラーの姿をしており、今では心がすっかり堕落しきっていた。

『ゼロ…』

心配げに声をかけるシルヴァに、零は言った。

「判っているよ、シルヴァ」

その顔には微笑みが浮かんでいた。
そして、キッと厳しい顔をホラーに向けると、高らかに言った。

「俺をその名で呼ぶのは止めろ!
 その名はとうの昔に捨てたものだ!
 だがな、俺は父さんの息子として、おまえを斬る!
 俺が始末をつけてやる!」

威風堂々とした零の姿を見て、ホラーは思わず口の中で呟く。

「それでこそ、道寺の子…」

(私が再び魔導具に戻ることなど、もはや叶うはずもない…
 だからと言って、このままいつまでも人界にいるのもうんざりだ。
 それなら、いっそのこと…


少し感傷的になったホラーだったが、それでも、そんな気持ちを少しもおくびに出さずに叫んだ。

「面白い! そうやすやすとやられる私ではないぞ!
 やれるものならやってみろ!」



to be continued(9へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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