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きんのまなざし ぎんのささやき

おとなげないったらありゃしない(2)

まだ小さい我が子にジェラシー感じる、おとなげない鋼牙さんを、お楽しみいただけましたでしょうか?
さてさてお次は…
まあ、それは読んでからのお楽しみ!


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あれから月日は経ち…

雷牙は保育園に通っていた。
兄弟のいない雷牙に、同じ年ごろの子どもたちとの時間を持たせてやりたいとの、カオルの強い希望を汲んでのことだった。
鋼牙は、

「ゴンザに送り迎えの車を出してもらえばいい」

と言ったが、カオルは

「できるだけ他の子たちと同じにしたい」

という思いから、自分で自転車に乗り、雷牙の送迎を行っていた。



「雷牙くん、また明日ねぇ」

「うん、ばいばーい!」

子ども用シートに座った雷牙が、園のほうを振り返りながらお友達に手を振るのをチラッと見遣ったカオルは、見送る先生にニッコリと笑って会釈をしてから自転車に跨った。

通いなれた道を比較的のんびりと自転車を漕いでいく。
それは、何も雷牙を後ろに乗せているせいばかりではない。
毎日思いっきり身体を動かして遊んでいるからか、よく食べるようになった雷牙の体重はぐんぐんと重くなっていることも関係していた。

車の往来に気をつけながら、自転車を漕ぐカオルに雷牙が話しかけてきた。

「ねぇ、おかあさん?」

「ん? なあに?」

「おヨメさんてさ、ひとりしかダメなんだよね?」

雷牙の言葉に、カオルはまず驚いた。
そして、次の瞬間には、

(なになに?
 お母さんのほかに結婚したい子ができたの!?)

という、ちょっぴり寂しいような、でも嬉しいような、そんな気持ちを覚えていた。

「そうだよ。お嫁さんはひとりだけ。
 なに、どうしたの? 好きな子がいるの?」

カオルは内心どきどきしながらも、何食わぬ調子で聞いてみた。

「うーん…
 ユイちゃんがね、ぼくのおヨメさんになりたいっていうんだぁ」

「へぇー ユイちゃんねぇ…」

そう答えながら、ユイちゃんの顔を思い浮かべているカオルに、雷牙はまた言った。

「だけどね、ミユちゃんもぼくのおヨメさんになるっていうんだよねぇ」

「えっ? ミユちゃんも!?」

「うん、そうなんだぁ。だから、ぼく、こまっちゃってさ…」

後ろを振り向いて確かめることはできないのだが、雷牙の声音はそれはもう真剣で、きっと難しい顔をしながら考えているであろう様子が窺える。
だが、雷牙の発言はそれだけではなかった。

「あとさ、マナちゃんがね、カノジョになりたいっていうんだけど、’カノジョ’ は ’おヨメさん’ じゃないからいいかな、っておもうんだ」

「ええっ!」

驚くカオルをよそに、雷牙は独り言のように

「マナちゃんはカノジョでよくってぇ、おヨメさんはユイちゃんかミユちゃんのどっちかにきめないといけないんだよね?」

などと呟いている。
そんな雷牙に、カオルは慌ててブレーキをかけて自転車を止めると、後ろを振り返って言った。

「ちょ… ちょっと待って、雷牙。
 あのね、えっと… おかあさんは? おかあさんとは結婚してくれないの?」
「…」

食ってかかるような母親の様子に、雷牙はきょとんとした表情で見上げていたが、やがて小さく息を吐いてから答えた。

「おかあさん、しらないの?
 ぼくは、おかあさんとはけっこんできないんだよ?
 だから、おかあさんじゃないひとをおヨメさんにするんだよ?」

保育園児のくせになんだか大人びた様子でそういう息子。
そんな息子に、カオルは

「ははは、そうだね…」

と力なく笑いかけ、ギギギと機械仕掛けの人形のように前を向くと、力の入らない足をなんとか動かしながら、再び自転車を漕ぎだした。





その夜。
鋼牙が寝室に入ると、ドレッサーの前に座るカオルが心ここにあらずの様子で髪をとかしていた。

「どうした?」

鋼牙に声を掛けられて、ビクリと身体を揺らしたカオルは、今初めて鋼牙の存在に気づいたようだった。

「えっ、何?」

そう言いながら、素知らぬ顔でカオルは髪をとかす手を速める。
そんな彼女を見て、じっと様子を窺っていたが、鋼牙は

「何か気にかかることでもあるのか?」

と重ねて尋ねた。
カオルは、鏡越しに鋼牙のほうをチラっと見たが、彼のなんでも見透かすような視線に、ふぅっと小さく息をついてから言った。

「今日ね、雷牙が… はぁぁぁっ」

何かを言いかけるが、余程のことなのか、今度は大きく溜息をつく。

「雷牙が?」

息子に何かあったのかと、鋼牙は少し身構えたが、

「うん、雷牙がね、ユイちゃんかミユちゃんか、どっちの子をお嫁さんにするか悩んでる、って言うの…」

というカオルの言葉に、大きく脱力するしかなかった。
けれども、鋼牙のそんな様子を気に留める余裕もないカオルは、

「それでね、お嫁さんとは別に… あれっ、誰だっけ? カナちゃん? マナちゃん? とにかく別の子をカノジョにするんだって言うのよ?」

と眉をひそめて続けた。
鋼牙は溜息をつきたくなるのをなんとか堪(こら)えつつ、

「子どもの言うことだ。気にすることもないだろう?」

と言った。
すると、鋼牙のほうへと勢いよく振り返って

「気にすることもない、ですって! ううん、気にするわよぉ!
 だって、あたしとは結婚しないって! あたし、結婚したい相手じゃなくなったんだよ!?」

と、なかば叫ぶように言った。
その勢いに、鋼牙は思わず怯(ひる)んだ。
そんな鋼牙にお構いなしに、カオルは、

「あぁーん、ショックぅ~
 雷牙ったら、もうお母さんよりも、保育園のお友達の子のほうが好きになっちゃったんだわ!
 あんなに、お母さん、お母さんってくっついて歩いていたのにぃーっ」

と嘆くと、ガックリと項垂れ、肩を落とした。


to be continued(3へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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