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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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おとなげないったらありゃしない(3)

息子に妻を取られて嫉妬する夫…(あるある~)
息子をお友だちに取られて悲嘆する母親…(あるある~)

人の子の親になっても、大人げなくも、愛すべき、我らが鋼牙さんとカオルちゃん。
やっぱ、いいよねぇぇぇ!

拍手[16回]



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

そんなカオルに、鋼牙は人知れず大きな溜息をついた。
そして、いまだ項垂れている彼女に近づくと、その頭に大きな手をぽすっと乗せた。
ハッとしたカオルが振り返ると、彼女の目に穏やかな顔をした鋼牙の姿が映る。
「おまえは寂しいかもしれないが、それだけ雷牙が成長したということだろう?」

その言葉に、カオルは複雑な顔をする。

「それはそうなんだけど…」

唇を小さく尖らせて、納得しきれない心の内に惑うカオル。
鋼牙はそれを見て、彼女の頭を少し乱暴に撫でた。
そして、

「俺は嬉しいがな」

と言った。
カオルは思わずジト目で鋼牙を見る。
すると、彼女に見られていることを十分に意識した鋼牙は、少し意地悪そうに目をすがめてから、カオルの頭に乗せていた手を頬の方へと降ろし、顎まで来るとクイッとつまんで、真正面から見下ろせる位置で固定した。

「…」

カオルをじっと見つめるだけで何も言わない鋼牙に、ただ息を飲むカオル。
自分の顎に感じる鋼牙の体温と、彼のまなざしに垣間見える劣情。
ふたりを包み込む空気が、甘くなまめかしいものに変わっていくのを肌で感じ取って、カオルは熱っぽい息苦しさを覚える。

そんな彼女の変化を敏感に感じ取った鋼牙は、やはり何も言わずに行動に出た。わずかに腰をかがめて、カオルを横抱きに抱き上げたのだ。
そのまま、ベッドへとまっすぐに進むと、カオルをそっと降ろした。

  ギシリ

ベッドを軋ませてカオルを見下ろす鋼牙。
ひんやりと感じるシーツの感触と、鋼牙の熱を帯びた視線がぐるぐると混ざり合うようで、カオルの内から湧き上がる高ぶりがどうにも抑えられない。
自然に潤んだようになった彼女の瞳に吸い寄せられるように、鋼牙がゆっくりと覆いかぶさるように近づいてくる。

耳のすぐ近くに心臓があるように、どきどきとした強く速い鼓動を感じながら、カオルはゆっくりと目を閉じた…



と、そのとき。

鋼牙の動きがピタリと止まった。
はっとそれに気づいたカオルが目を開けて、すでにあと数cmのところにまで迫った鋼牙を見ると、鋼牙はカオルではなく、寝室のドアを見つめていた。

(えっ?)

カオルもつられるようにそちらに目を向ける。
すると、それまで閉まっていたドアがキィと小さな音を立てて開き、そこにパジャマ姿の雷牙が顔を覗かせた。

「…おかあさん」

半べそをかいたような雷牙の情けない顔と声に、カオルはガバッと身を起こした。

「どうしたの?」

そう言いながら、雷牙の元に慌てて向かうと、息子の顔を覗き込んだ。

「えっとね、トイレ、いきたい…」

母親の顔を見て少し安心したような雷牙は、甘えたような声で言う。

「ああ、トイレね… じゃ、一緒に行こうか?」

ちょっと拍子抜けしたように答えたカオルは、ちらっと鋼牙を振り返った。
鋼牙は仕方がないとでもいうように小さく溜息をつき、行ってこいとでも言いたげにわずかに頷いた。
それを見てほっとしたようなカオルは、雷牙に向けてニッコリ笑うと、立ち上がって小さなその手を取って部屋を出ようとした。

が、すぐに、

「カオル…」

と鋼牙に小さく呼ばれて、足を止め振り返る。

「雷牙が寝たら… いいな?」

そう念を押す鋼牙はわりと真剣な顔をしていたので、カオルは少し驚くとともに頬が熱くなるのを感じていた。

「…うん」

わずかにはにかみながらもそう返事をするカオルの手を、雷牙は

「おかあさーん…」

と言いながら引いてくる。
はっとしたカオルは、

「ああ、はいはい」

と苦笑しつつ返事する。
が、雷牙の手を引いてドアの向こう側に消える間際に、カオルを頬を染めながら、こう言い残した。

「じゃあ、ちょっと行ってくるね。 …待ってて」





寝室にひとり残された鋼牙。

カオルを待つ時間は、実際の時間の経過よりもジリジリと長く感じた。
けれども、カオルが間違いなく自分の元に戻り、その後は、自分の腕の中に閉じ込めることができることを思えば、そう嫌な時間でもなかった。

(心ゆくまでカオルを堪能するっ!)

グッと拳を握りしめて、密かに誓いを立てた鋼牙は、知らず知らずのうちに頬が緩むのを懸命に堪(こら)えるのであった。




翌日。
ひどく機嫌のいい鋼牙と、昼近くになってようやく疲れ切った様子で起きて来たカオル。
そのことを不思議に思う雷牙の問いに、カオルは歯切れが悪く曖昧に濁すことしかできなかったのは言うまでもない。



fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


あま~い雰囲気で終わるのか、と思えば!
クスクス… 子どもの邪魔が入るという、これも「あるある」ではないでしょうか?

それにしても、その後のことを期待しながらワクワクとカオルを待つ鋼牙さんなんて、公式様では絶対に見られないでしょうが、これこそが妄想の醍醐味ですよね?

さてさて、鋼牙さんてば、カオルちゃんをどんなふうに「堪能」したのかなぁ?
そんなことを考えると「ニヤニヤ」が止まりません!

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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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