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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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聖夜の果て(+α)

あとはご自由に妄想してね!
そう言っておきながら、自分でも妄想してしまいました…

クリスマスもとっくに終わっているというのに、このマヌケさ…
笑うに笑えないです。

(だって、だって…
 25日も26日も、なんだかとても眠くて起きてられなかったんだもん!
 年か?
 いやいやそんなことはない! …といいなぁ~)


もし、それまでの話ってどんなだったっけ? という人は、
聖夜の果て(1)」~「聖夜の果て(6)」をご覧ください。

それでは、賞味期限も過ぎちゃった感じですが、ご賞味くださいませ。


拍手[21回]


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

鋼牙が風呂から上がり、冷蔵庫からいつもの水のペットボトルを手にして、
リビングに戻ってみた。
だが、リビングにはすでにカオルの姿はなかった。

(寝たか…)

鋼牙は残念なような、逆にほっとしたような微妙な気持ちを感じたが、深く
追及しないようにして、テーブルについた。

ペットボトルの蓋を開け、乾いた身体に冷たい水を落とし込む。

「ふぅ…」

知らず知らずのうちに重く深い息をつく。
そして、テーブルの上にある、ゴンザの用意した軽食に手を伸ばし、黙々と
食べ続けた。
空腹を満たしてようやく人心地(ひとごこち)ついた気がした。

鋼牙は2階の自分の部屋へと向かいながら、リビングの照明を、玄関ホールの
照明を、階段の照明を消していった。
冴島邸の明かりが次々と落とされていき、屋敷全体が眠りの中へと
引き込まれていこうとしていた。

鋼牙は、この瞬間が好きだった。

屋敷に帰り着いた時点でずいぶん気持ちは軽くなるのを感じるが、
それ以上に、ひとつひとつ照明を落としていくたびに、鋼牙の背負う立場も
ひとつひとつ剥がされていく気がするのだ。
牙狼であること、魔戒騎士であること、冴島鋼牙であること…
そういうものを次々と剥いでいき、自室のドアさえ開けてしまえば、
何も持たないただのひとりの男になれるはずだった。

だが、鋼牙はドアに挟まれた白い紙を見つけた。
手帳を破いたようなその紙を取り上げ、開いてみる。
そこにはカオルの字が…

「鋼牙へ
  あたしの部屋に来てもらえないでしょうか?
                            カオル」

落ち着いたと思っていた胸の中が、また、ザワザワと騒ぎ出す。

ほんの少し迷ったが、鋼牙はカオルの部屋へと足を向けた。

カオルの部屋のドアをノックする。
が、返事はなかった。

「入るぞ」

そう声をかけてから、ドアを開けた。

見ると、カオルは窓際の椅子に座り、眠っていた。
ヒールは脱げ、ウサギのぬいぐるみは膝の上から落ちそうになっている。

(やれやれ…
 そんなに風邪をひきたいのか?)

そう思いながら、カオルに近づき、揺り起こそうとした。
だが、考え直して、伸ばしかけた手を止めた。
鋼牙は、カオルをそっと抱きかかえ、そのままベッドに運んでやった。

ベッドにそっと横たえたつもりだったが、シーツの冷たさのせいか、カオルが
眼を覚ましてしまった。

「…鋼牙?」

カオルとシーツの間にまだ残っている腕を引き抜きながら、鋼牙は言った。

「今日はもう遅いから、もう寝ろ。
 話なら、明日の朝、聞いてや… !」

驚いた鋼牙は最後まで言葉を続けることができなかった。
カオルが鋼牙の首にすがりついたからだ。

「…ぃや…」

「…」

思いもかけないカオルの行動に、鋼牙は即座に答える言葉が見つからなかった。
言葉を見つける間、カオルが震えていることに鋼牙は気がついた。
そこで初めて、鋼牙は落ち着くことができた。
なかばぶら下がるような恰好になったカオルの背中を支えてやる。

「カオル…
 どうした?」

鋼牙は内心の動揺を抑えつつ、優しくカオルに声をかける。

「明日じゃ駄目なの… 明日になれば、鋼牙は…」

明日になれば、鋼牙はまた魔戒騎士として、自分の宿命に殉じるだろう。
それは仕方のないことだと解っている。
いや、むしろそんな鋼牙を支えたいと思っているのだが、だからこそ、
カオルはその言葉の先にある本心を告げられずにいた。

鋼牙はカオルが落ち着くのを待ってから言った。

「このまま朝までこうしているつもりか?」

「えっ」

カオルの腕から少し力が抜けた。
驚きで見開いた瞳が見えた。
最初は冗談のつもりで鋼牙の口から出た言葉だったが、カオルの反応に
引きずられるように、やがてそれは本気になる。

「俺はそれでも構わないが…」

そう言うと、鋼牙はカオルを見つめた。
優しい目だった。

「あたし…」

カオルは言葉を探した。
だが、その唇は鋼牙の唇によって塞がれた。
カオルの唇が解放された後、鋼牙は試すようにカオルに言った。

「もし、朝まで一緒にいるなら、このベッドは狭すぎる…

 …来るか?」

その誘いに、カオルは目を伏せ、頬を染めながらも、こくんとうなずいた。



明日になれば、また魔戒騎士としての1日が始まる。
その宿命を鋼牙は受け入れ、その道を鋼牙は選んだ。
だが、時として、ひとりの男として、ひとりの女のものだけになる時間が
あってもいい…
イブの夜、日付もとっくに変わった聖夜の果てならば。


鋼牙はカオルだけのものになり、
   カオルは鋼牙だけのものになる。



fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


「聖夜の果て」のその後は、当初、あんまり書く気がなかったのですが、
(あっ、 絶対書かないぞ! っていう強い気持ちもなかったですけど)
ニコニコ動画でとある歌い手さんが歌っている曲を聞いていたら、
どんどん妄想が膨らんで…
そんなにきわどくない程度で書かせていただきました。
(っていうかきわどくなる手前ぇ~
 このくらいが、selfish にはちょうどいいかも…)


そうそう、よかったら聞いてみてください。
neroさんの歌う「ポラリス」を。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm13426465

ありきたりと言えばありきたりなのかもしれませんが、心地よい曲&声ですよ!
「安眠効果抜群」というタグがついてますが、selfish にとっては、妄想脳を
揺さぶるため、安眠妨害の曲でしたけどね。 (苦笑)
コメント
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無題
こんばんは、聖夜の果て、続きありがとうございます、思ってもいない
プレゼント感謝、本日、最後のラララ、シフト予約して10時までに何とか家の仕事を片付け、パソコンの前に待機したいするぞ、本日我が家は、恒例の餅つきだんなの姉と姪こ夫婦二組とその子ども総勢8人我が家6人でのもちつきでした、いまだに杵と臼でペッタンとついねいます、昔ながらの木のせいろをつかっています、機械でやりたい、手がえしが疲れる、今日のらららを励みに老体にムチムチ、がんぱったぞ、
かなまま 2012/12/30(Sun)18:14:24 編集
Re:無題
ようやく、ラララが見られるというのに、最終回だなんて悲しいですね~

今日はお餅つき!!
数年前までは、selfish のうちも臼と杵でぺったん、ぺったんでしたが、うちの男たちは腰が痛いらしく、いつしかその役目を餅つき機に譲ってしまいました…

かなまま様は、今日はお疲れでしょうが、23時にあのスナックで落ち合いましょうね!!
(早めに行かないと、プレミアム会員に席を譲れ! と追い出されることがあるのでご注意くださいませ!!)
【2012/12/30 20:23】
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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