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きんのまなざし ぎんのささやき

あいつには黙っていてほしい(3)

頭の中にポンッと出てきた妄想って、書き始めると長くなっちゃうのはなぜだろう。
(この「ポンッ」の部分は3行くらいだったりします)

そして、内容が微妙に変わってきちゃうのもなぜなんだろう?

なんにせよ、書いてて楽しかったのでそれでいいんです!
読んでて面白いものになってたら、もっといいんですけど…ね。



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

ザルバを元に戻せるかもしれないという期待に高揚する零とは裏腹に、神官はマイペースを崩さない。
少しイライラしつつも、零は注意深く神官の顔を窺うが、茫洋(ぼうよう)としていて何を考えているのかちっとも判らない。

「…ただし、あるものが必要だそうです」

意味深長な態度でそう告げた神官に、零は緊張を隠しながら、

「それは?」

と尋ねた。
神官は平然とした態度のまま、さらにもったいぶって間をあけた。

「それは…  2日分の命です」

「…」

零はそれを聞いて、詰めていた息をふぅと吐いた。

魔界騎士の寿命は、普通の人間よりずっと短い。
常に危険と隣り合わせだから、仕方のないことだ。
また、だからこそ、命のありがたみは普通の人間以上に身に染みて判っている。
今回、シルヴァが傷ついたことで魔戒騎士にとって魔導具の存在がどれだけ大きいものか、零は身に染みていた。
恐らく、このことを鋼牙に伝えれば、喜んで自分の2日分の命を差し出すだろう。
だが、つい先ごろ、騎士同士が闘ってはならないという掟を破ったことで、鋼牙も零も1日分の命をはく奪されたばかりだった。

考え込む零に、神官は言った。

「我々とは違い、おまえたち人間の命は短いものです。
 なにも命を渡さずとも、他の魔導具ならすぐにでも手に入るのです。
 無理に魔導輪を修復する必要はないのではないですか?」

神官のその言葉を聞いて、零の気持ちは固まった。

「その2日分の命… 俺のを使ってもらえますか?」

『ゼロ!
 あなた、何を言ってるの?』

驚き慌てたシルヴァが、思わず声をあげた。

「いいんだよ、シルヴァ。
 俺はあいつのために何かをしたいんだ」

笑顔を浮かべて、零はシルヴァに言った。

『でも、あなただってバラゴの企みに巻き込まれただけじゃないの!』

「それは… 鋼牙だって同じでしょ?
 俺がもう少し気持ちに流されず慎重に行動していたら、ひょっとして、こんなことにはならなかったかもしれない…

 とにかく、こうすることで俺の気持ちに、けじめがつけられる気がするんだ。
 ま、ただの気休めかもしれないけど… わかってくれないかな、シルヴァ?」

そう言って笑う零の顔は、どこか清々しささえ感じられた。

『…わかったわ』

溜め息交じりにシルヴァが引き下がったところで、神官から声がかかった。

「では、おまえの2日間の命をザルバの修復に使っていいのですね?」

心なしか幾分気遣うような優しげな口調で神官は確認をとる。

「はい、構いません」

零も穏やかに答えた。
しばらく、無言のうちに視線を交わしていたが、神官がおもむろに口を開いた。

「わかりました。
 それではそのように手配します」

「ありがとうございます。
 あ、それと…」

礼を言った後、零は何かを言いかけた。

「なんです?」

そう聞き返した神官の口調は、すでに事務的なものに変わっていた。

「このことは鋼牙には内緒にしてくれないかなぁ?
 俺のワガママですることだからサ、後から面倒な話になるのは御免なんだよね」

「ふむ…」

なんだか似たような話を聞いたな… などと思いながら、神官はそれ以上詮索するつもりなどはなく、

「わかりました。
 私からあの男に何も言うつもりはありません」

と答えて、話を終わらせた。




鋼牙が北の管轄に向かう日の朝。
東の番犬所で、零は神官から修復されたザルバを渡された。

「実は、その魔導具の修復には、西の番犬所の神官が大層骨を折ってくれたのです」

「えっ、あの神官が?」

「そうです」

零の脳裏に、表情のまったくない青年の姿をした神官の顔が浮かんだ。
無断で東の管轄に足を入れた零を、彼は快く思っていないものと思っていたのだが。

「…そうそう、その神官からのメッセージです。

 『冴島鋼牙には、西の管轄の魔界騎士であったおまえが迷惑をかけました。
  認めたくはありませんが、それは私の責任でもあります。
  だから、その魔導具の修理は、彼への詫びです。

  それから、おまえの差し出した2日分の命ですが、1日分に減じます。
  これはおまえへの餞(はなむけ)です。
  東の管轄では、せいぜい真面目にお働きなさい』

 とのことです」

少々、言い回しが気に入らなくもあったが、あれでなかなか自分のことを気にかけてくれていたのかと思うと、西の神官に対してとった反抗的な態度を少し反省する気にもなった。
感傷的になっている零だったが、ここであんまりゆっくりしているわけにもいかない。
早くしないと、鋼牙が北に向けて出発してしまう。

「早くお行きなさい。

 そして、おまえから冴島鋼牙に渡すがいい。
 そうすれば、私の口から余計なことがあの男に伝わる心配もないだろう?」

神官は淡々とそう言った。

「わかったよ… ありがとう」

どうやらザルバは、鋼牙と契約を交わしていた頃の記憶は全くなくなってしまったようだが、それでも確かに形を成してここにあった。
他人(ひと)の相棒ではあったが、零にも嬉しさがこみあげる。
そんな零を見て、

「冴島鋼牙は、今日、北の管轄へ向けて発つらしいが、今ならまだ間に合うだろう。
 早く持っていってやるがいい」

と神官は促した。
が、嬉しそうでいて、なおかつホッとしたような零の様子を見て、思わず、

「やれやれ、急がせた甲斐があったというもんじゃ…」

と独り言を言っていた。
神官というのは、どいつもこいつも胡散臭い連中であることに間違いないが、その呟きを耳に入れた零は、

(ま、このおっさんとは、なんとかやっていけっかな?)

などと思ったりした。
それと同時に、

(あぁ…
 泣いても笑っても、この管轄で ’守りし者’ として生きていくんだなぁ)

という思いが、零の中にひたひたと湧いてくるのだった。




番犬所からの暗い通路を経て、零は、きれいに晴れ渡った青空の下(もと)に出てきた。

(あぁ、あいつ、喜んでくれっかな?)

ザルバの入った木箱を見て、零は微笑んだ。
そして、早く手渡してやろうと思い、鋼牙のいる方向へ向けて足早に歩き出すのだった。



fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

粉々になったザルバ。
なんであんな簡単に復活するんだ? とみなさん思われませんでしたか?

実はこんなことがあったのかもね、というわけで妄想してみました。

いや~ それにしても。
玲くんのお誕生日に書き始めたお話が、三四郎さん(絶狼のスーツアクターさん)のお誕生日に終わりを迎えられたのは、まったくの偶然!
奇遇だな~


2014/10/05 追記:
この妄想では、零がザルバの修復を東の番犬所に依頼していますが、第25話「英霊」を確認したところ、零がザルバを鋼牙に渡すときに
「忘れモンだぞ。西の番犬所からのご褒美だ」
と言っているではありませんか!
というわけで、急遽、西の番犬所に力を貸したという部分を追加しました。(;^ω^)
やっぱね、公式様の設定には忠実でないと… ね。

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すみません!
本日の妄想アップはできそうにありません。
どんなふうに展開しようかまだ迷ってまして…
うまくしたら明日にでも、とは思うのですが、
きちんとお約束するのも難しく…
どうか、どうか気長にお待ちくださいませ!

2017/11/19
selfish

selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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