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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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あの日の輝きは(1)

あけましておめでとうございます!

2022年の年も明けてダラダラしていたら、もう10日!
イカンです! イカンです!
時間の経つのが早すぎて内心焦りつつも、今年もゆるゆると妄想を続けていけたらなとボンヤリ思っております。
自分の身に合ったスピードで、感覚で…

そんな selfish に、本年も気長にお付き合いいただけたら幸いです♡

拍手[5回]



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

ガチャ

「ただいまぁ」

冴島邸の玄関から、ドアの開閉音とともに少し間延びしたようなカオルの声が聞こえてきた。
階段のモップ掛けをしていたゴンザは振り返りつつ、笑顔を浮かべながら階下まで降りてくる。

「おかえりなさいませ、カオル様。
 外はお寒かったでしょう?」

「ゴンザさん!
 うん、すっごく寒かったよぉ~」

そう言いながら、カオルはまだ手袋も外していない手をこすり合わせて寒そうに肩をすくめてみせたので、ゴンザも眉を潜(ひそ)ませて言った。

「それはそれは…
 風邪を引いてはいけません。ただいま温かい飲み物を用意いたしますね?」

カオルはパッと表情を明るくさせて、

「嬉しいなぁ。
 あ、あま~いココアとか頼めたりできるかな?」

と少し甘えるように小首をかしげるので、ゴンザは右手を胸に当てて、慇懃に頭を下げながら

「はい、お任せくださいませ」

と承(うけたまわ)った。

「やった!」

それに対してカオルはグッと小さくガッツポーズをしていたが、あっと慌てたように口元に手を当ててから急に背筋を伸ばして、

「では、着替えてきますね」

とお上品に取り澄まして見せた。
が、次の瞬間にはニッと笑うので、ゴンザはどうしたのだろうときょとんとしてしまう。
そんなゴンザを尻目に、カオルは次の瞬間にはたたたっと足取りも軽く階段を駆け上がっていった。
黙っていればどこぞのご令嬢に見えなくもないきれいな容姿の彼女だが、生来の茶目っけはなかなか隠せそうもないのだった。

しばしぽかんとカオルの後ろ姿を見送っていたゴンザは、パタンというドアの閉まる音ではっと我に返った。
そして、くすくすと忍び笑いを漏らしたゴンザは、カオルのリクエストに応えるべく、キッチンと向かうのであった。




ゆったりとソファに座り、ご所望のココアの入ったカップに口をつけたカオルは、

「はぁ~っ、おいしい!
 あったまるぅぅぅ♪」

と満面の笑顔をゴンザに振りまいた。

「ふふふ、それはようございました。
 今日は珍しく青空も見えていて日差しも温かかったようですが、それでも寒かったですからね」

ゴンザが窓の外を見やりながらそう言うと、

「日なたは結構温かかったよ。でも、風はやっぱり冷たかったかな…」

とカップにふうふうと息を吹きかけながら答えが返ってきた。

「あ、でもね、今日はうきうきして心があったかくなるようなことに遭遇したんだったぁ」

ふと思い出したようにカオルが言い、再び顔がほころぶ。

「ほほう、それはまたどんなことですか?」

「今日は何の日かわかる?」

「はて… 今日は1月10日。成人の日ではありますが…」

「正解っ! 今日は成人の日よね。
 街でたくさん振袖姿の女の子たちを見かけたの!」

「あぁ、なるほど。
 今日はお天気にも恵まれて、晴れやかな日にふさわしい日になりましたな」

「そうなのぉ~
 みんなそれぞれ自分に似合う振袖を着て、きらっきらな笑顔がとぉ~っても眩しかったんだよ?」

「それは目に浮かぶようですな。
 晴れて大人の仲間入りした誇らしさもありましょう」

「そうそう。久しぶりにお友達にも会えるしね!
 みんないい笑顔だったわ」

「カオル様も着られたのですか? 振袖を…」

話の流れからそう言ったゴンザに、カオルはほんの少しだけ表情をなくしたので、ゴンザは

(しまった!)

と思った。
だがそれも一瞬のこと。すぐに笑顔に戻り

「うん、着た、着た!
 赤い振袖ででね、お花がたくさん描かれていてかわいかったんんだよ」

と身振り手振りで伝えようとした。

(そう、あれは、確かに素敵な着物だった…)

カオルは自分の成人式の日のことを思い出していた。




両親のいないカオルは、成人式に振袖を着ることなど早い段階で諦めていた。
振袖どころか、そういった晴れやかな場所に来ていくようなワンピースだとかスーツといったものも持ち合わせていないのだから、式に出席することすらできないと思っていたのだ。
だが、クライアントとして協力することと引き換えに大学進学などの金銭的サポートを買って出てくれた龍崎駈音によって、振袖を身に着けることができた。

「カオルちゃん、遠慮なんかしちゃだめだ。
 君だってみんなと同じ女の子だもの。
 一生に一度のことなんだから、綺麗なお着物を着て楽しんでくる権利があるんだよ?」

そう言って優しく微笑んでくれた彼の姿が思い浮かぶ。

「ああ、綺麗だよ。カオルちゃん!
 君にはやっぱり明るい色が似合うね」

振り袖姿のカオルに、本人以上に嬉しそうだった龍崎…
だが、彼の優し気な顔は、真の目的を隠した偽物だった。

そのことがカオルの胸にチクリと痛みを覚えさせる。




そんなほろ苦さを振り払うように、カオルはゴンザにこう問いかけた。

「ねぇ、ゴンザさん。
 鋼牙の成人式ってどんなだったの?
 っていうか、魔戒騎士にも成人式のような行事なんてあるのかしら?」

カオルは口元に手を当てて小首を傾げる。

「魔戒騎士の成人式でございますか? うーん、普通の人とは違って何歳だから大人だ、ということではございませんから…」

「ふうん、そうなんだねぇ」

「はい」

カオルは「そうかそうか」と、ゴンザは「そうだそうだ」とうなずき合っている。
すると、ゴンザははっとした顔でぽんと手を打つ。

「成人式、というわけではございませんが、魔戒騎士が一人前と認められる事柄ならひとつありますな」

「えっ、それって… なになに?」

カオルは思わず身を乗り出してくる。
それを見てゴンザはふふっと笑ってから視線を遠くに向ける。

「魔戒騎士にとっての成人の証。それは…」

「それは?(ごくっ)」

「…」

「…」

カオルが息を飲む中、たっぷり焦らしつつゴンザは静かに言った。

「鎧の召喚」

「鎧の…」

「鋼牙様の場合で言えば、ザルバと契約を交わし、黄金騎士牙狼の鎧を継承したときがそれだと言っていいのではないでしょうか」

そう言うと、カオルに視線を戻して微笑んだ。



to be continued(2へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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