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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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君ヲ想フ(5)

ニコニコ動画で、Geroさんという歌い手さんがいるのですが、その方の
最新の動画(ドリカムの「やさしいキスをして」をカバーしてます)に
使われているイラストが、と~っても素敵なんです。

「君ヲ想フ」の挿絵として使いたいなぁ… なんて。

いわかむさんとおっしゃる方のイラストです。
(pixivではいわこさんというらしい…)

事務員Gさんのマイリストにもありますよ。
なぜって?
GさんのピアノでGeroさんが歌っているものなので…


もし興味があれば、ご覧くださいませ。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm19899594



拍手[21回]


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

カオルから絵本を手渡された鋼牙は、どうしたものか少し迷っていた。
そんな鋼牙に、カオルは畳みかけるように言った。

「ねぇ、いいでしょ? 鋼牙… くん?
 一緒に読もっ?」

すると、渋々という感じで

「…別にいいよ、一緒に読んでも」

と、素っ気なく鋼牙は答えた。

「えっ、いいの? 鋼牙… くん?
 やったぁ!」

小さなガッツポーズをして喜ぶカオルに、鋼牙は続けて、こう言った。

「それと…

 鋼牙って呼んでもいいから…」

「!」

カオルはちょっと驚いて、それからにっこり笑った。

「ありがと…
 じゃあさ、鋼牙もあたしのことを ’カオル’ って呼んでいいよ。
 そう呼んでくれた方が、なんか、こう… しっくりくるから!」

鋼牙は小さくうなずいて、固かった表情を少しだけ崩した。
鋼牙との距離がちょっとばかり縮まった気がしたところで、カオルは何気ない
感じで、鋼牙に言った。

「ねっ? ちょっと手を見せて?」

怪訝そうな鋼牙を無視して、鋼牙の手をぐいっと掴むと、取り出した絆創膏を
血の滲んでいる部分にペタっと貼りつけた。
2枚目、3枚目と同じように貼り付け、傷口をすべて覆うと、その出来栄えを
角度を変えながら確認した。

「ちょっと不恰好だけど、まっ、こんなもんかな?

 それじゃあ、読もうか?
 ここ、座ってもいいかな?」

カオルはベッドの端を指さして鋼牙に尋ねた。
鋼牙は絆創膏の貼られた拳を眺めていた。
そして、何か吹っ切れたように少し明るい表情を見せて言った。

「そんなとこじゃ寒いだろ?
 ここに入るといい。」

カオルに近い方の寝具の端をめくり、空いているベッドの部分を手のひらで
トントンと指し示した。
カオルは思わず赤くなって戸惑ったが、

(中身は子ども… 中身は子ども…)

呪文のように、自分にそう言い聞かせるように繰り返し思った。

「ありがと!
 じゃ、お言葉に甘えるね?」

カオルは言葉とは裏腹に、ぎこちない感じで、鋼牙の隣に身体を滑り込ませた。
鋼牙は、ちょっとだけ笑顔を見せて、すぐに手の中にある絵本に視線を
落とした。

黒い炎と黄金の風…

その表紙の黄金騎士の絵に、鋼牙はすでに魅了されていた。

「これって、牙狼?」

絵本に吸い寄せられている鋼牙の瞳は、キラキラと輝いていた。
カオルは、鋼牙の横顔を見つめながら優しく言った。

「そうだよ。
 鎧のデザインは本物とちょっと違うけど、ほらここ見て…
 ちゃんと牙狼の紋章でしょ?」

「あぁ!」

鋼牙は控えめながら、嬉しそうな声をあげた。
カオルは鋼牙のことがなんだかかわいく思え、不思議な気分になってきた。

「ふふふ…
 ほら、中も見てみようよ?」

その言葉に素直に従い、鋼牙は表紙をめくった。

「轟天だ」

鋼牙はそう呟くと、轟天にまたがる牙狼の絵を夢中で眺めた。
それから、文章を一字一字、一生懸命に追っていった。
読み終わると、

「めくってもいい?」

とカオルに断った。

「うん、いいよ~」

カオルがそう答えてやると、鋼牙はページをめくった。
すると、声には出さないが、わぁっと驚いたような表情をした。

そのページには、無数のホラーを蹴散らす黄金騎士が描かれていた。

「魔戒騎士って、とっても強いんでしょ?」

カオルは鋼牙の横顔に、そっと聞いてみた。

「そうだよ。
 魔戒騎士の中でも牙狼が一番強いんだ」

鋼牙は自慢げに話しながら、ページをめくった。
めくっていいかとカオルに尋ねることはもうなかった。
そのくらい、絵本に引き込まれているようだった。

次のページには、自分の何倍もあるような大きな大きな ’ホラーの王’ に
果敢に飛びかかる牙狼が描かれていた。
楽しそうな鋼牙の横顔を見て、カオルも嬉しくなった。

鋼牙はまたページをめくった。
そのページには、刃がボロボロに欠けた牙狼剣を杖代わりにして、光を
求めて歩いている牙狼の姿が…

鋼牙は少し不安そうに眉根をしかめて、慌ててページをめくった。

だが…
最後のページは真っ白なのだ。

鋼牙は慌てて、カオルのほうを見た。

「これは?」

どういうことなのか、と疑問をカオルにぶつける。

「あぁ、これね…

 鋼牙は、この絵本の牙狼が最後どうなると思う?」

カオルに逆に聞かれて、真剣に悩み始める鋼牙。
しばらくして、ようやく口を開いた。

「…よく解らない」

「そっか…
 じゃあ、こうなればいいなぁ、とか、こうなってほしいなぁ、とか
 何か思わない?」

カオルを真剣なまなざしで見つめる鋼牙に、カオルはドキドキした。
そのドキドキを打ち消すように、慌ててカオルは自分の考えを話す。

「傷ついた牙狼を待っていたものが何なのかは、読む人が好きなように
 想像していいよ… ってことだと思うんだ。

 それが何なのか、今の鋼牙は思いつかないかもしれないけど、明日に
 なったら思いつくかもしれないし、また別の日には全然違うことを
 考えるかもしれないね」

「ふ~ん」

カオルの答えを自分なりに考えているらしい鋼牙。
そんな鋼牙を見ながら、

(明日になったら、鋼牙の記憶も元に戻っちゃうかもしれないんだ…)

と、カオルは切なさを感じた。


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コメント
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無題
こんがんは、またしても、遅ればせながらのコメントが終ったところで、待望の第5話嬉しい、カオルが鋼牙をリードするというか、大人のカオルと子どもの鋼牙、カオル先生のようにせしているのがいいですね,気持ちが和らいで素敵です感謝、
かなまま 2013/01/25(Fri)23:27:56 編集
Re:無題
コメントをいただけると、ものっすごい嬉しいんですよ!
喜んでもらえてるんだぁ~ って、ニンマリしちゃいます。

selfish は、みなさんから素敵なコメントをいただいているので、勝手にみなさんのこと ’お友達’ だと思ってますの~
そして、その ’お友達’ に、いつの日かお会いできたらな~ なんて思ってます~
【2013/01/26 08:02】
無題
姿は大人で中身は子供。きゅんきゅんするシチュですよね!鋼牙くんがいじらしいです!
話は変わって拙作を読んでいただきありがとうございます。少し真面目に書くともれなく「すべる」のでびくびくしておりましたが、selfish様の温かい感想をいただけてうれしいです!
くわい 2013/01/26(Sat)21:16:15 編集
Re:無題
このシチュエーション、活かしきれるのか、 selfish?!
ダダン!
次回、「迷走」!
乞うご期待! (失笑)

selfish はギャグとか書きたいんですけど、全然、そっちのほうに話が転がらなくて困ってます~ (泣)

この「身体は大人、中身は子ども」というのも、実は、「これならギャグ路線に行ける?」 という期待を込めて設定したんですが、わりと早い段階で夢破れました。 (撃沈)
selfish は、背伸びはしないで身の丈に合ったものを楽しく(←ここ重要!)書けたら、「それでよし!」 としようかな~ などと思ってます…
くわい様も頑張って~
【2013/01/27 10:07】
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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