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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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あいつには黙っていてほしい(2)

久し振りにスキマ話を妄想しましたが、なんて楽しいんでしょう!

本家公式様では、鋼牙の北の管轄行きの通達、零の新たな系譜昇格そして東の管轄の魔界騎士に任命されるシーンを撮影したらしいんですが、残念ながら尺の都合もあってお蔵入りになったとのこと。

今回はこの辺を妄想していますが、あることないこと、ほんと好き勝手に妄想してます。
なんせ、うちには尺なんてありませんから!
思いついた分だけ目一杯書き散らします… ふふふ


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「あいつの実力は俺が保証する。
 だから、あいつを魔戒騎士として、どこかの管轄に迎え入れることはできないでしょうか?」

鋼牙は東の番犬所の新しい神官にこれまでの経緯を報告した後に、そんなことを切り出した。
メシア降臨を阻止した翌日のことだった。
その日、ケイル、ベル、ローズに代わる神官が東の番犬所にやってきたことを知った鋼牙は、激しい闘いで傷ついた身体を引きずって、こうして番犬所に出向いたのだった。

父、大河を倒したバラゴがメシアに呑まれ、神官にあるまじき邪(よこしま)な企てをした神官も零によって倒された。
そして、すべてのホラーの始祖、メシアの降臨も、翼人(つばさびと)となった牙狼により食い止めることができた。
こうして人知れず進行していた危機的状況を回避した今となっては、鋼牙の胸に気がかりとして引っかかることがひとつ… 涼邑零のことだった。

西の管轄を飛び出した零は、掟を破ったことで厳しく咎められることは必至だった。
だが、ともに闘った者同士として、彼の並々ならぬ強さを鋼牙は十分知っていた。
もしもなんらかのペナルティが零に課せられるならば、その分、彼の力を埋もれさせることになってしまう。

魔界騎士はソウルメタルを扱う。
心に微妙な揺らぎがあれば、それだけで剣を自在に操ることはできず、鎧の召喚もままならない。

ペナルティが解かれた後、西の管轄に戻ったときに、果たして、彼がこれまでどおりにそれらを扱えるかどうかは判らない。
そんなことにでもなれば、魔戒騎士の数が少ない現状、なんとも惜しいことになってしまう。

(あいつの実力を、今後も存分に発揮させるにはどうすればいいか…)

ふと、そんなことを考えて、先の発言となった。

「ふむ…」

神官には少し考えてから、

「わかりました。
 考えてみましょう」

とだけ言った。
神官は、元老院のほうでも零の力を認める者があり、「今回のことは不問に処してもよいのでは?」という流れがあることを聞いていた。
もちろん、その反対に、「掟だ、秩序だ」と叫ぶ者もいる、と。
故に、鋼牙の申し入れも含めて、改めて元老院に判断を仰ぐのがよいと考えての答えだった。
そんな神官の考えなどは知らず、報告という務めを終えた鋼牙は、

「ありがとうございます」

と礼を言い、神官の前から辞去しようとした。
が、ふと動きを止めて、神官の前に向きなおった。

「それと、もうひとつ…」

「なんです?」

まだ何かあるのか、と言わんばかりに神官は尋ねた。

「このことはあいつ… 涼邑零には黙っておいてください。
 情けをかけてもらったと勘違いされては困ります」

それを聞いた神官は、

(何が困ると言うのだ?
 まったく人間の考えることはよくわからん…

 ともかく、面倒な説明など一切しなけりゃいいのじゃな?)

などと思いながら、

「わかりました」

とだけ答えた。

あれから数日が過ぎ、鋼牙と零のふたりに東の番犬所から呼び出しがかかった。
それが今朝のことで、今、こうして神官から「涼邑零を東の管轄の魔戒騎士にする」という話を聞いたのだった。
零には内緒にしているそういった経緯があった… それが、神官と鋼牙との間で無言でうなずき合うという奇妙なやり取りの種明かしだ。




神官からの話が終わり、鋼牙は屋敷へと帰っていった。
一方、零のほうは、

「俺、少し話したいことがあるんだけど…」

と言って、番犬所に残ることになった。

「話とはなんです?」

面倒なことはさっさと済ませたい神官は、零に話を促した。

「こいつのことなんだけど…」

そう言って零はシルヴァを持ち上げた。
シルヴァは、ガルムとの戦闘で美しい顔に大きな傷がついていたのだが、すっかりきれいになっていた。

「治してくれてありがとう。

 で、この前頼んだ、もういっこの方なんだけど…」

零は、少し不安げに神官を見上げた。

「ザルバのことですね?
 どうにかして修復できないものか、という…」

「ああ」

現在の零が、唯一 ’家族’ と呼べる魔導具のシルヴァが傷つき、闘いの後真っ先にその修繕を願い出ていた。
その際、鋼牙の ’友’ ザルバのこともどうにかできないものかと零は相談していたのだ。
ザルバは鋼牙や零たちの見ている前でサラサラと砕けていき、跡形もなくなってしまったので、どうやら鋼牙はもう諦めているようだった。
だが、零は諦めきれなかったし、できることなら鋼牙の元にザルバを返してやりたいと強く望んでいた。

「当代随一の魔導具づくりの魔戒法師に手配しました。
 その法師によると、ザルバは消滅したわけではないとのことです。
 つまり、魔導具の破損が激しかったため、中に閉じ込めておくことができなくなり、魔界に放たれた状態だというのです」

「それじゃあ?」

期待に顔を輝かせる零に、神官は大きくうなずいて先を続けた。

「ザルバをまた魔導具に閉じ込めることは可能です。ただし…」

神官はそう言うともったいぶって言葉を切った。



to be continued(3へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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