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きんのまなざし ぎんのささやき

おとなげないったらありゃしない(1)

今回は、ちびっこ雷牙くんが登場です!
もちろん、お父さんとお母さんも!
今宵の妄想も楽しく書けますように…
そして、楽しく読んでいただけますように…


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「ぼくね、おおきくなったら、おかあさんとけっこんする!」

子どもらしい少したどたどしく、けれど、とてもはきはきとしたかわいい声が聞こえて、鋼牙は庭先で剣を振るっていた手を止め、その声のした方に目を向けた。

鋼牙の視線の先には、ポカポカとした日の光が降り注ぐテラスに置かれたガーデンテーブルがあり、そこで肩を寄せ合うように座っているカオルと息子の姿があった。

床に届かない足をブラブラさせ、ニッコリと母親に向かって笑う雷牙を見て、同じようにカオルも微笑んでいた。

「えーっ、結婚だなんて… 雷牙は、結婚ってどういうことか解ってるの?」

「しってるよーっ! だぁぁぁいすきなひとと、ずっといっしょにいようねってやくそくすることでしょ?」

そう言う雷牙に、カオルは目をまあるくして答える。

「すごーい、よく知ってるね?」

すると、雷牙は少し自慢げに胸を張る。

「ゴンザにおしえてもらったんだよっ!」

「そうなんだぁ」

カオルは息子の髪を撫でて愛おしそうに息子の顔を覗き込む。
けれど、すぐに困ったような顔をして見せて言った。

「お母さん、とーっても嬉しいんだけど、でもね、雷牙はお母さんとは結婚できないんだよ?」

「どぉしてぇー?」

唇を尖らせて尋ねる雷牙に、

「だって、お母さんはお父さんと結婚しているもの。
 結婚できるのはひとりだけなんだよ?」

と答えた。

「えぇー!」

不服そうに眉を寄せて、雷牙のかわいい顔が歪む。

「ごめんね、雷牙。
 でもね、大きくなったら雷牙にもきっと、お母さんよりもずっとずーっと大切にしたい女の子ができるよ?」

「うそだぁ!」

「ほんとだよぉー」

「でも、ぼく、おかあさんがすきだよ? だい、だい、だーいすきだよ?」

両手で大きく円を描くようにしながら、雷牙はカオルに訴えた。

「お母さんだって雷牙のことが大、大、だーい好き!
 結婚はできないかもしれないけど、とってもとーっても好きだからね?
 それは、雷牙が大きくなっても変わらないから、ね?」

それを聞いた雷牙は、ぱっと顔を輝かせた。

「ほんと?」

「ほんと、ほんと!」

「ぼくのことだいすきなんだね?」

「雷牙のこと、だーいすきだよ?」

「そっか、ならいいっ!」

「うん!」

雷牙は手を広げてカオルに抱きつき、カオルは雷牙を受け止め、膝の上に抱きかかえた。

ぎゅうううっと抱きしめ合ってはきゃっきゃっと笑い合う母子の姿はほほえましく、それを見ていた鋼牙の表情も緩んでいたが、ほんの少し、何とも言えない複雑な表情が覗いていた。
けれども、それを振り払うようにびゅんと血振りするように剣を一振りすると、眼光鋭くさせ、口を一文字に結んでから、はっという気合いとともに再び剣を振るい始めた。





その夜。
鋼牙が何気なく雷牙の部屋を覗くと、カオルが息子を寝かしつけていた。
そっと部屋に入り、カオルに声をかける。

「寝たのか?」

はっとしたカオルが振り返り、鋼牙の姿を認めてにっこりと笑う。

「うん、今、寝たところ…」

そう言ったカオルはそっと立ち上がり、鋼牙の背を押すようにして雷牙の部屋を出た。



夫婦の居室に入ったカオルは、着替えを手にして、

「お風呂、入ってくるね」

と言い、出ていこうとした。
けれども、鋼牙に腕を掴まれて引き戻されてしまう。

「えっ?」

カオルは戸惑ったような声をあげるが、引き留めた鋼牙もまた戸惑っているようだった。
けれども、カオルの腕を掴む手は離さない。

「…」

「…」

お互いにどうすればよいのかわからない気まずい空気に、先に焦れた鋼牙が、カオルの腕を引いて自分の腕の中に彼女を引き込む。
カオルの後頭部に手を置き、さらに強く抱きしめる鋼牙に、カオルは身じろぎもせずに身を任していたが、やがて少し力が緩んだ気配に、そっと鋼牙の顔を仰ぎ見る。

「鋼牙?」

一方、カオルを見下ろす鋼牙は、どことなく居心地が悪そうな不貞腐れたような微妙な顔つきだったが、カオルの視線に耐えられないかのように力任せに唇を奪った。
角度を変えて何度も唇を合わせて、少しずつ深く強く侵略していく。
クチュクチュという湿った音と、柔らかい唇、熱い舌の感触が、媚薬のようにカオルを蕩(とろ)けさせていった。
やがて、鋼牙の腕の中でぐったりとなったカオルに、ようやく鋼牙は唇を離した。
足にまったく力の入らなくなったカオルは、熱を帯びて潤んだ瞳を気だるげに鋼牙に向けた。

「どう…し…たの?」

吐息のようにカオルの疑問がこぼれる。

「昼間の…」

「昼間?」

「おまえと結婚する、という雷牙の言葉に、おとなげなくも張り合ってしまった」

そう言った鋼牙は、カオルを抱きしめることで、彼女の視線から逃げた。
多分、今、鋼牙は照れてる。
そのことを想像して、カオルはくすっと笑った。

「おとなげないね…」

鋼牙の背に手を回しながら、カオルは言った。

「ああ、まったくだ…」

そう言った鋼牙は、カオルをしばらくの間、抱きしめていたが、やがて腕を緩めて彼女を見下ろす。
その目には照れはなく、穏やかだったが、射すくめるような力もあった。

「だけど、雷牙にだってカオルはやれん!」

そうきっぱり断言する鋼牙に、目をみはったカオルは、フフフと笑い、

「んもう、ほんと、おとなげない…」

と嬉しそうに言うのであった。




to be continued(2へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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